空き家を相続することになったときの対処法は?相続登記の改正も解説

最近、親族の相続で空き家を受け継ぐことになり、どのように対処すればよいのか悩んでいる人も多いかと思います。空き家の相続にはリスクが伴う一方で、資産価値を活かす方法も存在します。

また、2024年4月からの相続登記義務化に伴う新しい法律についても理解しておくことが重要です。本記事では、相続した空き家に関するリスクや対処法、利用できる制度・特例について詳しく解説します。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

  • 空き家を相続すると固定資産税や維持費、解体費用などのコスト発生リスクがある
  • 放置すると災害時の損害賠償や行政代執行、近隣トラブルに発展するおそれもある
  • 資産価値があれば売却賃貸居住など活用方法を検討する
  • 資産価値がなければ解体寄付相続放棄などを検討する
  • 相続時には小規模宅地等の特例など、利用できる制度がある
  • 2024年4月からは相続登記が義務化されており、怠ると過料が科される
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1.空き家を相続するリスク

空き家を相続することになった場合、思わぬリスクを伴うことがあります。まず、そのまま放置しておくと、固定資産税や維持費を支払い続けなければなりません

また、災害や老朽化によって建物が倒壊した場合、損害賠償が発生する可能性もあります。さらに、行政代執行による取り壊し費用がかかることもあり、近隣住民とのトラブルを引き起こすリスクも無視できません。

これらのリスクを理解し、適切な対処法を検討することが重要です。

1-1.固定資産税や維持費などを支払い続ける必要がある

空き家を相続した場合、固定資産税や維持費を継続的に支払う必要があります。固定資産税は土地や建物に対して課される税金であり、空き家であっても例外ではありません。

た、空き家を放置すると建物の劣化が進むため、水回りや屋根、外壁塗装などのメンテナンス費用も発生します。これらのメンテナンスを怠ると、建物の価値が下がり、将来的に売却や活用が難しくなるおそれもあります。空き家を持つ場合は、これらの経費を見込んで計画的に対処することが重要です。

1-2.災害などによって損害賠償が発生する場合がある

空き家を所有している場合、地震や台風などの自然災害が発生すると、その建物から瓦やガラスが飛散し、近隣の家屋や人に損害を与える可能性があります。このような場合、所有者として損害賠償責任を負うことがあります。

老朽化が進んでいる空き家は、災害時に構造が脆弱になりやすいため、よりいっそうの注意が必要です。損害賠償のリスクを軽減するためには、定期的な点検や修繕を行い、必要に応じて適切な処置をすることが重要です。空き家の状態を把握し、リスク管理を徹底することで、思わぬトラブルを未然に防げます。

1-3.行政代執行による取り壊し費用がかかる場合がある

空き家が放置され、その状態が地域や周辺環境に悪影響を及ぼすと判断された場合、行政が強制的に撤去を行う可能性があります。これは「行政代執行」と呼ばれる手続きで、撤去にかかる費用は所有者に請求されます。

老朽化した建物が災害時に倒壊の危険がある場合や、不法侵入による犯罪の温床になる恐れがあると判断された場合に執行されるため注意が必要です。

したがって、相続した空き家がこのような状況に陥らないよう、早急な対策が求められます。適切な管理や処分を検討することが重要です。

1-4.近隣の方とのトラブルを引き起こす可能性がある

空き家を放置しておくと、勝手に人が出入りすることもあるため、犯罪の温床となるおそれがあります。また、空き家は放火のターゲットになりやすく、防犯面でのリスクが高まります。さらに、ゴミの不法投棄が行われることも少なくありません。

これらの問題は、近隣の住人とのトラブルを引き起こす原因となります。例えば、悪臭や景観の悪化により、地域住民から苦情が寄せられることも考えられるでしょう。こうしたトラブルを未然に防ぐためには、空き家の適切な管理が求められます。

定期的な見回りや防犯対策を講じることにより、近隣の人々との良好な関係を維持できます。

2.相続した空き家に資産価値がある場合の対処方法

空き家を相続した際、その不動産に資産価値がある場合は、単に放置するのではなく、積極的に活用を検討することで利益を得られます。

売却することでまとまった資金を得る方法や、賃貸物件として運用して安定した収入を確保する方法があります。

また、自分や家族が住むことで生活基盤を整えることも選択肢の一つです。それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますので、状況に応じて最適な選択をすることが重要です。

2-1.売却する

空き家に資産価値がある場合、売却することでまとまったお金を得られます特に、立地条件が良い場合や需要が高いエリアにある空き家は、早期に売却先が見つかる可能性も高いです。

しかし、売却を進めるためには、まず相続人名義に変更する必要があるため、相続登記を忘れずに行わなければなりません。また、売却時には不動産の仲介業者に依頼し、適切な価格での売却を目指しましょう。売却により得た資金は、他の資産運用や生活費に充てられるため、資産を有効に活用できます。

2-2.賃貸物件として運用する

資産価値が高い空き家であれば、賃貸物件として運用するのも有効な選択肢です。ただし、賃貸経営には管理責任が伴うため、事前に準備が必要になります例えば、補償の大きな火災保険に加入することは、万一の事故に備えるために重要です。

また、建物の耐震補強を行うことで、入居者に安心して住んでもらう環境を整えられます。これらの対策には一定のコストがかかるため、事前にしっかりと計画を立てておくことが大切です。賃貸物件としての運用を考える際は、地域の需要や家賃相場も調査し、収益性を見極めることが重要です。

2-3.自分や家族の住居として利用する

相続した空き家を自分や家族の住居として利用することも、有効な選択肢の一つです。この方法を選ぶことで、新たに住宅を購入するための大きなコストを節約できます

ただし、空き家が生活に適した状態でない場合、修繕や改装が必要になることもあります。特に長期間放置されていた空き家は、内部の設備や外装が劣化していることも多いため、専門家による点検が必要です。

修繕や改装には一定の費用もかかりますが、それによって快適な住環境が手に入るため、長期的には経済的なメリットを享受できる可能性がありますまた、居住することで地域コミュニティとのつながりも深まり、安心して生活できる環境を築けます。

司法書士事務所リーガルエステートでは、空き家についての対策方法について初回無料相談を行なっております。ご状況のヒアリングをし、今後の進め方も含めご提案をしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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3.相続した空き家に資産価値がない場合の対処方法

相続した空き家に資産価値がないと判断された場合でも、適切な対処を行うことで後々のトラブルを避けられます。

資産価値がない空き家を所有し続けると、維持費や税金などの負担が増えるだけでなく、管理が行き届かないことによる近隣トラブルも発生しかねません。

そのため、早めに解体や寄付、相続放棄などを検討することが重要です。ここでは、資産価値がない空き家に対する具体的な対処方法を紹介します。

3-1.解体する

空き家が老朽化している場合や、建物の維持管理が困難な場合には、解体を検討することが適しています。解体することで将来的なトラブルを未然に防げます

ただし、解体には費用がかかるため、事前に見積もりを取り、予算を確認しておくことが重要です。また、解体後の土地をどのように活用するかも考慮しましょう。

例えば、駐車場としての利用や、将来的に新たな建物を建てるなどの可能性を見据えて計画を立てるのも一つの考えです。再利用できる資材がある場合は、それらを有効活用する方法も検討してみましょう。

3-2.寄付や譲渡をする

空き家の寄付や譲渡は、維持管理が困難な場合や有効活用の方法が見つからない場合に有効な手段です。例えば、売却が難しい立地や解体費用が高額になる場合でも、無償で引き取ってもらえる可能性があります

自治体やNPO法人などが受け入れ先となることがあるため、まずは相談してみるとよいでしょう。ただし、受け入れ条件や手続きがあるため、事前にしっかりと確認することが大切です。この方法を活用することで、空き家の管理から解放され、新たな負担を減らせます。

3-3.相続放棄する

相続放棄は、空き家を相続するメリットがない場合に適した方法です。相続放棄をすることで、空き家に関連する固定資産税や維持費、管理の手間から解放されますただし、相続放棄を行うためには家庭裁判所での申述が必要です。

相続放棄の手続きは、相続開始から3ヶ月以内に行う必要があるため、迅速な対応が求められます。相続放棄を考える際は、まず専門家に相談してから進めるとよいでしょう。

手続きが完了すると、その相続分に関しては一切の権利や義務を失うことになりますので、慎重に決定することが重要です。

4.空き家の相続時に利用できる制度・特例

空き家を相続した際に利用できる制度や特例は、資産の有効活用や税負担の軽減に役立ちます。

主に、「小規模宅地等の特例」や「被相続人の居住用財産を売却した際の特例」、そして「相続土地国庫帰属制度」があります。

これらを上手に活用することで、相続に伴う経済的な負担を軽減し、空き家の有効活用を図れるでしょう。制度の詳細を理解し、自分の状況に最適な選択をすることが重要です。

4-1.小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例を利用することで、相続した空き家の敷地面積が330平方メートルまでの場合、その相続税評価額が80%減額されます。

この特例を適用するためには、被相続人が生前に住んでいた住宅であることが条件となります。つまり、被相続人が所有していた段階から空き家であった場合には適用されないため、注意が必要です。

この特例の適用を受けることで、相続税の負担を大幅に軽減できるため、相続手続きの際には検討するようにしましょう。具体的な適用条件や手続きについては、専門の税理士に相談することをおすすめします。

4-2.被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

空き家を相続した際、通常はその売却益に譲渡所得税が課税されます。しかし、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を適用することで、最大3,000万円まで譲渡所得の特別控除を受けられます

この特例を利用するためには、被相続人が亡くなる直前までその家に居住しており、その後空き家となったことが条件です。また、売却は相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。

この特例を活用することで税負担を軽減しながら空き家を売却できます。

4-3.相続土地国庫帰属制度

相続土地国庫帰属制度は、令和5年4月27日に開始された制度です。この制度では、相続によって取得した土地を国が引き取る制度です。

手続きとしては、土地の所有者が法務大臣に対してその土地を国庫に帰属させるための承認を申請し、務大臣からの承認を得ることで、国庫帰属が正式に認められます

この制度を利用することで、空き家やその土地の管理や維持にかかる負担を軽減できます。ただし、すべての土地が対象となるわけではなく、一定の条件を満たす必要があるため、事前の確認が必要です。

5.空き家を相続する際の注意点

空き家を相続する際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、2024年4月から相続登記が義務化されました。

義務化により、相続手続きがより厳格化されたため、忘れずに登記を行う必要がありますまた、たとえ相続人全員が相続放棄をした場合でも、空き家の管理義務が残ることもあります。そのため、相続放棄を選択したとしても、空き家の管理については注意しなければなりません。

5-1.2024年4月から相続登記が義務化された

2024年4月から、相続による不動産の登記が法律で義務化されました。この制度の背景には、所有者が特定できない空き地や空き家の増加があります。

その結果、適切な管理が行われず、将来的なトラブルが発生するリスクに懸念が高まっていました。これを未然に防ぐための対策として義務化が実施されました。

相続登記を行わない場合には、過料が科される可能性もあるため、相続の発生後は速やかに登記手続きを進めなければなりません。相続人全員が合意していない場合でも、一定の手続きが必要になるため、早めの相談と段取りが必要です。

5-2.相続人全員が相続放棄しても管理義務が残る

相続人全員が相続放棄をすると、空き家は最終的に国庫帰属となりますが、その過程で管理者が不在となるため、相続財産管理人を選任する必要がありますこの管理人は、家庭裁判所に申し立てを行い選任されますが、その際には与納金や報酬が必要です。

相続放棄をした場合でも、空き家が放置されると近隣住民とのトラブルや安全上の問題が発生する可能性もあるため、適切な管理が求められます。管理人の選任により、空き家の維持や処分がスムーズに進むようになるため、速やかに対応することが重要です。

なお弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続登記・相続放棄について、随時無料相談をさせていただいております。ぜひ、お気軽にお問合せください。

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6.まとめ

本記事では、空き家を相続することになったときの対処法について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

  • 空き家を相続すると固定資産税や維持費、解体費用などのコスト発生リスクがある
  • 放置すると災害時の損害賠償や行政代執行、近隣トラブルに発展するおそれもある
  • 資産価値があれば売却賃貸居住など活用方法を検討する
  • 資産価値がなければ解体寄付相続放棄などを検討する
  • 相続時には小規模宅地等の特例など、利用できる制度がある
  • 2024年4月からは相続登記が義務化されており、怠ると過料が科される

空き家を相続することになった場合、リスクと対処方法を理解し、適切な選択をすることが重要です。資産価値がある場合は売却や賃貸を検討し、価値がない場合は解体や譲渡を考えましょう。

また、相続時の特例制度を活用し、2024年4月以降の相続登記義務化にも備えることが重要です。適切な対応で負担を軽減し、安心して相続手続きを進めましょう。

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この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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