相続放棄で財産を受け取ってしまったら?問題ない財産と対処方法を解説

相続放棄をするつもりなのに、不注意に財産を受け取ってしまうことがあります。しかし、財産を受け取ってしまうと相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があるため注意が必要です。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

  • 香典や死亡保険金については、相続放棄をしても受け取れる可能性がある
  • 現金や不動産はもちろん本人が受け取るはずだったお金を受け取る際は注意が必要
  • 受け取ってしまった場合①使わずに保管しておく専門家に相談して対処する
  • もし相続放棄が単純承認で認められない場合は「即時抗告」が可能

本記事では、相続放棄の意思があるにも関わらず、財産を受け取ってしまったケースについて詳しく解説します。また、相続放棄により受け取れなくなる財産や、相続放棄後も受け取れる財産についても解説します。

なお、相続放棄には提出する書類が多く、手続きに手間がかかる傾向にあります。複雑な手続きをシンプルに進める方法については、次の記事で詳しく解説しています。相続関連のトラブルを回避するためにも、ぜひ参考にしてください。

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目次

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1.相続放棄の際受け取っていい財産

相続放棄を検討している場合、どの財産が受け取っても問題ないのか気になると思います。一般的に、相続放棄をする際には、一部の財産は受け取っても構いません。以下では、相続放棄の際に受け取っても問題のない財産について解説します。

1-1.香典、ご霊前

香典や御霊前は、葬儀の際に喪主(葬儀を主催する人)に贈られるお金です。これらは葬儀費用を助けるための贈り物で、相続の一部ではありません。そのため、相続放棄に影響されず、気にせず受け取ることができます。特別な手続きは必要ありません。

1-2.葬祭費、埋葬料【国民健康保険、健康保険組合】

これらは亡くなった方が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合、または健康保険組合に加入していた場合に支給される給付金です。こうした支給金は亡くなったことにより発生するもので、相続財産には含まれません。そのため、葬祭費や埋葬料を受け取っていても、相続放棄を行うことは可能です。

ただし、相続財産から葬祭費を捻出するとなると、話は別です。そのケースについては、別のブログで解説しているのでご確認ください。

1-3.仏壇や神棚、お墓、祭祀財産の特別な扱い

宗教的な財産である仏壇、神棚、お墓、祭祀財産については、相続放棄をしても受け取ることができます。これらの財産は、宗教的な信仰や家族の伝統に関連するものであり、相続財産とは異なります。ただし、相続放棄後も適切な管理が必要です。

1-4.死亡保険金【元相続人が受取人】

死亡保険金は、保険契約に基づいて支払われるもので、契約者が事前に指定した受取人に支払われます。このため、保険契約者が亡くなった場合でも、受取人に指定された人が生命保険金を受け取る権利が生じます。生命保険金を受け取っても、相続放棄を行うことは可能です。裁判例においても、生命保険金は相続財産に含まれないとの判断が示されています(最高裁判所判決平成14年11月5日を参照)。したがって、生命保険金を受け取っても、相続放棄の選択肢は依然として残されています。

1-5.遺族年金と未支給年金の取り扱い

遺族年金や未支給年金も、相続放棄をしても受け取ることができます。これらの支給は、亡くなられた方の社会保険料や年金保険料に基づいて行われるものであり、相続放棄とは別の法的取引です。遺族年金は、配偶者や子供などが受給対象となります。

2.相続放棄の際に受け取ると影響がある財産

相続放棄を検討する際には必ず注意したほうがいい財産について解説します。手続きで受け取ってくださいと言われたとしても、相続放棄をするならば受け取ってはいけないものですので注意しましょう。

2-1.現金、預金

亡くなった方が預金を持っていた場合、そのまま相続財産と見なされ、引き出すことはそもそも法的に問題です。これは相続放棄をするかどうかに関わらず、預金を無断で引き出すと、他の相続人から返還を求められる可能性があります。

加えて、預金を引き出してしまうと、相続放棄が受理されにくくなります。ただし、亡くなった方のために合理的な支出に使う場合、例えば葬式費用や墓石代などについては、不当に高額でない限りは相続放棄の妨げにはなりません。しかし、相続放棄の手続きの際の証拠として支出に関する証拠を保管しておかなければならないため慎重に扱った方がいいでしょう。

2-2.株式、債権、不動産、動産

株式や債権、不動産、動産などの財産を受け取ることは、相続放棄を難しくすることがあります。特に、「形見分け」として被相続人の動産を受け取る場合は、慎重に考えましょう。相続放棄の可否は、その品物により異なり、ケースごとに判断が必要です。判断できない場合は、専門家の助言を受けましょう。

2-3.生命保険金【被相続人本人が受取人】

生命保険契約の受取人が被相続人本人の場合、生命保険金は相続放棄に影響を及ぼします。前述したように相続人が受取人の場合は受け取っていい財産ですので、受取人が誰かによって相続放棄の可否が決まります。

生命保険金の扱いについては、書類をチェックしたり担当者に確認したりしながら慎重に検討する必要があります。

2-4.税金や健康保険等の還付金

還付金は、亡くなった方が支払った税金や保険料に関連して発生する返金です。具体的には以下の2つのカテゴリーに分けることができます。

税金に関する還付金

所得税や住民税などの税金を過剰に納めた場合、その過払い分は通常、亡くなった方の相続財産とされます。税金に対する還付金を受け取ると、相続放棄が難しくなります。

保険料に関する還付金

国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料などの保険料は、亡くなった方が過去に支払った場合、過払い分が生じることがあります。これらの還付金も通常、亡くなった方の相続財産と見なされます。

注意点として、税金や保険料に関する還付金を受け取ることは、相続放棄を難しくする可能性があります。相続放棄を検討する場合は、専門家のアドバイスを受けましょう。

3.相続放棄できるか判断が分かれる財産

以下の財産については、個別規定や至急の経緯によって、相続放棄の対象となるかどうかが変わります。もし、以下の3つのものを受け取るか悩んでいる方は、慎重に判断しましょう。

3-1.死亡退職金

死亡退職金は、通常、被相続人が受け取るはずだった退職金を、家族などが受け取るお金です。これは、被相続人が勤務していた会社が退職金制度を持っており、その制度に基づいて支給されるもので、支給金額は会社の規定によって異なります。

死亡退職金が相続財産に含まれるかどうかは、その支給規程により決まります。具体的には、支給基準、受給者の範囲、受給順位などの規定が考慮されます。もし支給規程に関する明確な規定が存在しない場合、支給慣行や支給の経緯などを考慮して、個別に相続財産に含まれるかどうかが判断されます。個別の状況判断が必要ですので、心配な方は専門家に確認することをオススメします。

3-2.高額療養費の還付金

高額療養費の還付金は、医療費の自己負担額が一定の限度を超えた場合に後から払い戻されるお金です。この還付金は、基本的には被相続人の死亡後でも、還付金の請求権は生前に発生しており、相続財産に含まれることが一般的です。

ただし、被相続人が他の家族を扶養しており、その家族が亡くなった場合、高額療養費の還付金は被保険者である被相続人ではなく、その家族が受け取ることになります。この場合、高額療養費の還付金は相続財産に含まれず、受け取っても相続放棄をすることが可能です。

要するに、高額療養費の還付金は、一般的には相続財産に含まれますが、被相続人が扶養家族を持つ場合、その家族が受け取る場合は相続放棄の対象外となります。相続放棄については、具体的な状況により異なるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

3-3.未払いの給与

未払いの給与が発生することがあります。未払い給与には受取人を指定する規定がある場合とない場合があります。

受取人の指定がない場合

未払いの給与について、受取人の指定がない場合、これは亡くなった方の財産と見なされ、相続財産の一部とされます。この場合、未払い給与を受け取ってしまうと、相続放棄が難しくなりますので、相続放棄を考えている場合は注意が必要です。

受取人の指定がある場合

勤務先の就業規則や契約において、受取人を指定する規定がある場合、未払いの給与は通常、その受取人の財産とされます。この場合、未払い給与を受け取って続放棄をすることができます。受取人の指定がある場合は、死亡退職金と同様の扱いとなります。

4.すでに財産を受け取ってしまった際の対処法

相続財産を受け取ってしまった方にとって、相続放棄ができるかどうか不安になっている方もいらっしゃるでしょう。もし、受け取ってしまっていたら、以下の方法で対処しましょう。

4-1. 使わずに保管しておく

もし、財産を受け取ってしまった場合は、まず使用しないまま保管しておきましょう。

相続放棄ができなくなるのは、被相続人の相続財産を一部でも使用したり紛失したり、破損した場合です。ですから、使わずに財産を管理している状況であれば、判例で財産の処分行為に当たらないと判断されることがあります。

ただし、当然裁判所にその旨を届け出る必要がありますし、裁判所の判断と個別の状況によっては、相続放棄ができなくなる可能性があることは否定できません。したがって、できる限り現金に手を付けず、専門家に相談することをおすすめします。安易に処分しないよう、気をつけましょう。

4-2. 専門家に相談する

財産を受け取ってしまった場合、相続放棄の可否は受け取った財産の種類に依存します。しかし、その判断は簡単なものではありません。特に、亡くなった方のご遺族は葬儀や法要などで忙しく、相続手続きに気が回りにくいことがほとんどです。

受け取った財産が相続放棄できるかどうかを判断することは難しいです。だからこそ、専門家の助言を受けることが非常に重要です。専門家は豊富な経験と知識を持ち、個々の状況に合わせたアドバイスを提供します。財産の種類や相続手続きについての適切な判断を専門家に相談することで、相続放棄をスムーズに進めることができます。失敗を避け、財産を保護するために、専門家のサポートを活用しましょう。

リーガルエステートでは、相続放棄に関するさまざまな案件を取り扱ってきた実績をもとに、財産の取り扱い方について適切にアドバイスいたします。相続放棄できるかどうか、ご不安な方は是非お気軽にお問い合わせください。

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5.財産を受け取ってしまうと相続放棄ができない理由

5-1.「法定単純承認」とは

法定単純承認とは、相続を承認したことを示す法的行為のことです。法定単純承認には、次の3つがあります。

  • 相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合
  • 期間内に相続の放棄をしなかった場合
  • 相続放棄後に相続財産の全部又は一部を隠匿した場合

それぞれどのような行為なのか、具体的に解説します。

5-2.相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合

相続人が相続財産の全部、あるいは一部を処分すると、法的に相続を承認したとみなされます。例えば、次の行為はいずれも相続財産の処分に該当する法定単純承認です。

  • 相続財産である不動産を譲渡した
  • 相続財産の動産を売却した
  • 被相続人の現金や預貯金を自分のために使った

これらの行為をすると、相続を承認したことになり、相続放棄はできなくなります。ただし、葬儀費用に財産の一部あるいは全部を使った場合は、相続財産の処分には該当しないと判断されるケースもあります。

5-3.期間内に相続の放棄をしなかった場合

相続放棄は、相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内に手続きをすることが必要です。この期限を過ぎてしまうと、相続の承認をしたとみなされるので、相続放棄はできなくなります。

財産や借金の調査に時間がかかり、3ヶ月以内に相続放棄するかどうかを決めかねるときは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に期間の伸長を申請しましょう。
なお、申請の際には、次の書類などを用意しておきます。

  • 期間伸長の申立書
  • 被相続人の住民票除票もしくは戸籍附票
  • 申立人の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分(相続人1人につき)
  • 連絡用の郵便切手

5-4.相続放棄後に相続財産の全部又は一部を隠匿した場合

相続放棄の手続きが完了した後でも、相続財産の全部あるいは一部を隠匿すると、相続放棄が認められないことがあります。例えば、相続する現金や債券の場所がわからないように隠したり、相続人や債権者に不利益を与えるために財産を使ったりしたときは、法的に相続を承認したと判断される可能性があるので注意しましょう。

6.相続放棄が認められなかったときの対処法

相続放棄の申し立てが家庭裁判所から一度却下された場合、再度相続放棄を試みることは難しいですが、正当な理由がある場合には「即時抗告」という手続きを行うことができます。

即時抗告とは、家庭裁判所から相続放棄の却下通知を受けた後、2週間以内に高等裁判所に対して行う異議申し立てのことです。相続放棄が認められない可能性がある場合、即時抗告は再度試みるための有効な手段となります。

即時抗告を行う際のポイントは以下の通りです。

期限厳守

即時抗告は、却下通知を受けてから2週間以内に行わなければなりません。期限を逃すと、抗告が受理されないことがあります。

証拠提出

即時抗告の際には、相続放棄が正当であることを証明するための証拠を提出する必要があります。正当な理由を示す証拠が不可欠です。

弁護士の支援

一般的に即時抗告は法的な複雑さを伴います。弁護士などの専門家の協力を得ることで、適切な手続きが行われ、成功の可能性が高まります。

相続放棄が認められないと判断された場合、即時抗告を検討することで再度相続放棄を試みる機会が生まれます。しかし、即時抗告には適切な証拠と専門的なサポートが必要です。相続放棄に関する法的問題に直面した場合、弁護士などのアドバイスを受けることで、最善の対処法を見つけることができます。

7.相続放棄をする際に気を付けるポイント

相続放棄は、慎重な計画と正確な手続きが不可欠です。これまでに相続放棄において財産を受け取った場合の対処法や注意点を紹介してきましたが、相続放棄は誤った行動を取ると、取り返しのつかない結果を招く可能性があります。相続放棄手続きには期限があり、通常3か月以内に行う必要があります。そのため、以下のポイントを押さえながら行動することが重要です。

7-1.財産調査と適切な財産管理を行うこと

相続放棄を検討する際、財産調査と適切な財産管理が肝要です。まず、相続放棄が求められる理由を明らかにしましょう。借金が多く、相続放棄が勧められる場合でも、慎重な調査が必要です。利害関係者の主張だけでなく、実際の相続人と財産を調査しましょう。相続人の特定と相続財産の内容を正確に把握することは、適切な判断の基盤です。

7-2.早めの行動を起こしておくこと

相続放棄を検討する際、早急な行動が重要です。通常、相続放棄手続きには被相続人の死後3か月の期限が設けられています。この期限を逃すと相続放棄ができなくなり、財産が自動的に相続されてしまう可能性があります。

相続が発生する前からできることはしておきましょう。そして、相続発生後も速やかに必要な手続きを開始しましょう。時間に余裕を持つことで、スムーズな相続放棄が可能となり、トラブルや法的なリスクを最小限に抑えることができます。

7-3.自己判断を極力避け、専門家に相談を

財産調査は専門知識が必要な場合もあります。特に、借金などの隠れた債務や複雑な財産構成の場合、弁護士や専門家に依頼することが賢明です。彼らは調査のノウハウを持ち、正確な情報を提供してくれます。弁護士の支援を受けることで、相続放棄の必要性や手続きの適切な進め方についてアドバイスを受けられます。

相続放棄は大切な決断です。準備を怠らず、正確な情報と専門家のサポートを得ることで、スムーズに手続きを進めることができます。

8.相続放棄の選択は慎重に!専門家への相談がおすすめ

実際のところ、どの財産が法定単純承認に影響を及ぼすかについては、状況によっても異なります。誤って法定単純承認となる財産を受け取ったり処分したりしてしまうと、相続放棄ができなくなることがあるので注意が必要です。

受け取って良いのか迷ったときは、ぜひ当事務所にご相談ください。さまざまな相続放棄の案件を取り扱ってきた経験豊富な専門家が、相続放棄をスムーズに進めるためのサポートを行います。まずは気になることを電話やお問い合わせフォームからお尋ねください。相談料は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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9.相続放棄の手続きと費用

相続放棄までの手続きは慎重に進める必要があります。手続きの流れを正しく理解し、その際にかかる費用も考慮することが重要です。また、相続放棄には期限があり、亡くなった日または相続の開始を知った日から3カ月以内に手続きを完了する必要があります。時間的な制約に注意しましょう。

9-1.相続放棄の手続き

1. 必要な費用・書類を整える

相続放棄手続きにはいくつかの費用がかかります。収入印紙代(約800円)、郵便切手代、書類取得のための費用などが含まれます。手続き自体の費用は低いですが、仕事を休む必要があったり、書類収集に交通費がかかることもあります。

また、相続放棄についての書類を準備します。主要な書類には「相続放棄申述書」、戸籍謄本、死亡証明書などがあります。相続放棄申述書は家庭裁判所のホームページから入手できます。

2. 申述書を記入する

「相続放棄申述書」は、相続放棄手続きをスタートさせるために極めて重要な文書です。この書類を正確に作成し、不備のないよう慎重に準備することが必要です。

申述書には本籍、住所、氏名、相続放棄の理由などを正確に記入し、捺印します。誤った情報や不備があると手続きが受理されない可能性があるため、慎重に記入しましょう。

3. 家庭裁判所に書類を提出

書類を整えたら、家庭裁判所に提出します。提出先の家庭裁判所は亡くなった方の最後の住所地を管轄することが一般的です。

4. 回答書への回答

家庭裁判所からの質問状である「照会書・回答書」が送付されます。「回答書」に記載された質問に詳細かつ正確に回答し、返送します。回答に問題があると相続放棄が却下される可能性があるため、注意が必要です。

5. 相続放棄申述受理通知書の受け取り

照会書への回答に問題がなければ、相続放棄申述受理通知書が届きます。これにより相続放棄が正式に受理され、認められたことが確定します。

相続放棄手続きは慎重に行う必要がありますが、手続きの流れを理解し、費用を考慮することでスムーズに進めることができます。必要な情報やアドバイスは、関連する記事を参照してください。

9-2.相続放棄の費用

相続放棄の費用は、手続きを進める方法によって大きく異なります。以下に、それぞれのパターンの費用について詳しく説明します。

自力での手続き(約5,000円程度)

自分で相続放棄手続きを行う場合、費用は比較的低額ですが、時間と労力が必要です。相続放棄手続きに自信があり、財産調査や法的トラブルの心配がない場合、自力で行うことも可能です。

司法書士に依頼する場合(約4~6万円)

司法書士に相続放棄手続きを依頼する場合、報酬相場は約4~6万円程度です。書類の収集や作成をサポートしてほしい場合に適しています。報酬に加えて書類取得費用や実費が別途かかることがあります。

弁護士に依頼する場合(約5~10万円)

弁護士に相続放棄手続きを依頼する場合、報酬相場は一般的に約5~10万円です。弁護士は法的トラブルの解決に優れており、紛争解決や法的トラブルを未然に防ぎたい場合に適しています。書類取得費用やその他の実費も発生することに留意してください。

相続放棄を検討する際には、自身の状況やニーズに合った専門家を選び、費用やサービス内容を検討することが重要です。もっと詳しく知りたい方は以下のブログをチェックしてください。

10.動画解説|相続放棄したいのに財産を受け取ってしまったときの対処方法

この動画では、これまで解説してきたことをまるっと動画で解説しています。相続放棄の意思を持ちながら誤って財産を受け取ってしまった場合に、どのように対処すべきかについて知りたい方はこちらも参考にしてください。

11.まとめ

本記事では、相続放棄をする予定のときに被相続人の財産を受け取ってしまったらどうなるかについて解説しました。内容をまとめると以下のようになります。

  • 香典や死亡保険金については、相続放棄をしても受け取れる可能性がある
  • 現金や不動産はもちろん本人が受け取るはずだったお金を受け取る際は注意が必要
  • 受け取ってしまった場合①使わずに保管しておく専門家に相談して対処する
  • もし相続放棄が単純承認で認められない場合は「即時抗告」が可能

相続放棄の意思があるときは、安易に被相続人の財産に手をつけてはいけません。香典や健康保険から受け取る葬祭費などは受け取って葬儀費に充てることができますが、保険金や預金、現金などを受け取ると相続を承認したことになるため注意が必要です。

また、相続放棄の手続きの期限は相続の事実を知ってから3ヶ月以内ですが、期限内に決めかねるときは家庭裁判所に期間の伸長を申し立てましょう。申し立ての手続きには被相続人の住民票除票などの書類が必要となるため、適切な準備が必要です。

相続放棄に関する多くの事案を扱ってきた当事務所では、相続放棄や期間伸長の手続きをスムーズに行うためのご提案やサポートを実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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