相続登記の必要書類とは?ケース別の書類、取得方法、綴じ方を解説

相続登記の手続きを進めるためには、さまざまな必要書類の提出が求められます。また、遺言書がある、遺産協議書がある、と相続のパターンによっても提出物が異なるので注意が必要です。このブログでは、ケース別に必要な書類やその取得方法、そして書類の綴じ方についても詳しく説明します。
記事のポイントは以下のとおりです。

  • 相続登記の必要書類は、遺言があるか、遺産分割協議をしたかで変わる
  • 書類によって取得できる役所が異なり、効率的に取得するためには取得方法と場所を事前に確認する必要がある
  • 被相続人の除籍謄本が滅失して取得できないときは、自治体の証明書が必要になることがある
  • 書類を正確に返却してほしい場合は、ルール通りの綴り方をするとよい

初めて相続登記に取り組む方や、手続きに不安を感じている方のために、分かりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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1.【ケース別】相続登記必要書類一覧表

相続登記の手続きを円滑に進めるためには、ケースごとに必要な書類をしっかりと把握しておくことが重要です。相続の仕方によって、必要書類は異なります。本章では、以下のケースに分けて必要書類を詳しく解説します。

それぞれのケースに応じた書類の一覧表を掲載し、取得方法や注意点についても解説していきます。これにより、相続登記の準備がスムーズに進み、手続きを無駄なく進行させることができるでしょう。

2-1.法定相続分による相続

法定相続による相続は、遺言が存在しない場合に民法で定められた相続分に従って財産を分配する方法です。例えば、父親が亡くなり法定相続人が配偶者と子供2人の場合、配偶者が1/2、子供たちがそれぞれ1/4ずつの割合で財産を分配します。

不動産が含まれる場合、法定相続分通りに分けることが難しく、分け方で揉めたり手続きが複雑になることが多いです。認知症を患って意思能力を喪失した相続人がいる場合も遺産分割協議ができないため、法定相続分通りになります。
以下は、このケースで必要となる書類です。

書類名 入手場所
被相続人の戸籍謄本(出生~死亡)
市区町村役場
被相続人の住民票除票
相続人全員の戸籍謄本
不動産を相続する相続人の住民票
登記事項証明書 不動産所在地の法務局
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場
相続関係説明図 自分で作成
委任状 ※司法書士に依頼する場合
登記申請書
収入印紙 郵便局、法務局など
返信用封筒と郵便切手 郵便局など

2-2.遺産分割協議による相続

遺産分割協議によって相続を実施する場合、法定相続人全員で遺産をどのように分けるかを話し合い、合意します。この協議が整わない場合は、法定相続となります。

遺産分割協議が成立した場合、合意内容を「遺産分割協議書」として作成します。この書類には、全ての相続人が署名し、実印を捺印します。また、相続登記を進める際には「遺産分割協議書」とともに、全ての相続人の「印鑑証明書」が必要です。
以下は、遺産分割協議による相続で必要となる書類です。

書類名 入手場所
被相続人の戸籍謄本(出生~死亡)
市区町村役場
被相続人の住民票除票
相続人全員の戸籍謄本
不動産を相続する相続人の住民票
登記事項証明書 不動産所在地の法務局
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場
相続関係説明図 自分で作成
委任状 ※司法書士に依頼する場合
登記申請書
収入印紙 郵便局、法務局など
返信用封筒と郵便切手 郵便局など
遺産分割協議書 自分で作成
相続人全員の印鑑証明書 市区町村役場

2-3.遺言による相続

遺言による相続を行う場合、通常の相続登記に必要な書類に加えて「遺言書」が必要になります。法定相続人が相続する場合と法定相続人以外の第三者が遺贈を受ける場合で必要な書類や手続きが異なるため、以下で詳しく説明します。

(1)法定相続人が相続する場合

遺言書には3つの形式があります。「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」です。自筆証書遺言(法務局で保管されていないもの)と秘密証書遺言は家庭裁判所での検認が必要です。一方、法務局で保管されている自筆証書遺言と公正証書遺言は検認が不要で、遺言書の提出だけで手続きを進められます。
それぞれどのパターンでも遺言書と以下の書類で手続きができます。

書類名 入手場所
被相続人死亡時の戸籍謄本 市区町村役場
被相続人の住民票除票(又は戸籍の附表)
不動産を相続する相続人の戸籍謄本
登記事項証明書 不動産所在地の法務局
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場
相続関係説明図(又は法定相続情報一覧図) 自分で作成
委任状 ※司法書士に依頼する場合
登記申請書
収入印紙 郵便局、法務局など
返信用封筒と郵便切手 郵便局など
遺言書
自宅金庫、法務局、公証役場など

(2)法定相続人以外の第三者が遺贈を受ける場合

遺言書に基づいて法定相続人以外の第三者に相続財産を渡すことを「遺贈」といいます。遺言執行者が指名されている場合は、その方の印鑑証明書が必要です。家庭裁判所によって遺言執行者が選ばれた場合は、印鑑証明書に加えて「遺言執行者選任審判謄本」も必要になります。

書類名 入手場所
被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生~死亡) 市区町村役場
被相続人の住民票除票
受遺者の戸籍謄本
受遺者の住民票
登記事項証明書 不動産所在地の法務局
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場
相続関係説明図(又は法定相続情報一覧図) 自分で作成
委任状 ※司法書士に依頼する場合
登記申請書
収入印紙 郵便局、法務局など
返信用封筒と郵便切手 郵便局など
遺言書
自宅金庫、法務局、公証役場など
法定相続人全員の印鑑証明書(3か月以内のもの) 市区町村役場

2.取得場所ごとに見る相続登記必要書類

効率よく相続登記の書類を収集するためには、一度の手続きで必要な書類を取得できることが理想です。ここでは、市役所、郵便局、コンビニ、法務局で取得する書類について詳しく説明します。

2-1.市役所で取得できる書類

相続人や被相続人の戸籍、印鑑証明書など、相続登記に必要な書類を一度に取得したい場合は、市役所の窓口に行くのが一番効果的です。その場で職員から質問や不明点について説明を受けられますし、取得できる書類が多数あります。ただし、役所が遠方にある場合や開庁時間中に訪問が難しい場合は、郵送での取得を検討しましょう。

取得できる書類は以下の通りです。

  • 戸籍住民課
    被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生~死亡):1通450円
    被相続人の住民票除票1通750円
    相続人又は不動産取得者の戸籍謄本1通450円
    相続人又は不動産取得者の住民票自治体により異なるが1通200~300円程度
    法定相続人全員の印鑑証明書自治体により異なるが1通200~300円程度
  • 資産税課
    固定資産評価証明書:1筆、1棟各200~300円程度

訪問の際には、印鑑や本人確認書類、手数料を忘れずに持参してください。また、2024年(令和6年)3月1日からは戸籍謄本の広域交付制度が始まり、最寄りの市区町村役場で他の市区町村の戸籍謄本を一括して取得できるようになり、負担が大幅に軽減されます。

「戸籍の広域交付制度」でどこでも、まとめて申請できる

従来は、本籍地が複数の市区町村にまたがる場合、各役所に郵送で請求を繰り返す必要があり、時間と手間がかかっていました。この制度により、相続や結婚の手続きで必要な戸籍謄本を、本籍地が遠方でも近くの役所でまとめて請求することが可能になりました。

この制度を利用するには、本人または配偶者、直系尊属の方が市区町村窓口に直接訪問する必要があり、郵送や代理人による請求はできません。また、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍はこの制度では取得できないため、その場合は従来通り個別に取得する必要があります。

最近始まった制度であるため、役所も運用に慣れるまでは時間がかかることがあります。訪問前に役所に確認することで、手続きがスムーズに進むようにしましょう。詳細はこちらの記事をご覧ください。

2-2.郵便局やコンビニで取得できる書類

一部の郵便局や多くのコンビニエンスストアでは、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などの取得サービスを提供しています。これらのサービスを利用する際には、自分が取得を考えている地域で対応しているかどうかを、事前に確認する必要があります。

郵便局では、取得可能な書類が限られており、除籍や改製原戸籍の証明書は取り扱っていません。コンビニでは、マイナンバーカードを利用して設置されているマルチメディア端末から必要な書類を印刷することができますが、取得可能な戸籍謄本は限定されています。そのため、希望する書類が取得可能かどうか事前に確認することが重要です。

また、相続登記の登録免許税を納付するための「収入印紙」も購入できます。事前に固定資産税額を計算し、必要な収入印紙の金額を確認しておきましょう。これらのサービスを利用することで、相続登記に必要な書類を効率的に取得し、手続きを円滑に進めることができます。

  • 被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生~死亡):1通450円
  • 相続人又は不動産取得者の戸籍謄本1通450円
  • 相続人又は不動産取得者の住民票自治体により異なるが1通200~300円程度
  • 法定相続人全員の印鑑証明書自治体により異なるが1通200~300円程度
  • 収入印紙:固定資産税額分を取得する

参考:郵便局HP|公的証明書の受け取り
参考:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付|コンビニ交付

2-3.法務局で取得できる書類

相続登記を行う際には、基本的には相続した不動産の所在地を管轄する法務局で手続きを進める必要があります。日本全国にある法務局の中から管轄する法務局を確認するためには、法務局ホームページの管轄案内を利用してください。

ただ、登記事項証明書は全国どこの法務局でも取得できます。法定相続証明情報一覧図は、被相続人の本籍地・住民票のあった法務局か相続人の住民票のある法務局、対象不動産がある法務局で手続をすることができます。

  • 登記事項証明書:1通600円
  • 法定相続証明情報一覧図:無料

3.相続登記の必要書類と取得方法

相続登記をスムーズに進めるためには、必要書類を正確に揃えることが重要です。この章では、以下9つの相続登記に必要な書類とその取得方法について詳しく説明します。(リンク付きですので、気になる書類をクリック(タップ)してください。)

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3-1.被相続人の身分に関する書類

被相続人が関連する必要な書類としては、戸籍謄本、住民票除票、戸籍の附表があります。

出生から死亡までつながる戸籍謄本

被相続人(亡くなった方)が生まれたときから死亡するまでの戸籍謄本が必要です。結婚や転籍の際に新しい戸籍が作られるため、これらを含む連続した戸籍謄本を取得する必要があります。これらの戸籍謄本は、被相続人の本籍地のある市区町村役場で取り寄せましょう。

引用元:東京都北区「戸籍全部事項証明書」

住民票除票

住民票除票とは、住民票の記載が抹消された際に作成される書類です。被相続人が死亡したり、転出したりした際に、住民票からその情報が抹消されますが、その際にその履歴として残るのが住民票除票です。被相続人が居住していた市区町村の役場で取り寄せることできます。

この書類は、登記簿上の登記名義人と被相続人が同一人物であることを証明するために必要です。もし、住民票除票上の住所と相続登記の対象となる不動産の登記簿に記載されている被相続人の住所が異なる場合は、一つ前の住民票があった市区町村の役場で取り寄せる必要があります。

戸籍の附表

住民票除票と同じく、戸籍の附表には被相続人の住所、本籍、氏名が記載されているため、もし住民票除票で住所がつながらない場合には、戸籍の附表を取得することで過去の住所がつながるケースがあります。この書類も、被相続人の本籍地の市区町村の役場で取り寄せる書類です。

被相続人が市区町村をまたいで頻繁に引っ越しをしていた場合、各住所の履歴が記載されている住民票除票または戸籍の附表を各市区町村役場で取り寄せる必要があり、手間がかかることもあります。

ただし、最近の法改正により、最寄りの市区町村役場の窓口で相続手続きや行政手続きに必要な戸籍謄本が取得できるようになりました。この場合、取得は本人による窓口での手続きに限られ、郵送や代理人(専門家の職務上請求も含む)による取得はできないため、注意が必要です。こちらの詳細については、以下の記事からチェックしてください。

3-2.相続人の身分を証明する書類

相続人が関連する必要な書類としては、戸籍謄本、住民票があります。

相続人全員の戸籍謄本

これは相続発生時に相続人となる方と被相続人の関係を確認するために提出するもので、相続人と被相続人の関係、および相続発生時に相続人が存在することを証明する目的があります。現在の戸籍を示す謄本だけで十分であり、戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得できます。

不動産を相続する人の住民票

相続人の住所を証明できればよいため、住民票の代わりに印鑑証明書や戸籍の附表を提出しても差し支えありません。これらの書類は住所所在地の市区町村役場で取得できます。また、戸籍の附表は本籍地の市区町村役場で取り寄せます。

3-3.登記事項証明書

相続登記の手続きは法務局で行いますが、その際に対象となる不動産の正確な情報が必要です。登記事項証明書には、所有者の情報や地番、家屋番号など、相続登記申請に必要な詳細な情報が記載されています。この証明書を事前に法務局で取得し、相続登記の書類作成に活用します。登記事項証明書自体を相続登記の際に提出する必要はありません。

引用元:法務局「登記事項証明書」

3-4.固定資産評価証明書

相続登記の際には、法務局で登録免許税を納付する必要があります。登録免許税は、対象となる不動産の固定資産税評価額に基づいて計算されるため、正確に計算するためには固定資産評価証明書が必要です。

固定資産税評価額は毎年変動するため、相続登記の際に提出する固定資産評価証明書は最新年度のものである必要があります。年度は3月末で切り替わるため、3月や4月など年度がまたがる時期に相続登記を申請する場合は、その年度の評価証明書であることを確認することが重要です。

例えば、2023年3月31日までに相続登記を申請する場合は、2022年度の固定資産評価証明書が必要ですが、2023年4月1日以降に申請する場合は、2023年度の固定資産評価証明書が必要となります。固定資産評価証明書は、不動産が所在する市区町村役場で取得できます。

引用元:京都市「【見本】土地評価(公課)証明書」

引用元:京都市「【見本】家屋評価(効果)証明書」

3-5.相続関係説明図(法定相続証明情報一覧図)

相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係を一目で理解できるようにまとめた図のことです。これを相続登記の申請時に提出すると、戸籍謄本の原本を後で返却してもらうことができます。

引用元:法務局「所有権移転登記申請書(相続・法定相続)」

法定相続証明情報一覧図で代用可能

相続関係説明図は、戸籍謄本とセットで定められた様式に従って作成し、法務局に提出することで、金融機関の相続手続きで戸籍謄本の代わりに提出できる法定相続証明情報一覧図として使用することができます。法定相続証明情報一覧図は、以下の法務局で発行できます。

  • 被相続人の本籍地を管轄する法務局
  • 被相続人の住民票があった地域を管轄する法務局
  • 相続登記の手続きをする相続人の住民票がある地域を管轄する法務局
  • 相続登記の対象となる不動産がある地域を管轄する法務局

この法定相続証明情報一覧図は、相続登記とセットで申請することができます。相続登記申請時に取得しておくと、その後の金融機関などでの手続きがスムーズに進み、非常に便利です。

参考:法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」

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3-6.委任状

相続登記の手続きを相続人自身が行わない場合、相続人から手続きを依頼されたことを示す委任状が必要です。相続人自身が手続きを行わない場合、多くのケースで司法書士に依頼することが一般的です。このため、委任者が相続人で、委任を受ける人が司法書士である委任状が必要となります。

司法書士に依頼する場合、司法書士が委任状を作成し、相続人が署名・押印するだけで使用できる状態にしてくれますので、自分で委任状を作成する必要はありません。この手続きにより、相続登記がスムーズに進められるようになります。

3-7.登記申請書

相続登記を行う際には、取得した必要書類とともに相続登記の申請書を作成し、法務局に提出する必要があります。相続登記の申請書は法務局のホームページからダウンロードできます。申請書の書き方は、被相続人が所有していた不動産の持分の状況や相続人によって異なるため、記載方法に注意が必要です。適切に記入された申請書を提出することで、相続登記がスムーズに進められます。

3-8.収入印紙

収入印紙は、公的な料金や税金の支払いを証明する公式の証票です。これは、税金や手数料を納付する際に使用され、国が発行しています。相続登記の登録免許税を納付する際にも収入印紙が利用されます。

収入印紙は、郵便局や法務局で購入することができます。また、都市部のコンビニエンスストアでも取り扱っていますが、特に高額なものや200円以下の小額なものは、コンビニでは取り扱っていないことが多いです。収入印紙を貼付するための台紙(単純なA4の白紙で構いません)を用意し、そこに収入印紙を貼り付けます。消印は法務局が行うので、申請者側で消印をしないように注意してください。

相続登記の際の登録免許税は、固定資産評価証明書に記載されている固定資産税評価額を基準に計算されます。計算式は以下の通りで、課税価格に登録免許税率を掛けたものから100 円未満を切り捨てたものが登録免許税額となります。計算した額が 1000 円未満の場合の登録免許税は 1000 円となります。

  • 固定資産税評価額×0.4%

不動産を贈与や売買で取得する場合の税率は2.0%なので、相続時の登録免許税は他のケースと比べて低く設定されています。

3-9.返信用封筒

相続登記申請後に、登記識別情報、登記完了証、戸籍謄本などの書類を法務局から受け取る必要があります。これらの書類は法務局の窓口で受け取る方法のほか、郵送で受け取ることもできます。

個人が郵送で登記識別情報を受け取る場合、その旨を登記申請書に記載し、返信用封筒と切手を用意する必要があります。返信用封筒は、本人受取限定郵便で行うため、返信先の情報を明記し、所定の料金分の切手を事前に貼ったものを準備します。封筒の大きさは、申請書類が収容可能なサイズであることが重要です。

参考:法務局HP:不動産登記に関する“よくある質問”

4.特殊なケースでの相続登記の必要書類

相続人の一部が海外居住の日本人や外国籍の外国人などの場合のように特殊なケースでは、必要書類は変わります。以下、特殊なケースにおける相続登記の必要書類を解説します。

4-1.相続人に海外居住の方がいるケース

日本国内で住民票登録をしていない海外居住の日本人が相続人にいる場合、住民票や印鑑証明書を取得することができません。この場合、以下の書類を代わりに添付します。

住民票の代わり:在留証明書や宣誓供述書

これらは、現在居住している国の日本領事館もしくは大使館で発行されます。申請できるのは、日本国籍を有する人のみであり、二重国籍となっている場合も含まれます。

印鑑証明書の代わり:署名(サイン)証明書

居住地の日本領事館もしくは大使館で署名(サイン)証明書を取得します。なお、この手続きには二つの種類、「形式1」と「形式2」が存在します。

形式1 申請者が領事の前で文書に署名をし、その署名が本人のものであることを在外公館が証明する。登記委任状や遺産分割協議書など、本人が署名を必要とする文書を事前に準備しておく必要がある。
形式2 署名そのものが本人によるものであることを証明する文書。このタイプの証明書は印鑑証明書の役割を果たすが、具体的な文書に署名をしたことに関しては証明されない。

署名証明書を利用して遺産相続の手続きを行う際、どちらの形式が必要かは、それを受け取る機関や会社により異なります。したがって、署名証明書を取得する際には、相続登記を担当する司法書士や法務局に必要な形式を確認しておきましょう。

また、在外公館から遠く、署名証明書の取得が困難な場合は、外国の公証人によって作成された署名証明書が受け入れられることもあります。

4-2.相続人に外国人がいるケース

相続人が外国籍である場合、日本での書類制度である戸籍謄本、住民票、印鑑証明書が外国には存在しないことがあります。そのため、相続人に外国の方や外国籍の方がいる場合には、各国ごとの制度を確認し、対処する必要があります。

書類制度がある場合には、その書類と翻訳文を相続登記の必要書類として提出します。しかし、これらの書類制度がない場合には、在日領事館や本国の公証役場で「宣誓供述書」を作成し、被相続人と相続人の関係や遺産分割協議の内容を記載します。

宣誓供述書は、相続登記において必要な情報を証明する書類として利用されます。これにより、外国籍の相続人が必要な手続きを適切に行うことができます。

4-3.相続登記前に相続人が亡くなったケース(数次相続)

数次相続とは、相続人が相続登記の手続きを終える前に逝去し、新たな相続人が発生するケースを指します。この場合、元の相続と新しい相続の両方に関する戸籍謄本が必要です。

まず、登記簿上の所有者の相続に加えて、新たに発生した相続についても戸籍謄本(出生から死亡まで)を取得する必要があります。以前に登記簿上の所有者である被相続人(登記名義人)について取得した書類と情報が重複する場合は、同じ戸籍を二重に取得する必要はありません。

さらに、前の相続人に加え、新たな相続人も含めた全員で遺産分割協議を行う必要があります。そのため、新たな相続人の印鑑証明書を含め、相続人全員の印鑑証明書が必要です。

4-4.相続人の一部が相続放棄したケース

相続放棄が成立すると、放棄した相続人は法的には初めから相続人でなかったものと見なされ、遺産に関する権利を主張することはできなくなります。相続放棄の手続きは家庭裁判所で行われ、その結果として「相続放棄申述受理証明書」が発行されます。この証明書の代わりに「相続放棄申述受理通知書」も使用可能です。

相続登記では、相続放棄を行った相続人に関しては遺産分割協議に参加させる必要がありません。ただし、申請時には相続放棄が行われたことを証明するために、「相続放棄申述受理証明書」または「相続放棄申述受理通知書」のどちらかを提出する必要があります。

5.相続登記書類が取得できない時の対処法

相続登記の際には被相続人に関する書類が必要ですが、被相続人が何度も引っ越したり婚姻を繰り返していたりすると、戸籍謄本や住民票除票の取得が難しくなることがあります。書類が取得できない場合は、ケースによって異なる書類が必要になりますので、見ていきましょう。詳しく知りたい方は以下のブログをチェックしてください。

5‐1.戸籍謄本の焼失証明書

災害や震災により戸籍謄本が消失してしまい、入手不可能なケースがあります。この場合、市区町村役場が発行する「戸籍謄本の焼失証明書」を利用します。これは戸籍の記録が焼失または滅失したことを公式に証明する文書です。

「除籍等の謄本を交付することができない」旨の市区町村長の証明書を提供すれば、相続登記を申請することが認められます。

5-2.不動産登記済権利証(登記識別情報通知書)

住民票除票や戸籍の附表が保存期間経過により取得できない場合、不動産登記済権利証(登記識別情報通知書)を添付します。これにより、被相続人と登記簿上の所有者が同一であることを証明できます。この証明書があれば、不在籍証明書や不在住証明書、上申書の提出は不要です。

5-3.不在籍証明書、不在住証明書

住民票除票や戸籍の附表が取得できないときに、不在籍証明書不在住証明書を登記簿上の住所地の市区町村役場で取得します。これにより、登記簿上の住所に被相続人の住民票や本籍登録がないことを証明します。

5‐4.相続人全員の上申書・印鑑証明書

相続人全員が、登記簿上の所有者が自分の被相続人であることを法務局に対して申告します。上申書には相続人全員の署名と実印が必要であり、さらに相続人全員の印鑑証明書も添付します。

古い書類の取り寄せが難しいケースでは、司法書士に相談しながら手続きを進めることをおすすめします。最近では、オンラインで利用できる定額制のシンプルな相続登記サービスもありますので、手続きが難しく感じるときはオンラインサービスを検討してみましょう。

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6.相続登記申請書と必要書類の綴じ方

相続登記申請書や添付書類を法務局に提出する際には、書類の並べ方や綴じ方について一定のルールがあります。厳密にこのルールに従う必要はありませんが、法務局から遺産分割協議書や戸籍・住民票等を正確に返却してもらうためにも、一般的な相続登記の書類の並べ方・綴り方を覚えておくことが重要です。

6-1.書類の並べ方

相続登記を申請する際には、必要な書類を正しい順番で並べることが重要です。相続登記申請書の添付書類には、原本とともにコピー(写)を添えることで、法務局から返却してもらえる書類があります。これを「原本還付」と言います。

ここでは遺産分割協議による相続登記申請の場合の書類の並べ方を紹介します。

◆法務局に保管され、返却されない書類
1)相続登記申請書(原本)
2) 収入印紙貼付台紙(原本)
3)相続登記の委任状(原本)
4)相続関係説明図(原本)
◆原本還付をしてもらうために提出する書類
5)遺産分割協議書(コピー)
6)印鑑証明書(コピー)
7)被相続人の住民票の除票or戸籍の附票(コピー)
8)遺産分割協議により不動産を取得した人の住民票or戸籍の附票(コピー)
9)固定資産評価証明書(コピー)
◆原本還付をしてもらいたい書類
10)被相続人の死亡~出生までの戸籍謄本等、相続人の現在戸籍(原本)
11)遺産分割協議書(原本)
12) 印鑑証明書(原本)
13) 被相続人の住民票の除票or戸籍の附票(原本)
14) 遺産分割協議により不動産を取得した人の住民票or戸籍の附票(原本)
15) 固定資産評価証明書(原本)

「被相続人の死亡~出生までの戸籍謄本等、相続人の現在戸籍」は「相続関係説明図」が代わりとなるため、全ての戸籍をコピーして添付する必要はありません。

6-2.相続登記申請書と相続書類の綴じ方

書類を並べた後の綴じ方にもルールがありますので注意しましょう。

ステップ①:法務局に保管され返却されない書類

まず、「1)相続登記申請書」と「2)収入印紙貼付台紙」をホッチキスで綴じ、書類の見開き部分に契印をします。契印は、2枚以上の文書が一連のものであることを示すために押印する方法で、ページの連続性を確保し文書の差し替えを防止します。契印に使用する印鑑は、申請書に押印したものと同じ印鑑を使用します。

また、2) 収入印紙貼付台紙には登録免許税相当額の収入印紙を貼付しましょう。その後に続けて「3)相続登記の委任状」「4)相続関係説明図」を書類の下に重ねます。

ステップ②:原本還付をしてもらうために提出する書類

その後、【5)~9)】の書類(コピー)をホッチキスで綴じます。これらのコピーの先頭に「この写しは原本に相違ありません」と記載し、申請人の氏名を記載してその横に印鑑を押します。また、これらの書類にも契印を行います。

ステップ①と②で作成した書類はすべて法務局に提出した後、法務局にて保管される書類です。【1)~4)】の書類の下に【5)~9)】を重ねてホッチキスで綴じます。

ステップ③:原本還付をしてもらいたい書類

【10)~15)】の書類(=原本)をホッチキスで綴じます。これらは登記申請が完了すると手元に返ってくる書類です。

ステップ④:すべての書類をまとめる

最後に、ホッチキスで綴じた【1)~4)、5)~9)】の書類と【10)~15)】の書類を大きめのクリップまたは輪ゴムでまとめ、法務局に提出します。

7.相続登記の必要書類に関するよくある疑問

相続登記の際には、多くの書類が必要です。相続人が多い場合、さらに書類が増え取り寄せに時間がかかったり、取り寄せが困難になる場合もあります。ここでは、相続登記の書類に関してよくある疑問とその答えをまとめました。ぜひ参考にしてください。

7-1.提出するのは原本?コピー?

相続登記に提出する書類は、すべて原本です。登記手続き終了後に書類の返却を希望する場合は、提出書類のコピーを取り、コピーの末尾に「原本と相違ない」旨を記載し、記名押印することで原本の返却を受けることができます。

また、相続関係説明図を添付すると、戸籍謄本などの原本の返却が受けられます。法定相続証明情報一覧図を提出した場合は、原本の提出自体も省略できます正しい手続きを行わないと返却が受けられないことがあるため、提出時に返還方法も確認しておきましょう。

7-2.相続登記の書類の有効期限は?

相続登記では、書類の有効期限は決まっていません。時間が経過した書類でも記載内容に変更がない場合は利用できます。ただし、相続人の戸籍謄本は、相続発生時に相続人が存在(生存)していることを証明するため、被相続人が死亡した後に発行されたものである必要があります。

7-3.不動産権利証を紛失したときは?

相続登記では不動産権利証(登記済証・登記識別情報)の提出は不要です。そのため、不動産権利証を紛失しても相続登記は可能です。

ただし、被相続人の住民票除票または戸籍の附票を提出できない場合に、その代用書類として不動産権利証の提出が求められることがあります。不動産権利証は再発行できない書類であるため、権利証なしで手続きをする場合は法務局で相談が必要です。手続きが難しいときは、司法書士に相談しましょう。

弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続登記においてどんな手続きが必要なのか、ご家庭の事情を把握した上でご説明いたします。無料相談も実施していますので、ぜひご活用ください。

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8.相続登記の申請方法

相続登記申請書と必要書類が揃ったら、相続不動産を管轄する法務局に相続登記を申請します。

8-1.管轄する法務局を調べる

相続登記を進める前に、まずは管轄する法務局を確認しましょう。

不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。管轄する法務局はホームページで調べることができます。間違った法務局に申請してしまうと、却下や取下げ手続きが必要となり、再度の手間と時間がかかってしまいます。

参考:法務局HP|管轄のご案内

8-2.相続登記を申請する

相続登記を含む不動産登記の申請方法としては3つの方法があります。

  • 書面申請
  • 郵送申請
  • オンライン申請

以下、解説します。

書面申請

直接、管轄の法務局に訪れ、申請窓口にて相続登記の申請書類を提出する方法です。

法務局の相談窓口もあり、職員に質問しながら書類の修正が可能です。窓口で相談する場合には、事前に予約が必要な場合もあるので確認しておきましょう。申請に必要な印鑑やその他の必要書類を持参し、指定された窓口で手続きを進めます。

郵送申請

法務局に書類を郵送で提出する方法です。「相続登記申請書在中」と封筒に明記し、確実に法務局に届くように書留で送付します。ただし、郵送で行うため、間違いがないように申請書類の確認は細心の注意を払って行っておきましょう。もし不備があった場合、訂正のために直接法務局に足を運ぶ必要があります。

オンライン申請

最近増えてきたのが、オンラインを利用した相続登記の申請方法です。「登記・供託オンライン申請システム」を通じて手続きが行えますが、ICカードリーダーやマイナンバーカードの電子証明書を利用することで、電子署名の環境を整える必要があります。また、登録免許税の納付も電子方式で行えます。しかし、オンラインでの手続きは初めての方にとっては難易度が高いため、専門家、特に司法書士に相談することをおすすめします。

9.まとめ

本記事では、相続登記の必要書類について解説しました。内容をまとめると以下のようになります。

  • 相続登記の必要書類は、遺言があるか、遺産分割協議をしたかで変わる
  • 書類によって取得できる役所が異なり、効率的に取得するためには取得方法と場所を事前に確認する必要がある
  • 被相続人の除籍謄本が滅失して取得できないときは、自治体の証明書が必要になることがある
  • 書類を正確に返却してほしい場合は、ルール通りの綴り方をするとよい

相続登記の手続きには提出する書類が多く、相続人が多いときや被相続人が転居を繰り返しているときなどは書類を揃えるのに手間と時間がかかることになるでしょう。また、古い書類は取得できず、自治体の証明書が必要になることもあります。手続きに困難を覚えるときは、司法書士に依頼することも検討してみましょう。

相続登記の多くの事案を扱ってきた当事務所では、手続きをスムーズに行うためのご提案やサポートを実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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