任意後見契約の解除方法とは?必要書類や申請先について解説

任意後見の解除について、必要な手続きや申請方法を詳しく解説します。認知症の兆候があった親のために契約を結んだものの、現在はその必要性が薄れていると感じている人もいるのではないでしょうか。

任意後見契約は、高齢者やその家族が将来のリスクに備えて結ぶ契約ですが、状況の変化により見直しが必要になることもあります。

記事のポイントは以下のとおりです。

  • 任意後見契約は任意後見監督人選任前であれば、自由に解除可能である
  • 任意後見監督人選任後は正当な理由と家庭裁判所の許可が必要である
  • 任意後見契約は、監督人選任の前後で手続きや必要書類が異なる
  • 解除手続きには公証人の認証や後見終了の登記申請が必要である

本記事では、契約解除に必要な書類や申請先を含めてわかりやすく解説します。解除を検討中の人にとって、適切な手続きを理解するためのガイドとしてお役立てください。

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1.任意後見契約は解除可能

任意後見契約は、契約を結んだ当初の事情が変わった場合や、契約の必要性が薄れたと感じた場合に解除が可能です。契約解除のタイミングとしては、任意後見監督人が選任される前と後のどちらの場合でも対応できます。

ただし、それぞれの状況において解除の手続きや必要な条件が異なるため、注意が必要です。任意後見監督人選任前であれば、比較的自由に契約を解除できますが、選任後は正当な理由と家庭裁判所の許可が求められます。

1-1.任意後見監督人選任前であればいつでも解除可能

任意後見監督人が選任される前であれば、任意後見契約はいつでも解除できます。この場合、本人または任意後見受任者が、公証人の認証を受けた書面の作成により、契約の解除が可能です。

解除手続きは比較的簡単であり、特別な理由や許可は必要とされません現在の生活状況が安定し、契約の必要性が薄れたと感じている場合には、早めの手続きをおすすめします。

1-2.任意後見監督人選任後は正当な理由と家庭裁判所の許可が必要

任意後見監督人が選任された後に、任意後見契約を解除する場合は、正当な理由が必要です。任意後見人がその任務に適さない場合や、契約の必要性が変わった場合などが該当します。

ただし、それだけでは、契約解除はできません。正当な事由に加えて、家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所は、契約解除に正当な理由があるかどうかを慎重に判断し、許可を出します。そのため、解除を希望する場合は、まず家庭裁判所に相談し、必要な手続きを進めましょう。

任意後見契約の解除における正当な事由とは

任意後見契約を解除する際の正当な事由は、契約が任意後見監督人選任後である場合に重要です。

解除が認められる正当な事由としては、主に以下の2つが挙げられます。

  • 任意後見人の職務遂行が困難な状況
    疾病や遠方への転居などにより、任意後見人が後見業務を継続することが難しい場合
  • 信頼関係の破綻
    被後見人と任意後見人との信頼関係が著しく損なわれ、修復の見込みがない場合

これらの事由により、契約の継続が被後見人の利益を著しく損なうと判断される場合には、家庭裁判所によって解除を認められる可能性があります。解除を希望する際は、具体的な状況を整理し、家庭裁判所に対して適切な理由を説明する必要があります。

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2.任意後見契約の解除申請を行う方法

任意後見契約の解除申請は、双方の合意または一方的な解除により行います。そのための手続きと注意点を把握しておくことが重要です。以下で、詳細な手続き方法を解説します。

2-1.任意後見契約の解除申請をする際の流れ

ここでは、具体的な解除申請の流れについて、「双方が合意した上で解除する場合」と「一方的に契約を解除する場合」に分けて解説します。

双方が合意した上で解除する場合の流れ

任意後見契約を双方の合意に基づいて解除する場合、契約解除内容について記載した書面を作成し、本人と後見人の署名捺印を行います。その後、公証人の認証を受けなければなりません。

解除手続きが完了した後は、書面の原本または公証人認証済みの謄本を添付し、後見終了の登記申請を行います。後見終了の登記により、契約解除手続きは完了します。

一方的に契約を解除する場合の流れ

任意後見契約の一方的な解除は、任意後見監督人が選任される前と後で異なります。

任意後見監督人選任前

任意後見監督人選任前では、「公証人の認証を受けた解除通知書」を配達証明付き内容証明郵便で相手に送付します。

配達証明付き内容証明郵便は、送付した文書の内容、発送日時、および配達の事実とその日時を証明するサービスです。第三者である日本郵便がその記録を公式に証明するため、重要な通知や法的手続きにおいて、文書の送付事実とその内容を確認する手段として利用されます。

配達証明が戻ってきた後、法務局で後見終了の登記を申請して手続きは完了です。解除通知書には、意思表示のみ記載すれば問題ありません。

任意後見監督人選任後

任意後見監督人選任後の場合は、家庭裁判所の許可が必要であり、正当な理由がなければ解除できません

例えば、任意後見人が高齢や病気などでサポートできなくなった場合や、任意後見人または本人が遠くへ引っ越したため、サポートが困難になった場合などです。家庭裁判所の許可を得た後、契約相手への意思表示により契約が終了します。

意思表示の方法については、前述の後見開始前と同様(「公証人の認証を受けた解除通知書」を配達証明付き内容証明郵便で相手に送付する方法)です。そして、配達証明が戻ってきた後の後見終了の登記により、契約解除手続きは完了します。

2-2.任意後見契約の解除を申請できる人

任意後見契約の解除申請権者は、任意後見受任者をはじめとする登記された関係者と、本人の四親等内親族が該当します。さらに、利害関係人や前述の申請権者から委任を受けた人申請できます。

申請から登記完了までの期間は、受領・郵送到着後1週間程度を要しますが、法務局からの登記完了連絡は行われていません。そのため、申請者自身で登記完了状況を確認する必要があります。

3.任意後見契約を解除する際の必要書類

任意後見契約の解除に必要な書類は、契約の状況や解除方法によって異なります。「任意後見監督人が選任される前に合意解除する場合」や「一方的に解除する場合」そして「監督人選任後の解除の場合」、それぞれに応じた書類が求められます。

必要書類をまとめると、以下のとおりです。

パターン1:任意後見監督人選任前の合意解除 パターン2:任意後見監督人選任前の一方的解除 パターン3:任意後見監督人選任後の解除
任意後見契約の合意解除の意思表示を記載し、公証人の認証を受けた書類の原本または認証のある謄本 任意後見契約の一方的解除の意思表示を記載し、公証人の認証を受けた配達証明付内容証明郵便の謄本 任意後見契約の合意または一方的解除の意思表示を記載した書面
配達証明(郵便局から届くはがき) 家庭裁判所の許可の審判書またはその謄本
確定証明書

申請者または代理人が法人の場合は、法人の代表者の資格を証する書面(発行から3か月以内)

委任状(代理人が申請する場合)

3-1.任意後見監督人選任前の合意解除の場合

任意後見監督人が選任される前であれば、任意後見契約は双方の合意により解除が可能です。この場合、「契約解除の合意を示す書面」を作成し、公証人の認証を受けた書類の原本または認証のある謄本を用意する必要があります。

具体的な書面の例としては、「任意後見契約を解除することに合意しました」という旨を明記し、双方ともに署名する形が一般的です。また、申請者が法人の場合は、代表者の資格を証する書面(発行から3ヶ月以内のもの)を提出する必要があります。代理人を通じて申請する場合は、委任状も必要です。

【作成例】

任意後見契約の合意解除書

委任者◯◯及び受任者◯◯は、令和  年  月  日付け東京法務局所属公証人◯◯作成同年第◯◯号任意後見契約公正証書による任意後見契約を、本日、合意解除する。

令和  年  月  日

住 所

委任者                          印

住 所

受任者                          印

令和◯年登簿第◯◯号

認証

嘱託者◯◯及び◯◯は、本公証人の面前で、別紙任意後見契約の合意解除書に署名押印したことを自認する旨陳述した。

よって、これを認証する。

令和◯年◯◯月◯◯日

東京都◯◯区◯◯丁目◯◯番◯◯号

東京法務局所属

公証人◯◯     印

参考:東京法務局 申請書記載例

3-2.任意後見監督人選任前の一方的解除の場合

任意後見監督人選任前において、契約を一方的に解除する場合、まず契約の相手方に対して解除の意思を明確に伝える必要があります。

その際、後々のトラブルを避けるため配達証明付きの内容証明郵便での通知を行い、届いた配達証明を添付して終了登記を行います。

【作成例】

解除通知書

 ◯◯県◯◯市◯◯町◯◯番地

(受任者)◯◯◯◯ 殿

 当方は,貴殿との間で、令和◯◯年◯◯月◯◯日◯◯地方法務局所属公証人〇〇〇〇作成令和〇〇年第〇〇号任意後見契約公正証書により任意後見契約を締結しましたが、本日、公証人の認証を得たこの書面により同契約を解除いたします。

 令和〇〇年〇〇月〇〇日

東京都◯◯区◯◯1丁目◯◯番◯◯号

(委任者)△△△△ 印

ーー配達証明付内容郵便の謄本2ページ目,公証人の認証の部分ーー

 令和〇〇年登簿第〇〇〇号

認   証

 嘱託人△△△△は、本職面前で署名押印した。

 上記認証する。

 令和〇〇年〇〇月〇〇日本職役場において

 ◯◯県◯◯市◯◯町◯◯番地

 ◯◯地方法務局所属

   公証人◯◯ ◯◯ 印

ーー以下、日本郵便の証明文ーー

参考:東京法務局 申請書記載例

 

3-3.任意後見監督人選任後の解除の場合

任意後見監督人選任後に契約を解除するには、家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所に解除の許可を申請し、許可を得た後に公証人の認証等の手続き(任意後見監督人選任前と同様の手続き)を経て、法務局で解除の手続きを行います

解除に必要となる書類は、以下の通りです。

  • 任意後見契約の合意または一方的解除の意思表示を記載した書面
  • 家庭裁判所の許可の審判書またはその謄本
  • 審判の確定証明書
  • 申請者または代理人が法人の場合は、法人の代表者の資格を証する書面(発行から3ヶ月以内)

これらの書類を準備し、法務局へ提出します。申請が受理されると、任意後見契約の解除が完了します。

4.任意後見の解除後は終了登記が必要

任意後見契約を解除する場合、手続きは状況によって異なりますが、最終的には後見終了の登記が必要となります。この登記申請は東京法務局後見登録課のみで受け付けており、窓口での直接申請または郵送による申請となります。なお、登記手数料は無料です。

契約締結時は公証人が登記手続きを代行しますが、解除時は当事者自身で終了登記を申請する必要があります手続きの際は、公証人の認証(費用5,500円)を受けた解除通知書が必要です。郵送で申請する場合は、完了の通知がないため、簡易書留など記録の残る方法を選択しましょう。

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5.まとめ

本記事では、任意後見契約の解除方法について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

  • 任意後見契約は任意後見監督人選任前であれば、自由に解除可能である
  • 任意後見監督人選任後は正当な理由と家庭裁判所の許可が必要である
  • 任意後見契約は、監督人選任の前後で手続きや必要書類が異なる
  • 解除手続きには公証人の認証や後見終了の登記申請が必要である

任意後見契約は、状況の変化に応じて解除できます。解除する際は、任意後見監督人の選任状況や解除理由に応じた適切な手続きが必要です。

任意後見監督人の選任後は、家庭裁判所の許可や正当な理由が求められるため、事前に必要書類や申請先を確認し、計画的に手続きを進めることが重要です。また、契約解除後には必ず終了登記を行い、法的手続きを完了させましょう。

また、手続きに関して不安や疑問がある場合は、司法書士や行政書士に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、スムーズかつ安心して手続きを進められるでしょう。任意後見契約の解除は慎重に対応すべき重要なステップです。必要に応じてプロのサポートを活用し、次のステージに備えましょう。

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