親が死亡して口座凍結!銀行に連絡しないとどうなる?バレるリスクと解除の最短法

大切な人が亡くなった後、銀行口座がどうなるのか不安に感じている方も多いと思います。

実は、銀行口座の凍結には「役所に死亡届を出してもすぐには止まらない」という事実がある一方で、知らずに預金を引き出したばかりに借金を背負ったり、親族間で泥沼のトラブルに発展したりするという恐ろしいリスクも潜んでいます。

記事のポイントは下記のとおりです。

  • 預金口座の凍結は銀行が死亡を知ったタイミングで行われる
  • 手続きの流れや必要書類は銀行ごとに異なるため確認が必要
  • 時効(5年・10年)を過ぎても払い戻せる場合がある
  • 葬儀費用や生活費のために遺産分割前でも引き出せる制度がある
  • 生前の口座整理家族信託が相続後の負担を劇的に減らす

この記事では、8000件以上の相続・信託に携わってきた司法書士がパニックにならずに最短で預金を手にする方法を具体的に解説します。

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1.死亡後の口座凍結はいつ?

親が亡くなった際、多くの方が真っ先に直面するのが「銀行口座の凍結」という問題です。

まず結論から言うと、市区町村の役所に死亡届を出しても、即座に銀行口座が凍結されることはありません。公的な役所と民間の銀行はシステムが連携していないからです。

行口座が凍結されるのは、役所の連絡ではなく、銀行が「名義人の死」を確信した瞬間です。

 銀行が死亡を察知する5つのルート

司法書士として現場を見ていると、主に以下の5つのルートから発覚しています。

1. 遺族による「相続手続き」の相談(最も多いケース)
「葬儀費用のために下ろしたい」「名義変更をしたい」と窓口で伝えた瞬間、その場で口座はロックされます。
2. 新聞の悔やみ欄や地域の死亡公告
地方銀行や信用金庫では、悔やみ欄のチェックは毎朝のルーティンです。顧客名簿と照合し、即座に凍結作業に入ります。
3. 外回り行員による現地の確認
近所に葬儀社の看板が出ている、玄関先に花輪がある。こうした「風景の変化」を営業担当者が察知し、本店へ報告します。
4. ATMでの不自然な操作の検知
暗証番号を何度も間違える、1日の限度額いっぱいを連日引き出す。不正利用を疑い、安全のために一時凍結をかけるケースが増えています。
5. 親族や近隣住民からの問い合わせ
「名義人が亡くなったのだが、今後の手続きはどうすればいいか?」といった親族からの何気ない相談が、凍結の直接のきっかけになります。

 なぜ、銀行は厳重に口座を止める?

「凍結されると困るのに、なぜ強制的に止めるのか?」という疑問を多くの方が持たれます。
これは単なる銀行のルールではなく、「残された家族の財産」を守るための重要な法的措置だからです。

遺産を勝手に動かさない金庫番の役割
名義人が亡くなった瞬間に、預金は「相続人全員の共有財産」に変わります。
特定の一人が勝手に全額下ろして使い込むといったトラブル(争続)を防ぐため、銀行は「誰が引き継ぐか正式に決まるまで」口座に鍵をかけます。
銀行側のリスク回避と公平性の担保
銀行が安易に払い戻しに応じ、後から他の親族に「なぜ勝手に下ろさせたんだ!」と抗議された場合、銀行は法的な責任を問われかねません。
銀行が自らを守り、かつ相続人全員の公平性を保つための防衛策なのです。

 凍結によって「できなくなること」

口座凍結とは、その名の通り、銀行口座の取引が一時的に停止されることです。具体的には、以下のことが一切できなくなります。

特に注意すべきは、親の口座から施設代や入院費を払っているケースです。凍結によって支払いが滞り、施設との契約に支障が出るなどの深刻な事態を招きかねません。

 凍結前に預金を引き出すリスク

銀行が口座を凍結する前に預金を引き出すこと自体は、キャッシュカードと暗証番号があれば物理的に可能です。
しかし、この行為がのちに問題となるケースが実務上存在します。

  • 実は親に多額の借金があり、相続放棄を検討していたが、預金を引き出したために認められなかった
  • 引き出しを巡って親族間で不信感が生じ、遺産分割協議が止まってしまった

当面の資金を確保しようとした行為が、結果として法的な不利益や親族関係の悪化を招く可能性があるため、慎重な判断が求められます。

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2.口座凍結前後に避けるべきNG行動3選

親のキャッシュカードと暗証番号を知っていると、「葬儀代が必要だから」「自分が介護費用を立て替えていたから」と、ついATMに走りたくなるかもしれません。

しかし、その一歩が、その後の手続きや親族関係を決定的に壊す引き金になります。実務の現場で特によくある、3つのNG行動を解説します。

相続手続き期限一覧
ほかの相続人に知らせず勝手に引き出す 詳細▼
領収書なしでの安易な引き出し 詳細▼
「うっかり引き出し」で相続放棄ができなくなる  詳細▼

NG行動1:ほかの相続人に知らせず勝手に引き出す

亡くなった瞬間に、親の預金はあなた一人のものではなく「相続人全員の共有財産」に変わります。たとえ1円であっても、他の兄弟に黙って引き出した事実は、彼らの目には不当な持ち出しと映りかねません。

一度、以下のような疑念が生まれると、関係の修復は困難になります。

  • 葬儀代に使ったと言うが、本当はもっと引き出したのではないか?
  • 他にも隠し財産を独り占めしているのではないか?

たとえ正当な理由があったとしても、事前の相談なしに動かしたお金はあなたの「潔白」を証明するのを極めて難しくしてしまいます。

NG行動2:領収書なしでの安易な引き出し

「病院代や葬儀費用に充てるなら大丈夫だろう」と考えるのは危険です。
社会通念上、妥当な範囲の支出は認められることが多いですが、それはあくまで「客観的な証拠」がある場合に限られます。

特に、以下のような支払いは証拠が残りにくいため、注意が必要です。

◆ お寺へのお布施や車代、心付け
◆ 葬儀の際のお手伝いさんへの謝礼
◆ 細かな備品や飲食代の立て替え

領収書が出ない場合でも「いつ・誰に・いくら払ったか」を詳細にメモしておかなければ、親族から「使い込み」を疑われたり、税務調査で支出として認められなかったりするリスクがあります。

NG行動3:「うっかり引き出し」で相続放棄ができなくなる

これが最も致命的なミスです。親に多額の借金がある可能性がある場合、預金に触れることは「借金を含めた全財産を引き継ぐ」という意思表示(単純承認)とみなされる恐れがあります。

特に、引き出したお金を以下のような用途に使ってしまうと、原則として相続放棄は受理されません。

◆ 自分の生活費や買い物の支払い
◆ 自分名義の税金や公共料金の支払い
◆ 親の知人への個人的な債務弁済

「少し下ろして使っただけ」という軽い気持ちが、後から発覚した数千万円の借金を一生背負う原因になりかねません。借金の有無が少しでも不安なら、まずは専門家に調査を依頼するのが鉄則です。

3.凍結後150万円まで可能|仮払い制度

2019年の法改正により、他の相続人と話し合いがつく前であっても、銀行の窓口で一定額の預金を引き出せる「相続預金の仮払い制度」が創設されました。

この制度は、全国すべての銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行で利用可能です。

3-1.窓口で下ろせる金額の計算ルール

仮払い制度で引き出せる金額には一定のルールがあり、以下の計算式で決まります。

あなたが窓口へ行って手続きすれば、単独で上限150万円まではその場で払い戻しを受けることが可能です。

手続きに必要な書類

銀行によって多少の差異はありますが、一般的に以下の書類を揃えることで手続きが進みます。

  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 払い戻しを希望する相続人の印鑑証明書と実印

3-2.仮払い制度でトラブルを防ぐ2つのポイント

この制度は、後々のトラブルを防ぐための配慮もなされています。利用する際は以下の2点を押さえておきましょう。

「勝手な引き出し」にならない仕組み

仮払い制度を利用して預金が払い戻されると、銀行から他の相続人へ通知が行く、あるいは通帳に履歴が残るため、隠れて全額を引き出すことはできません。

「法的に認められた枠内で、正当に下ろした」という事実が明確になるため、むしろ独断でATMから下ろすよりも親族間の信頼を損ないにくい方法といえます。

「相続放棄」への影響には引き続き注意

制度に基づいて正当に下ろしたお金であっても、それを自分の生活費や個人的な買い物に充ててしまえば、法律上の「単純承認」とみなされます。

あとから借金が見つかっても相続放棄ができなくなる恐れがあるため、用途は葬儀費用の支払いなどに留めるのが、実務上最も安全な運用です。

4.銀行手続きの最短7ステップ

故人の銀行口座が凍結されてしまうと、預金の引き出しや各種引き落としができなくなり、何かと不便が生じます。

預金の相続手続きの流れは金融機関ごとに異なりますが、口座の凍結を解除するために必要書類を提出してから預金の払戻しを受けるまでにかかる期間は通常1~2週間程度です。

銀行手続きの手続 7ステップ
STEP 1:故人の取引銀行と口座情報を確認 詳細▼
STEP 2:銀行へ死亡連絡と凍結解除依頼 詳細▼
STEP 3:遺言書の有無を確認する 詳細▼
STEP 4:戸籍謄本等の収集(相続人の確定) 詳細▼
STEP 5:遺産分割協議書の作成(必要な場合) 詳細▼
STEP 6:銀行へ必要書類を提出 詳細▼
STEP 7:預金の払い戻し・名義変更(解約) 詳細▼

STEP1:故人の取引銀行と口座情報を確認

まず最初に行うべきことは、故人がどの銀行に口座を持っていたのか、そしてその口座情報を正確に把握することです。通帳やキャッシュカード、銀行からの郵便物などが手がかりになります。

通帳やカードが見当たらない場合は、銀行の「全店照会」というサービスを利用しましょう。その銀行の全支店に名義人の口座がないか、漏れなく調査してもらうことが可能です。

STEP2:銀行へ死亡連絡と凍結解除依頼

故人の取引銀行が特定できたら、次にその銀行の窓口、または相続専門の部署(相続センターなどと呼ばれることもあります)に連絡し、口座名義人が死亡した旨を伝え、口座凍結の解除(相続手続き)を進めたい旨を申し出ます

この時、銀行側から今後の手続きの流れや、必要となる書類について詳しい案内があります。。

⚠️ 銀行ごとのルール確認必須
銀行によってルールが異なるため、この段階で「誰が手続きを行うのか(相続人・遺言執行者など)」を伝え、正確な案内をもらうことが二度手間を防ぐ鍵となります。

STEP3:遺言書の有無を確認する

相続手続きを進める上で、故人が遺言書を残しているかどうかは非常に重要なポイントです。遺言書の有無によって、その後の手続きや必要書類が大きく変わってきます。

遺言書がある場合の手続きと必要書類

公正証書遺言であれば、そのまま銀行手続きに使用できます。

自筆証書遺言の場合は、原則として家庭裁判所での「検認」という手続きが必要になります。遺言書の内容に従って預金を相続する人が特定されているため、遺産分割協議は基本的に不要です。

遺言書がない場合の手続きと必要書類(遺産分割協議へ)

遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。その結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成し、銀行に提出することになります。

STEP4:戸籍謄本等の収集(相続人の確定)

遺言書の有無にかかわらず、誰が法的な相続人となるのかを確定させるために、戸籍謄本の収集が必要になります。具体的には、故人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本も含む)と、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要となるのが一般的です。

戸籍謄本の収集は、本籍地が複数の市区町村にまたがっている場合など、手間と時間がかかることがあります。

⚠️ 戸籍謄本の「広域交付」が可能に
この改正により、本籍地が遠くにある場合でも、最寄りの市区町村窓口で全国各地の戸籍を一括して請求できるようになりました。

STEP5:遺産分割協議書の作成(必要な場合)

財産調査で全体の金額が明確になったら、その遺産をどう分けるか相続人全員で話し合います。遺言書がない場合はもちろん「遺言書があっても、すべての財産の分け方が指定されていない場合」なども話し合いが必要です。

「どこに、いくら預金があるか」という調査結果を全員で共有し、合意内容を「遺産分割協議書」にまとめます。これに全員が実印を押すことで、銀行への正式な証明書類となります。

STEP6:銀行へ必要書類を提出

これまでに揃えた書類を銀行へ提出します。提出方法は「窓口」か「郵送」の2通りありますが、それぞれ一長一短あります。

窓口なら「事前予約」が必須

現在は多くの銀行で相続窓口が完全予約制となっています。予約なしで行くと受け付けてもらえないため注意しましょう。また、その場で「原本還付(書類の原本を返してもらうこと)」を依頼すれば、他の手続きに使い回せるため効率的です。

郵送なら「返送時間」を計算に入れる

郵送の場合は予約の手間はありませんが、書類の往復や審査に時間がかかります。特に「原本の返却」まで数週間かかるケースもあるため、他にも手続きを控えている場合はスケジュールに余裕を持つ必要があります。

STEP7:預金の払い戻し・名義変更(解約)

書類が受理され、不備がなければ通常10営業日〜2週間(郵送の場合はさらに+α)で完了します。

受取方法の選択

「代表者の口座への振り込み(解約)」か「相続人名義への書き換え(名義変更)」を選びます。実務上は、他の財産とまとめて整理しやすい「振込」を選ぶケースが大半です。

手続き完了の確認

指定口座への入金と、銀行から「解約済」の印が押された通帳が戻ってくれば、すべての工程が終了となります。

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5.【パターン別】凍結解除の必要書類

書類収集は相続手続きで最も時間がかかる工程です。状況によって「誰の、何の書類」が必要か変わるため、まずはご自身が以下のどのパターンに該当するかを確認してください。

5-1.全パターン共通で必要なもの

まずは、どの相続パターンであっても、多くの場合で提出を求められる基本的な書類です。

書類名 入手先 備考
通帳・カード類 故人の保管場所  ない場合は銀行へ相談
相続手続依頼書  銀行窓口・HP 相続人全員の署名・実印
戸籍謄本一式 市区町村役場 出生から死亡まで連続したもの

5-2.【パターンA】遺言書がある場合

遺言書で「誰が預金を継ぐか」が決まっているため、他の相続人の同意(実印)なしで進められるのがメリットです。

書類名 入手先 注意点
遺言書(原本)  故人の保管先 公正証書以外は「検認」が必要
検認済証明書  家庭裁判所 法務局の保管制度利用時は不要
印鑑証明書 市区町村役場 発行から3〜6ヶ月以内のもの
実印 自宅で保管 銀行の提出書類への押印に使用
選任審判書謄本 家庭裁判所 裁判所が執行者を選んだ場合のみ
相続人の戸籍謄本 市区町村役場 銀行により全員分を求められる

5-3.【パターンB】遺産分割協議書がある場合

遺言書がない、または遺言書で全ての財産の分け方が指定されておらず、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、その結果を「遺産分割協議書」として作成した場合です。

書類名 入手先 注意点
遺産分割協議書 相続人で作成 全員の実印による押印が必要
印鑑証明書 市区町村役場 全員分。発行から3〜6ヶ月以内
戸籍謄本 市区町村役場 全員分。本籍地の役場にて取得
実印・銀行印 自宅で保管 預金を受け取る方の印鑑を持参

5-4.【パターンC】遺産分割協議書を作らない場合

遺言書がなく、かつ遺産分割協議書も作成せずに、法定相続分に従って預金を分ける場合や、相続人の一人が代表して手続きを行う場合などです。

このケースでは、金融機関が用意する「相続関係届出書」などに相続人全員が署名・捺印することで、遺産分割協議書に代わる書類として扱われることがあります。

ただし、この方法で手続きが可能かどうか、また必要書類は金融機関によって大きく異なるため、必ず事前に確認が必要です。

法定相続情報証明制度の活用で戸籍収集の手間を軽減!

法務局で「法定相続情報一覧図」の認証を受けると、束になった戸籍謄本の代わりに「1枚の証明書」で手続きが可能になります。

銀行ごとに戸籍謄本一式を何度も出し直す手間が省け、同時並行でスムーズに手続きを進められるのが最大のメリットです。
※利用の可否は、あらかじめ各金融機関へご確認ください。

6.放置は危険!休眠預金より怖い手続きの物理的期限

「いつまでに手続きをしないと預金が没収されるのか?」と不安になる方も多いですが、結論から言えば、預金の相続手続き自体に法律上の明確な期限はありません。

しかし、期限がないからと放置することには、目に見えない大きなリスクが潜んでいます。

6-1.法律上の「時効」と「休眠預金」の正体

まず、多くの方が誤解している「時効」と「休眠預金」について整理しておきましょう。

消滅時効(5年または10年)

理論上、預金を引き出す権利は10年(商事債権なら5年)で時効となりますが、現実の銀行が「時効だから払わない」と主張することはまずありません。

休眠預金(10年放置)

10年間取引がないと「休眠預金」として民間活動に活用されますが、これも手続きさえすれば、いつでも引き出すことが可能です。「10年経ったら国に没収される」わけではないので安心してください。

6-2.休眠預金より怖い「物理的な手続き期限」

法律上の没収よりも恐ろしいのは、時間が経つことで「物理的に書類が揃わなくなること」です。実務では以下の3点が原因で、手続きが不可能になるケースが多発しています。

役所の書類保存期間
「住民票の除票」などは保存期間(以前は5年、現在は150年)があります。あまりに古い相続を放置すると、亡くなった方と口座名義人が同一人物である証明ができなくなり、銀行から払い戻しを拒否される決定打になります。
相続人の認知症リスク
手続きを先延ばしにしている間に、他の相続人が認知症などで判断能力を失うと、銀行は署名・捺印を受け付けません。解決には「成年後見人」の選任が必要になり、多額の費用と数ヶ月の時間が追加でかかってしまいます。
相続人の「数」が雪だるま式に増える
放置中に相続人が亡くなると、その子供(甥や姪)が権利を引き継ぎます。会ったこともない親族と遺産分割の話し合いをするのは至難の業であり、一人でも連絡が取れなくなれば、預金は永久に引き出せなくなります。

6-3.相続放棄や税金申告への悪影響

預金手続き自体に期限はなくても、関連する以下の手続きには厳格な期限があります。

  • 相続放棄(3ヶ月以内)
    預金に手を付けてしまうと放棄できなくなるリスクがあります。
  • 相続税の申告(10ヶ月以内)
    納税は原則「現金」です。期限内に預金を引き出せないと、自分の持ち出しで納税しなければならなくなります。

7.専門家へ依頼するメリットと費用

銀行預金の相続手続きは、ご自身で行うことももちろん可能です。しかし、実務の現場では「何度も役所や銀行へ足を運び、結局書類が足りずに挫折した」という声が後を絶ちません。

専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)へ依頼することで得られる、具体的なメリットを整理します。

7-1.専門家に頼む3つのメリット

相続手続きを専門家に依頼することで、以下のようなメリットが期待できます。

煩雑な書類収集と窓口対応から解放される

2024年3月から戸籍の広域交付が始まりましたが、家系が複雑な場合や数次相続が絡むと、依然として書類収集は困難です。専門家なら、戸籍の取得から銀行への書類提出、払い戻しまでをすべて代行できます。

⚠️最重要ポイント

仕事や家事で忙しく、平日の日中に時間が取れない方の負担を劇的に減らせます。

相続全般に関する「広い視点」でのアドバイス

銀行預金の手続きは、あくまで相続の一部に過ぎません。
専門家に依頼することで、不動産の相続登記(司法書士)遺産分割の注意点、さらには相続税申告が必要な場合の税理士紹介など、相続全体の交通整理を任せられます。

⚠️最重要ポイント

将来的な紛争を防ぐための「遺言書作成」など、次の世代を見据えた一歩踏み込んだ提案も受けられます。

相続人間の「中立的な調整役」としての期待

お金の話は、身内同士だとどうしても感情的になり、意見が対立しがちです。専門家が第三者として間に入ることで、法的な観点から公平な解決策を提示し、円滑な話し合い(遺産分割協議)をサポートします。

⚠️最重要ポイント

専門家が「法的にはこうなります」と客観的な基準を示すことで、親族間のカドを立てずに合意形成ができるメリットは計り知れません。

7-2.【比較】どの専門家に頼むべき?

専門家に依頼する場合、当然ながら費用が発生します。
費用は、依頼する専門家の種類(弁護士、司法書士、行政書士)、依頼する業務の範囲、相続財産の内容や相続人の数などによって異なります。

専門家 こんな人におすすめ 実務上の特徴
司法書士 不動産の名義変更もセットで頼みたい方 登記のプロ。預金解約と不動産相続を一括で任せられる。
行政書士 不動産がなく、書類作成を安く頼みたい方 銀行書類の作成が中心。
※登記や紛争の交渉はできない。
弁護士 親族間で激しく揉めている 唯一、法的な交渉ができる
※費用は高くなる傾向。
※相続財産調査・財産目録の作成や遺産分割協議書の作成は別途費用が掛かります。

7-3.費用の目安(報酬相場)

依頼する範囲によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

  • 銀行解約のスポット依頼
    1金融機関あたり 3万円〜
  • 遺産整理一括パック
    遺産総額の 0.5%〜1.2%(最低報酬20万円〜など)

報酬のほかに、戸籍謄本の取得代や郵送代などの「実費」が別途かかります。見積もりを取る際は「どこまでが報酬に含まれるか」を確認しましょう。

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8.将来の口座凍結とトラブルを防ぐ❸ステップ

ご家族が亡くなった後、残された人が一番苦労するのは「見えない財産を探し、動かない口座と戦うこと」です。元気なうちに少し準備をしておくだけで、その負担を劇的に減らすことができます。

【初級】今すぐできる「情報の整理」

まずは「どこに、何があるか」を家族が迷わないようにすることから始めます。

口座情報の「見える化」
銀行名・支店名・口座番号を一覧表にまとめ、家族と共有しておきましょう。エンディングノートの活用も有効です。
生前の「口座整理」
昔作ったきりの休眠口座や残高の少ない口座は、今のうちに解約して数を絞りましょう。管理する口座が減るだけで、将来の相続費用や手間は数分の一になります。

【中級】「当面の現金」を確保する仕組み

凍結されても葬儀費用や生活費に困らないよう、あらかじめ「出口」を作っておきます。

生命保険の活用(おすすめ)
死亡保険金は「受取人固有の財産」となり、他の相続人の同意なしにすぐ受け取れます。口座凍結の影響を受けない最強の予備資金になります。
現金の準備(タンス預金)
数十万円程度の現金を自宅に置くのも手ですが、必ず「葬儀費用として使う」ことを家族全員に伝えておきましょう。内密にしていると、後で「勝手に使った」と疑われる火種になります。

【上級】「法的な仕組み」で凍結をゼロにする

「誰に、どう分けるか」を決めつつ、認知症による凍結も防ぐ高度な対策です。

「遺言書」は生前の認知症には無力
遺言書は「死後の分け方」を決める強力な武器ですが、本人が生きている間の凍結には一切役に立ちません。遺言は「亡くなってから」効力が出るもの。本人が認知症になり、介護費が必要な「生前」の口座凍結は、遺言書では解除できないのです。
「成年後見」は自由な支出ができない
認知症後に後見人をつければ、銀行手続き自体は可能になります。
しかし、後見制度はあくまで「本人の財産を守る」ことが目的です。たとえ家族のためであっても、孫への祝い金や実家のリフォーム代にお金を使うことは厳しく制限されてしまいます。
「家族信託」なら生前も死後も止まらない
近年注目されているのが、元気なうちに預金の管理権を信頼できる家族(子など)に移しておく仕組みです。親が認知症になっても、子が親の代わりに介護費などを自由に引き出せます。さらに、死後の相続手続きも数日で終わらせることが可能です。

9.動画解説|死亡による口座凍結手続き

10.まとめ

  • 預金口座の凍結は銀行が死亡を知ったタイミングで行われる
  • 手続きの流れや必要書類は銀行ごとに異なるため確認が必要
  • 時効(5年・10年)を過ぎても払い戻せる場合がある
  • 葬儀費用や生活費のために遺産分割前でも引き出せる制度がある
  • 生前の口座整理家族信託が相続後の負担を劇的に減らす

口座凍結は大きな壁ですが、「仮払い制度」や「広域交付」で以前より楽に解決できます。放置してトラブルになる前に、まずは残高確認から始めましょう。 

将来が不安なら、元気なうちに「家族信託」などの対策を検討するのが家族を守る近道です。まずは無料相談から、最初の一歩を踏み出しましょう。

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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