家族信託の費用完全ガイド|自分で行う場合と専門家依頼の相場

家族信託は、認知症対策や相続対策として注目されていますが、その導入を考える際に多くの人が気にするのが「費用」です。家族信託を専門家に依頼する場合、信託財産の約1.5%の費用がかかることが一般的です。また、契約後も毎年の管理費用が発生することがあります。

記事のポイントは下記のとおりです。

  • 家族信託を実施するのに、専門家に依頼しないで自分で手続きするのであれば、手続き費用として20万円前後になる。
  • 家族信託は自分で実施するのは様々な観点でリスクが高く、専門家に依頼しようとすると手続き費用に加えて30万円~60万円がかかる。
  • 家族信託費用を見る上で、費用に作用する要素として①専門家に依頼するか、②信託の難易度、③信託財産の規模と内容、④手続きの範囲がある。
  • 家族信託の構造や税金が発生してしまうポイントを押さえておかないと、余計な税金を支払うはめになるので注意が必要である。

本記事では、家族信託にかかる費用を「実費」と「専門家への報酬」に分けて詳しく解説します。

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1.家族信託の費用内訳

家族信託は、高齢化社会における財産管理や相続対策として注目されています。特に認知症対策を目的として検討する方が増えていますが、気になるのはその費用です。家族信託の費用は大きく分けて以下の2つです。

託財産の合計額の約1.1%(最低33万円)+手続き代行費用を含めると、総額50万円以上になることが一般的です。費用は、専門家の選定、手続きの複雑さ、信託財産の規模によって変動します。そのため、家族信託を検討する際には目的に合わせて契約内容を調整することが重要です。

項目 自分で手続きする場合 専門家に依頼する場合
費用相場 約20万円前後(実費のみ) 約30〜60万円前後(実費+専門家報酬)
主な内訳 – 公正証書作成費用:3.3〜11万円
– 登録免許税:固定資産評価額の0.3〜0.4%
– 書類収集費用:5,000〜1万円
– コンサルティング報酬:信託財産額の1.1%程度(最低33万円)
– 信託契約書作成費用:11〜16.5万円
– 登記代行費用:11〜16.5万円

この表からわかるように、自分で手続きする場合は実費のみで済むため、費用を抑えられる点が特徴です。一方、専門家に依頼すると報酬が加算されるため高額になりますが、その分サポートが充実しています。

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2.家族信託手続きの流れから見る費用

家族信託の手続きは、以下の4つのステップで進みます。どのステップで費用が発生し、専門家が何をサポートしてくれるのかを明確に理解しましょう。

ステップ  発生する実費  
信託契約の作成・締結 費用なし
公正証書作成 公証人手数料
信託用口座の開設 口座開設手数料(銀行による)
信託登記手続き 登録免許税

『準備すべき書類』から『具体的なスケジュール』まで、家族信託の手続き全体像をこちらのブログで詳細に解説しています。

2-1.信託契約の作成・締結

信託契約の作成段階では、信託の目的財産受託者(管理者)の役割など、信託の根幹となるルールを明確に定める必要があります。後々のトラブルを完全に防ぐためには、ご家族全員の理解と同意が欠かせません。

費用について

自分で手続きをする場合 専門家に依頼する場合
費用はかからない コンサルティング報酬:
信託財産評価の1.1%程度(最低33万円)

信託契約書作成報酬:11~16.5万円

家族信託の契約書はご家庭に合わせたオーダーメイドであるため、条項が一つ欠けるだけで無駄な税金の支払いが発生したり、最悪の場合、信託契約そのものが無効になるリスクがあります。複雑な法律や実務に精通した専門家は、これらの法的・税務リスクを予見して回避し、ご家族の想いを正確に反映させます。

特に、二次相続以降の承継指定受託者への権限付与といった複雑な要望も、法律的に矛盾なく確実に実現できる契約書を作成することが、専門家に依頼する最大のメリットです。

2-2.公正証書作成

信託契約を法的に強固なものにするため、契約書は公正証書にしておくことを強く推奨します。これにより、相続人同士の紛争リスクを抑えられます

費用について

自分で手続きをする場合 専門家に依頼する場合
公証人手数料:3.3万円~11万円程度 公証人手数料:3.3万円~11万円程度
※家族信託手続きを依頼したらコンサル報酬に含まれます

専門家に依頼することで、煩雑な面談予約や、契約内容が公証人の審査基準に合致しているかの事前調整をすべて任せることができます。当日は署名・押印に行くだけで済み、時間的負担が大幅に軽減されます。

さらに、専門家が公証人と連携し、委託者(親)の判断能力に関する証拠(医師の診断書など)を事前に提出・調整することで、公正証書作成の確実性を高め、将来の相続人からの「契約無効」といった法的異議申し立てのリスクを最小限に抑えることが、専門家を介する最大のメリットです。

2-3.信託用口座の開設

信託した金銭を安全に管理するため、受託者名義で専用口座を開設します。これは、受託者の固有財産と信託財産を明確に分ける(分別管理)ための重要なステップです

信託口口座は、受託者の破産や死亡時にも信託財産が保護される安全性の高い口座です。信託口口座であれば、万が一受託者に問題が発生しても、信託財産が差し押さえられるリスクを完全に回避できます。

費用について

自分で手続きをする場合 専門家に依頼する場合
0円~10万円程度
(銀行により手数料が発生する場合あり)
0円~10万円程度
(銀行により手数料が発生する場合あり)
※家族信託手続きを依頼したらコンサル報酬に含まれています

専門家に依頼することで、銀行と事前に契約書を共有し、口座開設に必要な条文や運用ルールを調整することで、スムーズな開設を実現します。

特に、信託契約書に記載された受託者の権限が、金融機関の運用ルールと矛盾しないよう細かくチェックし、将来、受託者が必要なときに信託財産を動かせないと実務上のトラブルを未然に防ぐことが、専門家を介する最大のメリットです。

2-4.信託登記手続き

不動産を信託財産にする場合、法務局で信託登記が必要です。名義を委託者から受託者に変更し、管理権限の移転を公にします

費用について

自分で手続きをする場合 専門家に依頼する場合
登録免許税:固定資産評価額の0.3~0.4% 信託登記報酬:11~16.5万円
登録免許税:固定資産評価額の0.3~0.4%

信託登記は、不動産を信託財産にする際に法務局で行う、非常に専門的かつ複雑な手続きです。特に信託実務は法務局ごとに運用が異なるケースが多く、専門知識なしで進めると登記簿に不備が残り、将来、不動産の売却や担保設定が必要になった際に、手続きがストップするといった深刻な問題を引き起こすリスクがあります。

専門家に依頼する最大のメリットは、こうした実務上の難しさをクリアし、名義変更を適切に行うことはもちろん、将来の売却や活用がスムーズになるよう、瑕疵のない確実な登記を実現することにあります。

3.費用を抑えるために「自分でやる」家族信託

家族信託は、専門家に依頼することで初期費用が発生しますが、「できる限り費用を抑えたい」と考える読者の方にとって、「自分で手続きを行う」ことは魅力的な選択肢に見えるかもしれません。

確かに、専門家への報酬を削減できるため、費用を実費のみに抑えることは可能です。しかし、家族信託は、ご家族の想いを法的に確実にし、将来の相続や税務のリスクを回避するための仕組みです。この法的安定性を確保するためには、専門知識と実務経験が不可欠であることを、まず理解しておく必要があります。

3-1.自分で手続きするメリットとデメリット

自分で手続きするメリット

  • 初期費用を最小限に抑えられる
    専門家への報酬が不要なため、実費(公正証書費用、登録免許税など)のみで済みます。これにより、初期の支出を大幅に削減することが可能です。
  • 手続きを自分でコントロールできる
    専門家とのやり取りに時間を取られることなく、ご自身のペースで、納得いくまで調整や準備を進めることができます。

自分で手続きするデメリット

  • 失敗による追加コストのリスク
    契約内容の不備や税務上の誤りにより、将来、弁護士費用や追徴課税が発生するなど、結果的に専門家に依頼するよりも高い追加コストがかかる可能性があります。
  • 手続きが複雑で時間がかかる
    家族信託の実務は専門用語が多く、必要書類の収集も煩雑です。公証役場や法務局との煩雑な調整に、膨大な時間と精神的な負担がかかります。
  • トラブル発生時の対応が難しい
    契約書に不備があっても自分で気づくことは困難であり、後から家族間で紛争が起こった際に、その法的根拠を自分で証明・対応することができません。
  • 銀行・法務局で手続きがストップする実務上のリスク
    作成した信託契約書の内容が、金融機関や法務局の実務的な審査基準に合致しないことがあります。その場合、信託口口座の開設や登記手続きがストップし、時間と労力が無駄になるリスクがあります。

3-2.自分で手続きする際の費用内訳と相場

信託契約書を公正証書化する際の費用:3.3~11万円

信託契約書を公正証書として作成することで、法的に強固な契約となります。また、信託した金銭を管理するための正式な信託口座を金融機関で開設する場合には、信託契約書を公正証書化する必要があります。この公正証書化には、公証人の手数料が必要です。

信託金額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円超200万円以下 7,000円
200万円超500万円以下 11,000円
500万円超1,000万円以下 17,000円
1,000万円超3,000万円以下 23,000円
3,000万円超5,000万円以下 29,000円
5,000万円超1億円以下 43,000円
1億円超3億円以下 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を追加
3億円超10億円以下 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を追加
10億円超 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を追加

信託財産の内容や評価額によって手数料は変動しますが、相場は3.3万円から11万円程度です。費用は日本公証人連合のHPで確認できます。

引用元:日本公証人連合会HP

不動産の信託登記にかかる登録免許税:固定資産評価額の0.3~0.4%

不動産を信託財産に含める場合、不動産の名義を委託者から受託者に変更する「信託登記」が必要です。この登記にかかる登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の0.4%(土地は0.3%:令和8年3月31日まで)が相場です。

例えば、2000万円の土地と1000万円の建物を信託登記する場合、土地は6万円(2000万円×0.3%)、建物は4万円(1000万円×0.4%)、合計で10万円の登録免許税がかかるということです。

手続きに必要な書類収集費用:5,000~1万円

家族信託を始めるためには、手続きごとに必要な書類を収集する必要があります。公証役場や信託口口座を作る銀行での手続き、信託登記のための登記手続きに必要な書類として、戸籍や印鑑証明書、不動産がある場合は固定資産評価証明書などが求められます。

4.自分でやる際の実務上のリスクとは?

費用を抑えて自分で家族信託を進める場合、専門知識と実務経験がないことが、後々取り返しのつかない大きなリスクとなって跳ね返ってきます。具体的に見ていきましょう。

実務上の壁①:信託口口座は専門家作成の契約書が原則必須

金銭の分別管理に必須の信託口口座の開設は、銀行の審査を通過する必要があります。多くの金融機関は、個人が作成した信託契約書に対しては、その有効性や条項の不備を厳しく懸念し、口座開設を拒否するケースがほとんどです。

銀行側は、弁護士や司法書士といった専門家が関与し、法的リスクを排除した契約書であることを、事実上の審査基準としているのが実情です。自分で契約書を作成した場合、口座開設手続きがここでストップし、金銭の管理体制が確立できなくなるリスクがあります。

実務上の壁②:信託登記は知識不足だと手続き完了が極めて困難

不動産を信託財産に含める際に必要な信託登記 は、通常の所有権移転登記とは異なり、手続きが非常に複雑です。信託登記の実務は、法務局(登記所)によって判断や運用が異なるケースが少なくありません。専門家はこうした実務上の慣習や最新の運用状況を把握していますが、個人で対応するのは極めて困難です。

登記簿にわずかな記載の不備誤りが残った場合、数年後に不動産を売却しようとした際、買主側が登記の不備を指摘し、売買契約が停止するという致命的なトラブルにつながるリスクがあります。

実務上の壁③:余計な税金や将来トラブルのリスク

専門的な視点や知識が不足していると、意図しない税金の発生や、家族間の深刻なトラブルを招く原因となります。

専門家への相談を省略した結果、贈与税不動産取得税といった、本来不要だったはずの税金が発生してしまうリスクがあります。また、契約内容が公序良俗に反すると判断されたり、委託者(親)の判断能力に関する証拠が不十分であったりすると、信託契約そのものが無効になる可能性があります。

さらに、契約内容の解釈をめぐって家族間で意見の食い違いが生じ、後になって相続人同士の深刻な紛争(争族)に発展するリスクを、自分で負うことになります。

5.専門家に依頼する場合の費用内訳

家族信託を専門家に依頼する場合、費用は大きく分けて「専門家への報酬」「実費・税金」の2つに分類されます。専門家への報酬は、将来のリスク回避や確実な手続きの実現という価値に対する対価であり、実費は法律や行政手続き上、避けられない費用です。

コンサルティング報酬:信託財産評価の1.1%程度(最低33万円)

お客様から情報をヒアリングし、最適な信託契約書を作成するための費用です。報酬は信託財産評価額の1.1%(最低33万円)程度から始まることが多いです。

財産の価格 費用(税込)
1億円以下の部分 1.1% (最低33万円)
1億円超3億円以下の部分 0.55%
3億円超5億円以下の部分 0.33%
5億円超10億円以下の部分 0.22%
10億円超の部分 0.11%

信託契約書作成報酬:11~16.5万円

コンサルティングした内容を元に公正証書の原案となる信託契約書を作成する費用です。専門家によっては、コンサルティング報酬に契約書作成報酬を含めて計算しているところもあります。この費用も専門家によって異なりますが、1契約書あたり11~16.5万円としているところが多いです。

信託登記報酬:11~16.5万円

不動産を信託財産とした場合に、不動産の名義変更を司法書士が行うための費用です。概ね信託登記1件あたり11~16.5万円かかります。

6.【ケース別】家族信託費用のシミュレーション

家族信託の費用は、信託財産として何を対象にするのかという点と、その資産構成と財産額に応じて費用がかわります。以下、報酬相場をもとに一般的に想定される資産例の費用を紹介します。

6-1.現金3,000万円を信託するケース

  • コンサルティング費用
    3,000万円に対して1.1%の報酬利率で計算 
    33万円
  • 信託契約書作成費用
    専門家報酬11万円 
    公証役場の手数料約5万円
  • 総費用
    33万円+11万円+5万円=49万円

6-2.不動産と現金(中規模)を信託するケース

  • コンサルティング費用
    合計3,500万円に対して1.1%の報酬利率で計算 
    38.5万円
  • 信託契約書作成費用
    専門家報酬11万円 
    公証役場の手数料約5万円
  • 信託登記費用
    土地の登録免許税は6万円、建物の登録免許税は2万円、合計8万円
    司法書士手数料は11万円
  • 総費用
    38.5万円+11万円+5万円+8万円+11万円=73.5万円

6-3.大規模な財産を信託するケース

  • コンサルティング費用
    合計1億1,060万円に対して1%の報酬利率で計算 
    約116万円
  • 信託契約書作成費用
    専門家報酬11万円 
    公証役場の手数料約5万円
  • 信託登記費用
    土地の登録免許税は15万円、建物の登録免許税は4万円、合計19万円
    司法書士手数料は11万円。
  • 総費用
    116万円+11万円+5万円+19万円+11万円=162万円
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7.相続・家族信託ガイドを利用した場合の初期費用

家族信託を検討する際の参考として、弊社の相続・家族信託ガイドサービスをご紹介します。

弊社では、初期費用の透明性を重視した定額サービス「家族信託ラボ」を提供しています。このサービスでは、信託する財産の価格に関わらず料金は一定で、シンプルなプランとなっています。

相続・家族信託ガイドサービスの特徴

他社では初期費用を低く設定し、信託開始後に月額や年額の継続費用を設定することがありますが、長期的に見ると総額が高くなる可能性があります。「家族信託ラボ」は一括払いで安心して利用でき、認知症などの長期的リスクを考慮している方には特におすすめです。

依頼いただくと、司法書士が全て対応し、ネットでの打ち合わせや必要書類の収集、金融機関や公証役場との交渉も代行します。依頼いただく方が行うことは以下の3つのみです。

  • 当事者の印鑑証明書を取得
  • 公証役場で信託契約書に署名捺印
  • 金融機関で金銭管理用の信託口座を開設

これにより、手続きが簡便で安心して家族信託を進めることができます。

8.費用を節約する方法と専門家の選び方

家族信託を検討する際、多くの方が気になるのが「できるだけ費用を抑えたい」という点ではないでしょうか。実は、家族信託の手続きや設計の工夫次第で、費用を大きく節約できるポイントがいくつもあります。

8-1.節約できる費用項目

家族信託の費用を節約できる項目としては、下記の4つがあります。

  • 家族信託契約を自分でする
  • 信託契約書を私文書で作成
  • 信託財産を必要最低限にする
  • 信託登記手続きを自分でする

① 家族信託契約を自分でする

専門家に依頼しないで家族信託の契約を自分で行うことも可能です。この方法で最も節約できるのは、専門家への報酬です。

ただし、自分で行う場合には、信託契約の設計や契約書の作成、登記、信託口座の開設など、全ての手続きを自分で行う必要があります。

② 信託契約書を私文書で作成

家族信託の契約書は、公正証書でなくても有効です。私文書で作成することで、公証人の手数料を節約できます。

ただし、私文書は公正証書よりも証拠力が弱く、信託口口座は開設できない、パソコンで作成した契約書の場合には、第三者との取引において提示しても受け付けてもらえない可能性があります。

③ 信託財産を必要最低限にする

信託財産の額が多いほど、家族信託の設定にかかる公正証書作成手数料や登録免許税などの費用が増加します。また、専門家の依頼する場合もコンサルティング報酬が増えてしまいます。

したがって、これだけは管理したいという財産のみを信託財産とし、必要最小限に抑えることで、費用を節約できます。

④ 信託登記手続きを自分でする

信託登記の手続きは、一般的には司法書士に依頼されることが多いですが、自分で行うことで司法書士手数料を抑えることも可能です。

ただし、手続きは複雑であり、専門的な知識が必要で、法務局へも何度も足を運ぶ必要があります。

8-2失敗しない専門家の見つけ方

さて、どのみち報酬を支払うのであれば、できるだけ頼りになる専門家を選びたいですよね。実績、提案力、ネットワーク、サポート体制の4つのポイントに注目して、信頼できる家族信託専門家を見つける方法を解説します。

❶家族信託を組成した実績数

優秀な専門家を選ぶ際には、家族信託の実際の組成実績数を確認することが重要です。

単に「家族信託について知識がある」だけでは不十分です。専門家が持つ知識には、最新の制度動向、実務での失敗事例とその回避方法、そしてメリットとデメリットを正確に伝える能力が含まれます。これらは書籍やインターネットでは学べない、実践に基づいた知識です。

特に新しい制度である家族信託では、法務、税務、会計上の解釈や運用がまだ確定していない部分が多いため、最新の法改正や判例、行政機関の通達などを注視し、適切に対応することが求められます。

例えば、司法書士の中には不動産登記を専門としながらも信託業務の経験が少ない事務所もあります。無料相談の際には、「家族信託・民事信託の実績がどの程度あるのか」「所長以外のスタッフも信託について相談できるか」「専門性がどの程度あるのか」を確認することが大切です。

❷家族信託以外の制度も合わせて提案できるか

家族信託は、生前対策の一つに過ぎません。単に家族信託を組成するだけでは不十分です。
優れた専門家は、家族信託以外の後見制度、生前贈与、遺言などの選択肢にも精通しており、それぞれのメリット・デメリットを比較して提案できます。また、ご家族が対策をしたい目的と費用感とで納得のいく選択をできるよう、分かりやすく説明する能力も重要です。

家族で検討しやすい「提案書」や図解で説明できる事務所を探し、家族信託以外の制度についても詳しく説明できる専門家を選びましょう。

❸専門領域外の専門家とのネットワーク

家族信託を組成するにあたっては、法律・税務・保険・金融手続き等々、幅広い知識が求められます。それら全ての領域を1人で深いところまでカバーすることは不可能と言っても良いでしょう。その為、その専門家が、自分の専門領域以外で協力・提携できる司法書士、弁護士、税理士等々のネットワークを持っているかが大事になってきます。
無料相談で、実際にどこの専門家と連携して業務を取り扱っているのか確認をしてみてください。

❹家族信託専門家のサービス内容と費用を比較

下記は、弊社を含めた家族信託サービスを提供している専門家、企業の比較表です。専門家ごとに提供するサービス内容や費用が異なるため、相談先を検討する際に確認してみてください。

リーガルエステート(相続・家族信託ガイド)

A社(家族信託を扱う士業母体の企業)

B社(家族信託を扱う民間企業)

サポート体制

相続・家族信託にの知識や経験が豊富なスタッフが全国多数の専門家と連携・税務、不動産、保険などをトータルサポートの提供。相談方法も来所やチャット、オンライン等柔軟に対応する。

金融機関が株主のため安心感がある一方で、その金融機関にメリットがある提案になる可能性も。資格者以外の者が顧客担当につくケースもある。専用アプリで信託後の帳簿作成等の機能を提供。

民間のスタートアップ企業が経営。内部に司法書士や行政書士がおらず、外部の弁護士や司法書士などの専門家に外注のため、コーディネートが中心。信託後は信託監督人に就任し顧客サポートをする。

費用

初期費用382,800

登記や公正証書作成費用は別途かかるが、家族信託スタート後の費用負担はないため、認知症の期間が何年であっても初期費用のみで対策をすることができる。

×

初期費用55,000円〜
月額費用2,728円~

初期費用は安く見えがちだが、実際は信託財産の1%~のほか毎月の月額費用がかかる。年間3万円超のため、トータルの費用が高額の可能性も。登記や公正証書作成費用は別途かかる。

×

初期費用55,000円〜
月額費用1,078円〜

比較的導入しやすい費用体系に見えるが、他2社と異なるのは信託契約書作成も別途費用がかかる点。コンサルティング以外の実務的なものは他士業に外部委託するため、その分費用がかさむ。

品質

家族信託業界の先駆者として実績は400件超。所長は家族信託専門書籍の出版のほか、全国の相続・家族信託に取り組む士業研究会で年間MVPを受賞。現在は、家族信託を手掛ける専門家の養成も行っている。

家族信託に詳しい司法書士が創業した企業であり、家族信託経験も豊富。担当するスタッフ、資格者の力量によって、品質にばらつきがあることも。

×

自社に司法書士、行政書士、弁護士などの資格者を抱えていないため、外部の専門家の監修したシステムに依存しがち。専門家でなければできない業務は、自ら対応できない。

リーガルエステート(相続・家族信託ガイド)

サポート体制

相続・家族信託にの知識や経験が豊富なスタッフが全国多数の専門家と連携・税務、不動産、保険などをトータルサポートの提供。相談方法も来所やチャット、オンライン等柔軟に対応する。

費用

初期費用382,800円~

登記や公正証書作成費用は別途かかるが、家族信託スタート後の費用負担はないため、認知症の期間が何年であっても初期費用のみで対策をすることができる。

品質

家族信託業界の先駆者として実績は400件超。所長は家族信託専門書籍の出版のほか、全国の相続・家族信託に取り組む士業研究会で年間MVPを受賞。現在は、家族信託を手掛ける専門家の養成も行っている。

A社(家族信託を扱う士業母体の企業)

サポート体制

金融機関が株主のため安心感がある一方で、その金融機関にメリットがある提案になる可能性も。資格者以外の者が顧客担当につくケースもある。専用アプリで信託後の帳簿作成等の機能を提供。

×費用

初期費用55,000円〜
月額費用2,728円~

初期費用は安く見えがちだが、実際は信託財産の1%~のほか毎月の月額費用がかかる。年間3万円超のため、トータルの費用が高額の可能性も。登記や公正証書作成費用は別途かかる。

品質

家族信託に詳しい司法書士が創業した企業であり、家族信託経験も豊富。担当するスタッフ、資格者の力量によって、品質にばらつきがあることも。

B社(家族信託を扱う民間企業)

サポート体制

民間のスタートアップ企業が経営。内部に司法書士や行政書士がおらず、外部の弁護士や司法書士などの専門家に外注のため、コーディネートが中心。信託後は信託監督人に就任し顧客サポートをする。

×費用

初期費用55,000円〜
月額費用1,078円〜

比較的導入しやすい費用体系に見えるが、他2社と異なるのは信託契約書作成も別途費用がかかる点。コンサルティング以外の実務的なものは他士業に外部委託するため、その分費用がかさむ。

×品質

自社に司法書士、行政書士、弁護士などの資格者を抱えていないため、外部の専門家の監修したシステムに依存しがち。専門家でなければできない業務は、自ら対応できない。

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9.家族信託開始後にかかる費用

家族信託は初期費用が注目されがちですが、信託開始後にも状況に応じて費用が発生することがあります。ここでは、信託終了や契約変更、専門家サポートなど、主な費用項目をわかりやすく解説します。

9-1.家族信託の終了時

家族信託が終了すると、信託契約書で定められた「帰属権利者」が受託者による清算手続きを経て、残った帰属権利者が信託財産を取得します。

信託終了後の税金

受益者の死亡で信託が終了し財産が「帰属権利者」に移転すると、相続税が発生します。一方、信託契約期間中に合意で信託を終了し財産が受益者に戻る場合は、所有者が変わらないため特別な税金はかかりません。

信託不動産の登記費用

家族信託の終了に伴い信託不動産がある場合、「信託登記の抹消」「所有権移転登記」が必要です。

登記の種類 帰属権利者 登録免許税
信託抹消登記 不動産1筆あたり1,000円
所有権移転登記 委託者本人 かからない
相続人 不動産の課税標準額の0.4%
相続人以外 不動産の課税標準額の2%
※別途、不動産取得税(不動産の課税標準額3〜4%)もかかります。

専門家の報酬

家族信託の終了に伴う清算手続き、相続税、登記手続きなどを司法書士や税理士などの専門家に依頼した場合、報酬が発生します。報酬額は財産の額や手続きの複雑さによって変わります。

9-2.家族信託の変更

信託契約は一度締結された後でも、当事者間の合意によって契約内容を変更することが可能です。この場合、信託変更契約書を作成する必要があります。専門家に依頼する場合、一般的に約10万円程度の信託契約書作成費用が発生します。

開始時と同様に、公正証書での作成や信託不動産について信託登記の内容に変更が生じる場合には変更登記も必要です。特に信託口座を開設している場合には、変更後の公正証書の契約書を金融機関に提出することが求められることもあります。それぞれ費用は開始時と同様です。

9-3.信託監督人・受益者代理人に専門家が就任した場合

家族信託において、受益者の高齢化や判断能力の低下によって監督能力が不足する場合、信託監督人受益者代理人を設定することがあります。基本的にはご家族の中で選任されますが、信託終了まで専門家のサポートをもらい安心感を得るために、専門家を選任するケースもあります。

ただし、家族信託の初期費用のほかに、継続的に毎月または毎年の報酬が発生します(年額1万円~数十万円程度が目安)。

専門家の就任が必須条件となるケースも…

専門家によっては、受託者による不正を防ぐ目的で、専門家が信託監督人になることを、家族信託を依頼するための必須条件としていることがあります。初期の相談段階で、信託監督人や受益者代理人の指名について規約があるか確認しておきましょう。

9-4.受託者に報酬を支払う場合の信託報酬

家族信託の多くでは、家族が受託者となるため、受託者の報酬は基本的に発生しません。しかし、信託契約書の中で受託者に対して報酬を支払う旨を定めることができます。

信託報酬が設定された場合、その支払いは通常、定期的に行われます。支払いの頻度や金額は信託契約によって異なるため、契約を締結する際には報酬の上限や支払方法を契約に明記しておくことが重要です。

9-5.家族信託スタート後の専門家への相談費用

家族信託契約の締結後も、財産管理や手続きについて疑問や不明点が生じることがあります。専門家への相談は、これらの疑問を解消し、信託運用をスムーズにするために不可欠です。専門家によっては、簡単な質問や相談については無料で対応する場合もありますが、具体的な手続きや詳細な相談をする場合には、通常1時間あたり約5,500~11,000円の費用がかかります。

10.動画解説|家族信託に係る費用・報酬・相場とは?

11.まとめ

  • 家族信託を実施するのに、専門家に依頼しないで自分で手続きするのであれば、手続き費用として20万円前後になる。
  • 家族信託は自分で実施するのは様々な観点でリスクが高く、専門家に依頼しようとすると手続き費用に加えて30万円~60万円がかかる。
  • 家族信託費用を見る上で、費用に作用する要素として①専門家に依頼するか、②信託の難易度、③信託財産の規模と内容、④手続きの範囲がある。
  • 家族信託の構造や税金が発生してしまうポイントを押さえておかないと、余計な税金を支払うはめになるので注意が必要である。

実際にご家庭で、家族信託を検討する際にかかる費用の相場感と優秀な専門家の見分け方をお伝えしました。家族信託・民事信託はご自分でもできる手続きですが、まだ実務が確立していない部分も多く、専門家も実務動向を調べながらそれぞれの家族に最適な家族信託・民事信託の設計をしています。

専門家に支払う費用はそれなりにかかりますが、その費用分の安心感を得られるというメリットもあります。この記事がみなさまの最適な選択の手助けとなれば幸いです。私たちの事務所でも、初回面談は無料にてご相談を受け付けておりますので、ご興味にある方は是非ご連絡ください。

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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