生前対策とは?相続トラブル・相続税・認知症リスクを未然に防ぐ専門家が教える実践ガイド

「生前対策」は、将来の相続トラブルや相続税の負担、認知症による財産管理の不安を未然に防ぐために、元気なうちから備えておくための重要なステップです。この記事では、専門家の視点から実務で役立つ生前対策の基本と、よくある疑問や失敗例も交えて徹底解説します。

記事のポイントは下記のとおりです。

  • 生前対策を先送りにすると、思わぬトラブルや「困った!」が現実になるリスクがある
  • 生前対策は、相続トラブル防止・節税・納税資金準備・認知症リスク対策に役立つ
  • 主な方法は、生前贈与・遺言書・資産の組み換え・生命保険・任意後見制度・家族信託の6つ。目的や家族状況に合わせて選ぶことが重要
  • 不動産の生前対策は司法書士、相続税の節税対策は税理士に相談すると安心
  • 早めの準備と家族・専門家との連携が、円満な相続と家族の安心につながる

生前対策をしていないと、残された家族が相続税の納税資金に困ったり、遺産分割を巡って深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。家族の安心と財産を守るために早めの対策を心がけましょう。

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1.生前対策とは?今すぐ始めるべき理由

生前対策とは、ご自身が元気なうちに「相続トラブルの防止」「相続税の節税」「認知症による財産凍結リスクの回避」など、将来のために家族と話しあいをして事前に備えておく一連の対策を指します。

遺産分割や納税資金の準備、財産管理のルール決めなど、幅広い分野にわたるのが特徴です。

1-1.なぜ多くの人が生前対策を後回しにしてしまうのか?

生前対策が大切と分かっていても、「“まだ早い”と感じる」「親に財産のことを聞きづらい」「何から始めればいいか分からない」と感じて、つい先送りにしてしまう方が多いのが現実です。

しかし、こうした“放置”が思わぬトラブルや家族の負担を生むケースは少なくありません。

  • 「まだ早い」と思って何もせず、認知症発症後に対策ができなくなる
  • 口約束や曖昧なメモだけで、正式な遺言書を作らずトラブルになる
  • 贈与契約書を作成せず、税務署から否認される
  • 不動産の分け方を決めておらず、相続人間で揉める
  • 親に銀行口座やカードの暗証番号など聞き忘れて、介護費や医療費を引き出せなくなる

たとえば、認知症になってしまい本人の判断能力がなくなると、契約や手続きができなくなります。その影響で日常的な金銭管理から重要な財産に関する意思決定まで、様々な場面で支障をきたすようになります。

1-2.生前対策は“今すぐ”始めるべき理由

こうしたトラブルを防ぐためには、“今すぐ”生前対策を始めることが重要です。その理由は次の通りです。

理由❶:相続・認知症は“突然”やってくる

相続や認知症は、ある日突然やってきます。もしもの時に備えて準備しておかないと、

■ 遺産分割でもめる
■ 財産が凍結されて引き出せない
■ 納税資金が足りない

といったトラブルが一気に現実化します。

理由❷:認知症になると“できる対策”が激減する

認知症になると、銀行口座が凍結され、介護費や医療費すら自由に引き出せなくなるケースが多発しています。これは実際に多くのご家族が直面している深刻な問題です。

「親のお金を引き出せなくなった」事例や、その対策については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

理由❸:節税・納税資金対策は“早いほど有利”

生前贈与や不動産の組み換えなど、節税対策は時間をかけて計画的に進めるほど効果が高まります。「7年以内ルール(2024年1月1日から改正)」など、直前の贈与では節税効果が薄れるケースも多いため、早期スタートが鉄則です。

理由❹:家族の負担を軽減できる

生前対策をしておけば、遺族が相続手続きや財産整理に悩むことが大幅に減ります。「何も準備していなかったせいで、家族が困った」という声は非常に多く、逆に「早めに準備して安心できた」という事例も増えています。

理由❺:早く始めるほど“選択肢”が広がる

元気なうちなら、贈与・遺言・家族信託・任意後見など、さまざまな対策が選べます。判断能力が衰えてからでは、選択肢が大幅に制限されてしまいます。

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2.生前対策で解決できる主な悩みとメリット

生前対策は「何となく必要そう」と思われがちですが、実は多くの方が抱える漠然とした悩みや不安に直結しています。ここでは、代表的な4つの悩みについて「なぜ多くの人が困るのか」「生前対策でどんなメリットが得られるのか」を具体的に解説します。

2-1.相続トラブル防止|「争族」にならないために

相続をめぐる家族間のトラブル(いわゆる“争族”)は決して他人事ではありません。たとえば、遺産の大半が不動産で現金が少ない場合や、兄弟姉妹の間で貢献度に差がある場合、「どう分けるか」「誰が管理するか」で揉めてしまい、長年の家族関係にヒビが入ることもあります。

最悪の場合、親が生前のうちは仲の良かった兄弟姉妹も、相続で意見が分かれ遺産分割協議が長引き、最悪の場合は家庭裁判所に持ち込まれるケースもあります。

生前対策をしておくメリット

  • 遺言や財産の分け方を事前に決めておくことで、相続人同士の誤解や揉め事を未然に防げる
  • 手続きがスムーズになり、家族の精神的・経済的な負担が大幅に減る

2-2.節税|相続税・贈与税の負担を最小限に

相続税や贈与税は、何も対策しないと「こんなにかかるの?」と驚くほど高額になることがあります。

生前贈与や不動産の活用、保険の利用など、早めに計画することで大きな節税効果が得られます。

生前対策をしておくメリット

  • 税負担を最小限に抑え、家族により多くの財産を残せる
  • 将来の納税資金や生活資金も確保しやすい

2-3.納税資金の準備|「払えない」を防ぐ

相続税は原則として、現金一括納付となっています。そのため、遺産の多くが不動産の場合、「納税資金が足りない」「急いで不動産を売らなければならない」といった事態に陥ることも少なくありません。

生前対策をしておくメリット

  • 納税資金不足によるトラブルや資産の急な売却を防げる
  • 家族の生活や思い出の資産を守れる

2-4.家族の安心|認知症・介護リスクにも備える

生前対策は、相続だけでなく認知症や介護が必要になったときの備えとしても重要です。親が認知症になり銀行口座が凍結されると、介護費や医療費を家族が立て替えるしかなくなるなど、想像以上に大きな負担となります。

生前対策をしておくメリット

  • 判断能力低下後もスムーズな財産管理・生活費の確保ができる
  • 本人も家族も将来の不安が大幅に軽減される

3.生前対策の具体的な方法と選び方

代表的な生前対策には、生前贈与・遺言・資産の組み換え・任意後見制度・家族信託・保険の活用などがあります。それぞれにメリットやデメリットがあるため、自分や家族の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

方法 向いているケース 注意点・リスク
生前贈与 節税・早期資産移転をしたい 贈与契約書必須、法改正に注意
遺言書 明確に分割したい、トラブル防止 形式不備リスク、家族の理解も重要
家族信託 認知症・障害者の将来、柔軟な承継設計 契約が複雑、専門家サポート必須
任意後見制度 将来の判断力低下に備えたい 発動手続き・費用
不動産現金化 不動産が多い、納税資金・分割を重視したい 譲渡税・市場リスク
生命保険 納税資金・生活費の確保、分割が難しい場合 非課税枠超過や受取人設定ミスに注意
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 ❶ 生前贈与

生前贈与は、自分が元気なうちに子や孫へ財産を渡す方法です。たとえば「毎年110万円ずつ子ども名義の口座に振り込む」といった形で、贈与税の非課税枠を活用できます。

この方法のメリットは、相続発生時の遺産が減ることで相続税の節税につながることです。また、「この子に確実に財産を渡したい」「早くから子や孫に資産を活用してほしい」といった希望も叶えやすくなります。

さらに、生前贈与をうまく使えば、相続人同士で遺産の分け方を巡って揉めるリスクも下げられます。たとえば現金を生前に分けておけば、不動産など分割しにくい財産が残っても、相続人同士のバランス調整がしやすくなります。

注意点・リスク回避

■ 贈与契約書を必ず作成し、贈与の事実を証明する
■ 贈与契約書を作らずに贈与すると、税務署に“名義預金”とみなされ課税されるリスク
■ 直前の贈与や、贈与の事実が曖昧な場合は節税効果が薄れる
■ 贈与税の申告や特例の要件を満たさないと逆に損をすることも
■ 不動産の贈与は登録免許税や不動産取得税がかかる

 ❷ 遺言書

遺言書は「自宅は長男に、預金は次男に」といったように、財産の分け方を自分の意思で明確に残せる方法です。家族の仲が良くても、遺言がないことで「誰がどの財産を受け取るか」で揉めてしまう例は多く見られます。

遺言書があれば、遺産分割協議(相続人全員での話し合い)が不要になり、相続人同士のトラブルを防げます。また、相続人以外(孫や内縁の妻など)にも財産を遺すことができるため、家族の事情に合わせた柔軟な資産承継が可能です。

特に公正証書遺言を利用すれば、専門家が内容を確認してくれるので形式不備で無効になる心配がほぼなく、家庭裁判所の検認も不要です。

注意点・リスク回避

■ 自筆証書遺言は書き方を間違えると無効になるリスクがあるため、法務局の保管制度や専門家のチェックを活用
■ 家族に内容を伝えずに作成すると、逆にトラブルの原因になることも
■ 遺留分(最低限の相続分)を侵害すると争いのもとになる
■ 最新の法改正(自筆証書遺言の保管制度など)も活用

 ❸ 家族信託

家族信託は、将来認知症になった場合などに備え、信頼できる家族に財産の管理や運用を託す仕組みです。たとえば、親が認知症になっても、子が実家の管理や売却をスムーズにできるようにする、障害のある子の将来の生活費を信頼できる兄弟に管理してもらう、といった使い方ができます。

家族信託の大きなメリットは、認知症などで判断能力が低下しても、財産を凍結せず柔軟に管理できることです。また、遺言書ではできない「二次相続以降の承継先」も指定できるため、先々の世代まで見据えた資産承継が可能です。

注意点・リスク回避

■ 信託契約書の内容が複雑なため、専門家のサポートが必須
■ 家族間で十分に話し合い、全員の理解を得ておくことが大切
■ 節税効果は直接的にはないため、他の対策と組み合わせて検討する

 ❹ 任意後見制度

任意後見制度は、将来判断能力が低下したときに備えて、信頼できる家族や専門家に財産管理を任せる制度です。この制度を利用しておけば、認知症発症後も生活費や医療費の支払い、各種手続きがスムーズにできるようになります。

たとえば、「認知症になったとき、子どもに銀行手続きや介護施設の契約を任せたい」と考える場合、元気なうちに任意後見契約を結んでおくことで、家族が困らずに済みます。

なお、認知症発症後に利用できる法定後見制度という制度もありますが、法定後見制度は制約が多く任意後見制度に比べると若干使いにくい制度です。家族に任せたい場合は、認知症になる前に「任意後見制度」を活用するのがおすすめです。

注意点・リスク回避

■ 任意後見契約は公正証書で作成し、発動時には家庭裁判所の手続きが必要
■ 事前に誰に任せるか、どこまで任せるかをしっかり決めておく
■ 任意後見契約は本人が元気なうちにしか結べない
■ 死後の財産管理はできない

 ❺ 不動産の組み換え・現金化

不動産を売却・組み換えして現金化することで、相続人が複数いる場合でも分けやすくなります。たとえば「実家を売却して現金で分ける」「利用しない土地を売却し、納税資金や介護費用に充てる」などの方法があります。

不動産の組み換えによって、相続開始後に「現金が足りなくて困る」「不動産が分けられず揉める」といった事態を回避できるのが大きなメリットです。

注意点・リスク回避

■ 売却には譲渡所得税や仲介手数料がかかるため、事前にシミュレーションが必要
■ 市場価格の変動リスクもあり、思ったほど節税にならないことも
■ 不動産の売却には譲渡所得税や仲介手数料がかかる

 ❻ 生命保険

生命保険は、死亡保険金を現金で受け取れるため、納税資金や生活費の確保に役立ちます。たとえば「相続人ごとに保険金を分けて指定する」「納税資金や葬儀費用の準備に活用する」など、現金化しにくい財産が多い場合に特に有効です。

死亡保険金は現預金や不動産と違い、遺産分割協議の対象外です。相続で揉めた場合でも、受取人が単独で請求できてすぐに受け取れるので、生活費や納税資金に困ることを防げます。

注意点・リスク回避

■ 保険金の非課税枠(法定相続人×500万円)を超えると課税対象になる
■ 保険の受取人設定ミスや見直し忘れに注意

4.生前対策のよくある失敗例とその回避策

生前対策は「やれば安心」と思われがちですが、実際には多くの方が“思い込み”や“準備不足”で失敗に陥っています。せっかく早めに対策を始めても、やり方やタイミングを間違えると、かえって家族の負担やトラブルを招くこともあります。

「自分は大丈夫」と思っている方こそ、ぜひ一度チェックしてみてください。

失敗❶:節税目的の対策が逆効果に

節税だけを目的に生前対策を進めてしまうと、かえって家族の負担が増えたり、思わぬトラブルを招くことがあります。たとえば、節税のために不動産を購入したものの、空室が続いて赤字になったり、管理の負担が大きくなってしまうケースも少なくありません。

また、税制の特例や控除を活用しようとしても、要件を満たしていなかったために適用できず、結果的に税金が高くなってしまうこともあります。

老後資金を圧迫するほど節税に偏るのも危険です。相続税や贈与税の制度は頻繁に改正されるため、最新情報を確認しながら、無理のない範囲で計画的に進めることが大切です。

失敗❷:家族間の話し合い不足・不公平感

生前対策の内容や方針を家族で十分に話し合わずに進めてしまうと、後になって「なぜ自分だけ少ないのか」「介護の負担を考慮してほしい」など、不公平感や不信感が生まれやすくなります。

特に、財産の分け方や生前贈与の配分が偏っている場合、兄弟姉妹の関係が悪化し、相続発生後に“絶縁状態”になることも珍しくありません。生前対策は、家族全員が納得できる形にするためにも、早い段階からオープンに話し合い、希望や考えを共有することが不可欠です。

失敗❸:財産・債務の把握不足

生前対策を進めるうえで、財産や債務の全体像をきちんと把握していないと、相続発生後に「思っていたより借金が多かった」「見落としていた財産があった」といったトラブルにつながります。

たとえば、亡くなった方の銀行口座や不動産、保険、借入金などが家族に正確に伝わっていないと、相続手続きが複雑化し、申告漏れや余計な税負担、家族間の不信感を招くこともあります。

エンディングノートや財産目録を作成し、必要な情報を家族と共有しておくことが重要です。

失敗❹:準備不足・タイミングの遅れ

「まだ早い」と思って生前対策を先送りにしてしまい、いざ相続や認知症などの事態が発生した時には、もう有効な対策が取れなくなっているケースも多く見られます。

たとえば、判断能力が低下してからでは遺言書や贈与、信託など多くの手続きができなくなります。また、申告期限までに遺産分割や納税資金の準備が間に合わず、特例が使えなかったり、余計な税金を支払うことになることもあります。

「必要になってから」ではなく、「元気なうちから」備えることが大切です。

失敗❺:専門家への相談不足・情報のアップデート不足

相続や生前対策は法律・税制が複雑で、毎年のように改正が行われています。専門家に相談せずに独自で進めてしまうと、特例が使えなかったり、逆に損をすることも。

特に、相続税に詳しくない税理士や、相続実務経験の少ない専門家に依頼してしまい、結果的に余計な税金を支払ってしまう事例もあります。最新の法改正や制度変更を確認し、信頼できる専門家に相談することが、失敗を防ぐ大きなポイントです。

失敗❻:老後資金や生活設計とのバランスを考えない

節税や資産移転に注力するあまり、老後の生活資金が不足してしまうケースも見受けられます。生前贈与や不動産の売却などで手元資金を減らしすぎると、いざという時に医療費や介護費用が足りなくなり、生活の質が下がることも。

生前対策は「残す家族のため」だけでなく、「自分自身の安心・生活の質」を守るためのバランスも大切です。

5.生前対策の費用・手続き

生前対策の全体的な手続きフローと、代表的な対策ごとの手続き費用・専門家報酬の目安を表でまとめて解説します。はじめての方でも「まず何から準備すればいいか」「どのくらい費用がかかるか」が一目でわかる内容です。

ステップ1:目的・課題の整理

生前対策を始めるうえで、まず「何のために対策をするのか」を明確にしましょう。たとえば「相続税の節税」「家族間のトラブル防止」「納税資金の準備」「認知症リスクへの備え」など、目的や課題をリストアップすることが大切です。

この段階で財産や債務の全体像を正確に把握することも不可欠です。現金・預金・不動産・保険・株式・借入金などのリストを作成し、家族が把握できるようにしておくと、後々のトラブル防止やスムーズな対策選定につながります。

ステップ2:家族・専門家との話し合い

次に、家族で現状や希望を率直に話し合いましょう。相続人になり得る人には必ず相談し、希望や考えを共有することが重要です。家族間で財産や将来の方針を共有することで、不公平感や誤解を未然に防げます。

また、司法書士・税理士などの専門家に相談することで、最新の法改正や制度を踏まえた最適なアドバイスが得られます。相続に関する相談は、初回面談が無料のことが多いので、ホームページ等で確認し、一度整理も兼ねて相談するのがおすすめです。

ステップ3:対策方法の選定・費用の確認

目的や家族の状況、財産の内容をもとに、「生前贈与」「遺言書」「家族信託」「任意後見」「不動産の組み換え」「保険活用」などから最適な方法を選びます。この段階で「どのくらい費用がかかるか」も必ず確認しましょう。

対策ごとの費用は、①手続き自体にかかる費用②専門家への報酬に大きく分かれます。下記の表を参考に、事前に見積もりや説明を受けて納得したうえで進めることが大切です。

対策方法 手続き費用(目安) 専門家報酬(目安)
生前贈与 登記費用5万円~ 贈与契約書作成2~5万円
遺言書(自筆) 保管費用3,900円 チェック1~5万円
遺言書(公正証書) 公証役場10~40万円 作成サポート5~10万円
家族信託 登記・契約書5~10万円 設計・契約書作成30~80万円
任意後見制度 契約書作成・登記1~5万円 契約サポート5~10万円
不動産の組み換え 仲介手数料(3%+6万円) 売買契約書作成3~10万円
生命保険 保険料(月5,000円~) 設計相談無料~

※費用は実際の依頼内容や地域で変動します。目安としてご利用ください。

ステップ4:具体的な手続きの実行

選んだ対策ごとに、必要な書類作成や契約、公証役場での手続き、登記、税務申告などを実際に進めます。たとえば贈与契約書や遺言書の作成、不動産の登記変更、信託契約の締結、保険の見直しなど、手続きは多岐にわたります。

専門家に依頼する場合は、進行管理や必要書類の準備もサポートしてもらえるので、初めての方でも安心です。

ステップ5:定期的な見直し・アフターフォロー

生前対策は一度やれば終わりではありません。法改正や家族構成の変化(結婚・出産・離婚・死亡など)、財産状況の変動があれば、内容を定期的に見直すことが重要です。

また、定期的に家族で話し合い、専門家にも相談しながら、必要に応じて対策をアップデートしましょう。これにより、将来のリスクやトラブルを未然に防ぐことができます。

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6.専門家への相談タイミングと選び方

この章では、司法書士・税理士など相続の専門家にどのタイミングで相談すべきか、失敗しない選び方のポイント、無料相談や見積もりの活用法について、はじめての方にもわかりやすく解説します。「まだ早い」と思っている方も、ぜひ参考にしてください。

6-1.どのタイミングで相談すべきか

生前対策や相続準備は、「何か問題が起きてから」ではなく、できるだけ早い段階で専門家に相談するのが理想的です。特に以下のようなタイミングでの相談がおすすめです。

  • 相続や贈与、遺言、家族信託などを検討し始めたとき
  • 家族構成や財産状況が変わったとき(結婚・出産・離婚・死亡など)
  • 不動産や預金などの名義変更、財産の整理を考えたとき
  • 認知症や介護リスクが心配になったとき
  • 相続税や贈与税の節税を本格的に考えたいとき

また、相続人になりうる家族にも相談内容を共有し、希望や考えを話し合っておくことが大切です。最近は、初回無料相談やZoom・オンライン面談を活用できる事務所も多く、遠方の家族も一緒に相談できるのがメリットです。

6-2.専門家の選び方のポイント

専門家選びで後悔しないためには、以下のポイントを意識しましょう。

– 顔を見て相談できるか
– 通いやすい場所のほうがいいか(郵送でのやり取りでも可能)
– Zoomなどオンライン相談に対応しているか
– 相続や生前対策の実務経験・実績が豊富か
– 初回相談や見積もりが無料か、費用体系が明確か
– 家族の希望や状況を丁寧にヒアリングしてくれるか
ホームページや口コミ、実際の相談事例なども参考に
– 最新の法改正や税制に詳しいか

6-3.どの専門家に依頼すればいいのか

ここでは、主要な士業(弁護士・司法書士・税理士)の違いや役割、相談すべきタイミング、選び方のポイントをわかりやすく解説します。

司法書士|不動産や遺言・家族信託など相続手続き全般

司法書士は不動産の名義変更や家族信託、遺言作成、成年後見制度の手続きなど、相続・生前対策の幅広い実務経験があります。特に不動産の相続や家族信託は、専門性が高い分野なので、相続専門の司法書士に相談しましょう。

税理士|相続税や贈与税の節税・申告手続き

相続税の計算は複雑で難しく、財産の相続税評価額の計算や特例制度の適用では専門的な知識に加えて経験も必要になります。

相続税を正しく計算して、使える特例制度をすべて適用して確実に節税をするためにも、相続税の節税対策や申告手続きは相続専門の税理士に依頼しましょう。

弁護士|トラブル防止・法的リスク対応

弁護士は、生前対策や相続における法的トラブルの予防・解決、遺言書作成や遺産分割協議、調停・裁判対応まで幅広くサポートできる法的エキスパートです。

弁護士は「法的な代理人」「調停・裁判対応ができる唯一の資格者」なので、相続トラブルや紛争リスクがある場合は必ず相談しましょう。

7.生前対策に関するよくある質問(FAQ)

Q 認知症に備えた財産管理の方法は?

認知症になると銀行口座が凍結されたり、不動産の売却ができなくなるなど、家族が困るケースが増えています。親が元気なうちから家族信託や後見制度など複数の方法を検討し、早めに対策を始めることが大切です。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

Q 家族で話し合うときのポイントや注意点は?

家族で話し合う際は、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で相談や情報共有を始めることが大切です。医療や介護、相続など状況に応じて、かかりつけ医や地域包括支援センター、司法書士・税理士・弁護士などの専門家も上手に活用しましょう。

同じ悩みを持つ人との交流や、行政・医療機関の相談窓口も役立ちます。家族だけで抱え込まず、早めに相談先を活用するポイントや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

Q 相続人がいない場合や、子供がいない場合はどうなりますか?

相続人がいない場合や子供がいない夫婦の場合、家族信託や遺言で財産の行き先を指定しておかないと、最終的に国庫に帰属することもあります。

親族や配偶者への承継、二次相続まで見据えた対策のポイントは以下の記事で解説しています。

Q 相続財産に借金やローンなどの債務があった場合、どうすればいいですか?

相続では、借金やローンなどのマイナスの財産も引き継ぐことになります。債務が多い場合は「相続放棄」や「限定承認」などの手続きも検討できます。

具体的な対応方法や手続きの流れは以下の記事で詳しく紹介しています。

5.動画解説|生前にやるべき5つの対策

6.まとめ

  • 生前対策を先送りにすると、思わぬトラブルや「困った!」が現実になるリスクがある
  • 生前対策は、相続トラブル防止・節税・納税資金準備・認知症リスク対策に役立つ
  • 主な方法は、生前贈与・遺言書・資産の組み換え・生命保険・任意後見制度・家族信託の6つ。目的や家族状況に合わせて選ぶことが重要
  • 不動産の生前対策は司法書士、相続税の節税対策は税理士に相談すると安心
  • 早めの準備と家族・専門家との連携が、円満な相続と家族の安心につながる

実際に相続が起きたときや認知症になったときに慌てないためにも、生前対策は元気なうちから早めに始めておくことが大切です。

生前対策をする理由は人それぞれ異なりますが、目的を明確にした上で最適な方法を選んで対策をすれば、実際に相続が起きたときに残された家族が困らずに済みます。今回紹介した5種類の生前対策の特徴を理解して、ご自身に最適な方法を選ぶようにしてください。

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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