不動産相続手続き完全ガイド|遺産分割、税金、相続登記、必要書類を解説

不動産を相続するときは、相続登記や相続税の申告・納付、必要書類の収集などの手続きが必要です。いずれの手続きも期限が決まっているため、流れを把握し、スムーズに進めていくことが求められます。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

  • 2024年4月1日からは、不動産を相続したときは3年以内に相続登記が義務化される
  • 遺言がなく相続人が2人以上いるときは遺産分割協議が必要
  • 遺産分割には現物分割代償分割換価分割共有名義の4つの方法がある
  • 相続時の特例を活用することで相続税を軽減できることがある
  • 不動産の相続の方法によっては、相続トラブルなどが発生するケースがあるため、専門家と相談しながら進めていくべき

本記事では、土地の相続や遺産分割について知っておきたいことを解説します。土地の相続で起こりうるトラブルや対処策についても説明します。

相続トラブルから、家族の間で断裂が起こることも珍しくありません。相続を円満に進めるためにも、ぜひご覧ください。

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1.不動産の相続手続きの流れ

相続財産に不動産が含まれている場合は、相続手続きが必要になります。以下の手順で相続手続きを進めていきます。

  1. 遺言の確認
  2. 相続人の確定
  3. 相続財産の確定
  4. 遺産分割協議
  5. 不動産の相続登記・名義変更
  6. 相続税の申告・納付

各ステップを順を追って解説します。

1-1.遺言の確認

まずは被相続人(相続財産の元々の持ち主、故人)が遺言を遺していなかったか確認します。顧問の司法書士や弁護士が預かっていることや、自室に置いている、銀行の貸金庫などに預けていることなどがあるため、探しておきましょう。

遺言書があり、なおかつ法的にも有効なものであるときは、原則として遺言どおりに相続を進めます。遺言書がない場合には、法定相続人で遺産分割協議をおこない、誰が不動産や金融資産を相続するかを決めます。

遺言書があっても遺言書の内容と異なる遺産分割協議ができる

遺言書があっても、次の全員が遺言どおりに相続を進めるのではなく、遺産分割協議によることに同意するときは、遺産分割協議による相続が可能です。

  • 法定相続人全員
  • 受遺者(遺言で相続を約束されていた人)
  • 遺言執行者(被相続人が指名した人)

法定相続人全員が遺言書どおりの相続に反対することがあっても、受遺者や遺言執行者が遺言書の内容に異議を唱えることはないと考えられます。そのため、基本的には遺言があるときは遺言どおり、遺言がないときには遺産分割協議によって相続が決まります。

1-2.相続人の確定

相続人とは、遺産の一部あるいは全てを相続する人のことです。遺言書に相続人の指定がある場合は、遺言で指定した人が相続します。指定がなければ、民法で定める法定相続人が不動産を相続します。

法定相続人は、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を確認します。被相続人が本籍地を変えたことがあるときなどは、戸籍謄本が複数存在するため集めるのに手間がかかります。新たな相続人が後から見つかると、すでに合意された遺産分割協議を再度行う必要が出てきます。そのため、相続人全員を正確に特定することが重要です。もし、相続人の一部に新たな相続人が後から発覚した場合、一度決まった遺産分割協議をやり直すことになってしまうため、誰が相続人なのかはしっかり調べるようにしましょう。

民法で定める法定相続人と順位

法定相続人は民法で下記のようにその範囲と順位が決まっています。

①直系卑属

直系卑属とは、被相続人の子供たちを指します。このグループには、実子のみならず、養子も含まれます。子供がいない場合、孫や曾孫などの直系の子孫が相続人となります。

②直系尊属

直系尊属には、被相続人の親が含まれます。子供がいない場合、親が次の法定相続人となります。さらに、親がすでに亡くなっている場合は、祖父母が相続人となる可能性があります。

③兄弟姉妹

被相続人に直系卑属や直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。この際、兄弟姉妹の子供、つまり故人の甥や姪も相続権を有することになります。

法定相続の順位

法定相続人は、一定の順位に従って相続します。まず第一順位は直系卑属、第一順位の直系卑属がいなければ次に第二順位の直系尊属、そして第一順位の直系卑属及び第二順位の直系尊属がいなければ最後に第三順位の兄弟姉妹と定められています。この順序は、故人との血縁関係の近さに基づいています。

配偶者の相続権

配偶者は特別な地位を有しており、他の法定相続人と共に相続権を持ちます。配偶者は、故人の財産の一部を必ず相続する権利を有しており、その具体的な割合は他の相続人の存在とその数によって異なります。

1-3.相続財産の確定

相続人を確定したあとで、被相続人が所有していた相続財産を調べます。

自宅の金庫や貸金庫に、不動産の登記済証権利書など財産を把握できる資料が保管されているかもしれません。不動産登記済権利書の他にも、毎年、被相続人の自宅に届く固定資産税の納税通知書からも確認できます。

固定資産税の納税通知書が見つからないときは、市区町村役場で名寄せを依頼します。名寄せとは特定の人物が所有する不動産をすべて照会する作業のことで、被相続人が複数の不動産を所有していたときなども簡単に調べられて便利です。

ただし、ほかの自治体にある不動産については名寄せはできません。不動産を所有していると思われる自治体の目星がついているときは、自治体の窓口で名寄せを収集しましょう。

不動産以外の預金や有価証券などの金融資産も相続財産に含まれます。銀行や証券会社の通帳、生命保険の契約書なども自宅の金庫などにないか探してみてください。

被相続人の財産が漏れてしまうと、再度遺産分割協議をしなければいけなくなったり、相続税申告内容を修正する必要などがでてくるので、慎重に調査しましょう。

1-4.遺産分割協議

相続財産をすべて確認したあとで、遺産を分割します。

遺言書があれば遺産分割協議をする必要はありませんただし相続人が1人の場合、遺産分割協議は必要ありません相続人が2人以上のときに遺産分割協議を行います。

遺産分割協議は、必ず相続人全員で協議します。一人でも相続人が欠けた場合には遺産分割協議は無効となります。話し合った内容は遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名し、実印を押印したうえで、印鑑登録証明書を提出します。

遺産分割協議での不動産の分け方と注意点については後述します。

1-5.不動産の相続登記・名義変更

土地などの不動産や株式・債券などを相続した場合は、相続人の名義に変更します。不動産については、法務局で相続登記(所有権移転登記)をおこなうことによって名義変更をおこないます。相続登記の方法については、後述します。

2024年4月1日からは相続登記が義務化される

2024年4月1日からは相続登記が義務化されるため、相続した不動産をそのまま放置することはできません。

なお、相続登記は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく相続登記をしなかった場合は、10万円以下の過料の対象となるため注意してください。

なお、弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続登記義務化に伴い、今所有している相続不動産についてどのような形で相続登記が必要か、相続登記に必要な書類と手続きの流れ、相続登記後に必要な不動産の管理処分方法などの無料相談をさせていただいております。どのような対策が今ならできるのかアドバイスと手続きのサポートをさせていただきますので、お気軽にお問合せください。

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1-6.相続税の申告・納付

相続により得た財産などの価値を計算し、相続税を算出します。相続税の申告と納付は、相続が生じたのを知った翌日(通常は被相続人の死亡の翌日)から10か月以内に実施しなくてはいけません。

10か月は長いようで短いものです。相続人が多い場合や遠く離れて住んでいるときなどは、遺産分割協議に時間がかかり、なかなか各相続人の相続財産が確定しないこともあります。

10か月を過ぎて相続税の申告・納付をする場合、延滞税などがかかる可能性もあります。話し合いがうまくまとまらないときや、スムーズに税申告・納税を進めたいときは、遺産分割や相続を専門とする司法書士などのサポートを受けるようにしましょう。

相続不動産の評価方法

相続する不動産は、相続税申告のために正しく価値を評価する必要があります。相続税の申告・納付は、いずれも相続した不動産の価値をベースに進めていくため、早めに評価をしておきましょう。

土地

土地の価値は、路線価方式と倍率方式のいずれかで評価することが一般的です。市街地の土地は路線価が定められているため、路線価と面積、道路からの奥行きによる補正などから計算します。

また、市街地から外れる場所や山林などは路線価がないため、倍率方式で計算します。計算が難しいときは、専門家に依頼しましょう。

建物

建物の価値は、基本的には「固定資産税評価額」と同じとして評価します。固定資産税評価額は、自治体から送付される固定資産税納税通知書に記載されています。

相続した不動産の固定資産税納税通知書が見つからないときは、自治体の窓口で固定資産評価証明書を発行してもらいましょう。自治体によっては郵送で対応していることもあります。

2.不動産の相続手続き完了までの必要期間

不動産の相続手続きを完了するために必要な期間は、通常、1か月から3ヶ月程度とされています。場合によっては、不動産以外にも複数の財産がある、遺産分割をするための話し合いがまとまらない、相続税対策を含めたいくつもの試算が必要など、複雑なケースでは必要な期間はさらに伸びます。

そのため、相続した不動産を早期に売却する予定がある場合は、余裕をもって早めに手続きを開始することが推奨されます。

不動産相続手続きの過程は、大きく分けて必要書類の準備期間遺産分割及び相続登記の手続き期間2つです。

2-1. 必要書類の収集期間

この期間は、相続対象となる不動産の数や場所、被相続人の転籍歴などによって大きく変わります。たとえば、相続対象の土地が複数あり、遠方にある場合や、被相続人が何度も引っ越していた場合は、書類の準備に長い時間が必要になります。一方で、相続人の数が少なく、相続対象の不動産が限定されている場合は、書類準備の期間が短縮されることが期待できます。

書類準備の量によって、相続登記が完了するまでの期間が数週間から2ヶ月程度と変動することがあります。

2-2. 遺産分割及び相続登記の手続き期間

必要書類を準備し、法務局に相続登記申請書を提出した後の期間は、通常約1〜2週間程度です。

しかし、誰がどの財産を相続するかの遺産分割協議に時間がかかったり、相続登記申請書類に不備がある場合は、この期間がさらに延長される可能性があります。このため、書類の準備には特に注意を払い、不備のないようにすることが、スムーズな手続きのために重要です。

不動産相続手続きの完了までの期間はケースバイケースで変わるため、個々の状況に応じた計画を立てることが肝心です。また、複雑なケースでは専門家のアドバイスを受けることも検討する価値があります。

3.相続における不動産の分け方とは

不動産を相続した場合には、先述したとおり、遺言書がある場合には、遺言書で定めた方法に従い相続し、遺言書がない場合には、相続人全員の遺産分割協議で定めた方法に従い相続します。
相続時に遺言又は遺産分割で決めることができる、不動産の分け方としては、次の4つが挙げられます。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有分割

それぞれの方法を解説します。

3-1.現物分割

現物分割とは、不動産など各財産をそのままの形で相続人が相続することです。相続人の人数分、相続財産が複数あるときなどは、現物分割で相続が完了することがあります。

例えば、被相続人の子3人のみが相続人の場合を考えてみましょう。ほぼ同程度の価値の不動産が3つあれば、1人1つずつそのままの形で相続(現物分割)して相続を完了できます。一つの大きな土地を3つにわけて(分筆)相続する場合も現物分割です。他にも、不動産のほか、金融資産が複数あり、それぞれの財産を子それぞれが単独で相続するケースも該当します。

現物分割は一人が単独で相続することになるため、相続後の財産の管理が単独で行えるなど相続後にもめることがない一番ベストな方法です。しかし、不動産ごとの面積や価値が異なる、他の金融資産と評価額が異なるような場合では、現物分割で相続することについて、一部の相続人の納得が得られず、相続時にもめてしまう可能性もあります。

3-2.代償分割

代償分割とは、特定の財産を単独で相続するなど、他の相続人よりも財産を多く相続する人が差額相当額にあたる金銭などを対価として、財産を少なく相続する相続人に渡す相続方法です。相続する不動産の評価額に差があるときなどに利用する分割方法です。

例えば、被相続人の子2人のみが相続人の場合を考えてみましょう。相続財産は不動産と預貯金で、不動産の評価額は1億円、預貯金の評価額は2,000万円、合計1億2,000万円とします。この場合なら、1億円の不動産を受け取った相続人が、預貯金2,000万円を受け取った相続人に、法定相続分の6,000万円の差額分4,000万円程度を、預貯金2,000万円を相続した相続人に渡すことで相続を完了させます。

3-3.換価分割

換価分割とは、不動産などの分けにくいものを売却し、現金化して分割する方法のことです。相続する不動産がひとつしかなく、相続人が2人以上いるときなどに利用します。

例えば、被相続人の子2人のみが相続人の場合を考えてみましょう。相続財産として土地1筆しかない場合は、土地を売却して得た現金を2人で分けて相続を完了させます。

なお、土地の売却手続きや税金については、こちらの記事を参考にしてみてください(すまいステップのサイトに遷移します)。

3-4.共有分割

共有分割とは、土地などの不動産を分けない(分筆しない)で、共有財産とする方法のことです。

例えば相続財産がひとつしかなく、なおかつその財産の価値が将来的に上がることが予想されるときなどに利用します。ただし、共有分割を選択すると、以後、売却するときなどには名義人全員の同意が必要になります意見が食い違うなどして、トラブルになることもある点に注意が必要です。

4.不動産の相続登記を申請する

遺言又は遺産分割により不動産を相続する相続人が決まったら、不動産の相続登記を申請します。必要な書類をそろえて、法務局に提出する必要があります。

4-1.相続登記の必要書類

相続登記申請では次の書類が必要です。スムーズな手続きのためにも、早めに準備しておきましょう。なお、被相続人が引っ越しなどを繰り返している場合は、除籍謄本を集めるのに時間がかかることがあります。

遺言書があるとき 遺言書がないとき
  • 被相続人の死亡時の除籍謄本、除票
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書
  • 遺言書
  • 相続人の戸籍謄本・住民票
  • 被相続人の出生から死亡までつながる除籍謄本、除票
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図
  • 相続人の全員の戸籍謄本・住民票・印鑑登録証明書

4-2.相続登記の費用

相続にかかるお金は相続税だけではありません。不動産を相続するときは相続登記をするため、登記費用がかかります。登記費用には、次のものが含まれます。

  • 登録免許税
  • 書類発行費用
  • 専門家報酬

それぞれの費用目安を紹介します。

登録免許税

登録免許税は、不動産の名義を書き換えるとき(所有権移転登記)に必要な税金で、法務局で納めます。以下の計算式で求めます。

  • 固定資産税評価額(千円単位)×0.4%=登録免許税額(百円単位)

例えば相続した不動産の固定資産税評価額が5,000万円であれば、登録免許税額は5,000万円×0.4%=20万円です。

書類発行費用

登記手続きをするときは、戸籍謄本や印鑑登録証明書などの書類が必要です。自治体の役場などで各書類を発行するときに1通あたり数百円の費用がかかります。

1通ごとの費用は高くありませんが、登記をする不動産が多いときなどは書類もそれぞれに必要になるため、高額になることがあります。

専門家報酬

登記手続きを司法書士に依頼する場合は、専門家報酬がかかります。ケースによっても報酬額は変わりますが、一般的には5万~8万円程度です。ただし、書類発行に離れた地域まで出張する必要があるときは、別途交通費などが請求されることもあります。

4-3.相続登記申請の手続きの流れ

不動産を相続する相続人が決まり、必要書類の収集が完了したら、下記の手順で法務局に対して相続登記を申請します。

相続登記申請書を作成する

相続登記申請書を作成します。この申請書には、相続に関しての不動産の情報や、新たに不動産の所有権を取得する相続人の情報などを記載します。

法務局へ相続登記申請書と必要書類を提出する

収集した書類と登記申請書を携え、不動産所在地を管轄する法務局へ提出します。提出方法は、書面、郵送、オンラインの3種類がありますが、専門家に依頼せず自分で申請する場合は書面または郵送がおすすめです。オンライン申請は専用ソフトが必要で、一般の利用者には不向きです。

登記識別情報通知書を受領する

相続登記の手続き完了後、法務局から登記識別情報通知書を受け取ります。この書類は将来の不動産取引に必要なため、安全に保管することが大切です。

登記事項証明書で相続登記の内容を確認する

最後に、法務局から登記事項証明書を取得し、登記内容に誤りがないか確認します。間違いがあれば、速やかに法務局に連絡し、訂正手続きを行う必要があります。

5.土地の相続時に活用できる相続税の特例

遺産分割の手続きが完了したあとで、相続税がかかるケースでは、相続税の申告・納付が必要となります。相続税にはさまざまな軽減措置があるため、条件を満たすときには活用しましょう。

5-1.配偶者の相続税軽減措置

被相続人の配偶者は、「配偶者の相続税軽減措置」を活用できます。配偶者の相続税軽減措置とは、1億6,000万円と法定相続分のいずれか多いほうまでは、相続税が非課税になる措置です。

例えば、相続した不動産の評価額が1億6,000万円までであれば、全額非課税になります。また相続の対象となる財産が5億円で、相続人が配偶者と子1人の場合であれば、配偶者は2億5,000万円まで非課税で相続できます。

5-2.小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」とは、相続した土地の相続税が最大80%、非課税になる特例です。ただし、建物については対象外のため注意しましょう。

適用される土地

被相続人の自宅の敷地を相続する場合330平米までなら80%相続税が減額されます。被相続人が個人で営んでいた店舗や事務所の敷地、被相続人が貸していたアパートや駐車場の敷地、被相続人が経営していた同族会社の事業所の土地は、400平米までの範囲で50~80%の相続税が減額されます。

適用要件

被相続人の配偶者は、要件なしで小規模宅地等の特例の適用が可能です。同居の親族が相続するときは、相続税の申告期限までその家屋等に居住し、その宅地を有していることが要件となります。また、非同居の親族は、被相続人に同居人がいなかったなどの条件を満たすことが必要です。

5-3.相続財産の取得費の特例

「相続財産の取得費の特例」とは、相続後3年以内に譲渡するときは、相続税のうち一定額を取得費に加算できる特例です。取得費に加算すると課税対象額が減るため、大幅な節税も可能になります。

6.不動産相続手続きでよくあるトラブル・対処策

現金とは異なり、不動産の相続においてはトラブルが発生しやすい傾向があります。トラブルが長引き、兄弟が疎遠になることも珍しくありません。ぜひ参考にして、慎重に相続手続きを進めてください。

6-1.共有トラブル

相続の際に共有分割を選択すると、不動産を売却・賃貸活用などをするたびに全員分の同意が必要になります。同意が得られずに売却タイミングを逃し、兄弟間で争うことにもなりかねません。

また、二次相続が発生するとさらに複雑になります。トラブル回避のためにも、共有分割は避けましょう。

6-2.空き家トラブル

相続した不動産は、管理する義務が生じます。

例えば空き家があるときなどは、誰も住まない期間が長引くことで、犯罪の拠点になったり、地域の景観を悪化させたりすることにもなりかねません。居住や賃貸の予定がない空き家は、取り壊すか売却するほうがよいでしょう。

6-3.土地の相続税が払えないトラブル

相続税は原則として現金で支払います。そのため、相続財産が土地などの不動産ばかりのときは、貯金などがないと相続税を支払えません。

相続したいのに売却せざるをえないケースもあるため、注意が必要です。不動産を相続する予定の方は、計画的に現金を準備しておくようにしましょう。

6-4.土地の国庫帰属が承認されないトラブル

誰も使わない土地や持っているほうがコストがかかる土地は、国庫帰属も検討できます。ただし、次のようなケースでは、承認されないこともあるため注意してください。

  • 建物がある
  • 担保権が設定されている
  • 土壌汚染されている
  • 境界が明らかにない

弊社では、相続登記について相続人は誰か、どんな書類を集めなければいけないのか、手続きの流れ、相続登記後に必要な不動産の管理処分方法などの無料相談が可能です。

累計4000件を超える相続・家族信託相談実績をもとに、専門の司法書士・行政書士がご連絡いたします。

ご家族にとってどんな対策が必要か、何ができるのかをご説明いたします。自分の家族の場合は何が必要なのか気になるという方は、ぜひこちらから無料相談をお試しください。

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7.自分で不動産相続手続きするか、司法書士に依頼するかの判断基準

不動産の相続手続きは、不動産の相続登記という専門的な知識を有する必要な重要な手続きです。この手続きは、自分自身で行うことも、専門家である司法書士に依頼することも可能です。しかし、どちらの方法を選択するかは、各家庭の状況や相続の複雑さによって異なります。以下は、自分で行うか司法書士に依頼するかを判断するための基準を示します。

7-1.自分で不動産相続手続きをしてもよいケース

不動産の相続手続きを自分でやっても特に問題ないと思う一般的なケースは、下記のようなケースです。

相続関係・財産構成がシンプル

相続関係・財産構成が単純である場合、例えば子供1人だけが相続人である、自宅しか相続財産がないなど、必要書類の収集や作成が比較的簡単で、自分で不動産相続手続きを行うことが可能です。

平日に時間が作れる

法務局や市役所は平日のみ営業しており、書類収集には直接訪問が必要な場合が多いです。平日に自由に時間を確保できる場合、自分で手続きを進めることができます。

役所や法務局との対応が可能

相続登記は複雑な場合が多く、書類に不備があった場合の修正や再提出が必要になります。このため、粘り強く対応できる能力が必要です。

7-2. 司法書士に依頼するべきケース

相続は、相続人の更正や財産によって、手続きが複雑になってしまうことがあります。その場合、適切に状況を把握しながらの対応が要求されるため、司法書士に依頼したほうがスムーズに不動産の相続手続きを進めることができます。

平日は仕事のため、相続手続きのための時間がとれない

法務局や市役所は平日のみ営業しており、平日仕事がある場合には、その対応が難しいです。そのため、司法書士に依頼し、司法書士と平日夜間、土日に打ち合わせを進めたほうがスムーズに手続きが進められます。

相続関係が複雑

兄弟姉妹間の相続や相続人間の関係が悪い場合、手続きがスムーズに進まない可能性が高いです。第三者の介入が解決策となるため、司法書士や弁護士に依頼することが有効です。

相続登記せず放置された不動産がある

長期間放置された不動産の相続は、相続人特定や書類収集が複雑です。専門的な知識が求められるため、司法書士の協力が必要です。

遠方に登記したい不動産がある

不動産所在地が遠方の場合、法務局への複数回の訪問が困難です。司法書士はオンライン申請に対応しており、効率的な手続きが可能です。

遺産分割方法が特殊なケース

特殊な遺産分割方法を選択する場合、税務上の問題や法的な細部への対応が重要であるため、専門家の助言やサポートが必要です。特に、不動産のみが主要な遺産である場合、換価分割や代償分割など複雑な手法が必要になることがあります。これらの選択には税務上の慎重な対応が求められるため、専門家の助言やサポートを得ることが非常に重要です。

急いで相続登記をしたい

相続した不動産の売却を進める場合、迅速な名義変更が必要です。特に売却の意向がある場合や相続税の納税、銀行融資のための担保設定などで、迅速な手続きが求められます。司法書士への依頼は、これらの状況において時間の節約と効率的な手続きを実現するための最適な選択肢です。

8.動画解説|不動産相続手続きの進め方

9.まとめ

本記事では、土地の相続について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

  • 2024年4月1日からは、不動産を相続したときは3年以内に相続登記が義務化される
  • 遺言がなく相続人が2人以上いるときは遺産分割協議が必要
  • 遺産分割には現物分割代償分割換価分割共有名義の4つの方法がある
  • 相続時の特例を活用することで相続税を軽減できることがある
  • 不動産の相続の方法によっては、相続トラブルなどが発生するケースがあるため、専門家と相談しながら進めていくべき

相続人が複数いるときは、土地の相続でトラブルが生じることもあります。また、土地の相続が終わった後に、空き家トラブルや相続税トラブルなどが生じることもあるため、注意が必要です。

不動産の相続には登記が必要なため、相続財産が現金だけのときよりも手続きが複雑になります。不動産は分割できないことも多く、相続人が複数人いるときは、さらに複雑になることがあります。

トラブルを回避するためにも、相続人だけでなく公平な判断ができる第三者を交えて相続を進めることをおすすめします。

弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、土地の相続や遺産分割について、無料相談を承っております。ぜひ、お気軽にお問合せください。

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この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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