【司法書士監修】遺産相続の5つの期限|手続き内容と期限を徹底解説

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

人が亡くなった後で最初に訪れる行政手続きは「死亡届け」の提出ですが、これは死亡から7日以内に役所に提出することになります。死亡届けを出さないと後に続く火葬許可や埋葬許可をもらうことができません。

死亡届けは故人のご遺体の処理に関する最初の手続きになりますが、相続に関する遺産絡みについても各種の手続きが必要で、その中には期限が決められた手続きもあります。期限の存在を知っておかないと必要な権利の行使ができなくなったり、金銭的に不利益を被る可能性もあるので要注意です。

今回の記事のポイントは下記のとおりです。

  • 遺産分割については期限はないが、その後の諸手続きの前提になるので早めに済ませる
  • 相続放棄の判断をするには財産調査で時間を取られる
  • 相続税の申告期限を逸するとペナルティを課される危険がある
  • 遺留分減殺請求権のように期限が二種類存在するものもある
  • 相続開始後は精神的にも時間的にも余裕がないので、必要に応じて専門家の利用を考える

今回の記事では遺産相続に絡み、どの手続きにどれくらいの期限が設定されているのか押さえていきます。

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1.相続にはたくさんの期限がある

相続に関する諸手続きはただでさえ種類が多くて戸惑いますし、大切な家族が亡くなった直後ですから精神的にもつらい時期です。いざ相続が起きてしまった後は、葬儀の手配や親せき、知人への連絡などに追われて忙しい日々を送ることになります。

相続にはたくさんの期限がある

しかし相続関連の手続きは怠るとペナルティを課されることもあるので、「時間がなかった」では済まされません。相続直後は時間に追われることが分かっているわけですから、少なくとも諸手続きの期限については「相続発生前」にしっかり確認しておくことが大切です。

次の項では相続に関する各種手続きについての期限を具体的に確認していきます。相続手続きを円滑に進めることができるように、しっかりと押さえていきましょう。

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2.相続手続きで気になる5つの期限と対処方法

2‐1.【期限なし】遺産分割の期限と対処方法

まず、残された相続財産を誰がどれだけ取得するのかという遺産分割については期限は定められていません。
そのため、遺産分割協議をいつまでにしなければならないという決まりはないのですが、放置すれば遺産の分配が適切になされないことで別の方面で問題が生じてきます。

例えば、遺産の分配が確定しなければ各相続人が取得する相続財産額が確定しないため、相続税の計算ができません。下で述べるように相続税の手続きにも期限がありますから、期限までに相続財産額が確定しない場合は一旦法定相続分通りで承継したとして仮の申告をし、遺産分割協議が済んだのちに改めて修正申告をしなければならない手間が生じます。

また有利な特例を使えなくなり税負担が増してしまう可能性もあります。
そして遺言書がないケースで遺産分割協議を行わないままにしていると、遺産は全て共有状態のままとなります。いずれは相続人も死亡しますから、死亡した相続人が持つ共有持分は承継人に引き継がれます。
不動産が共有となる場合のリスクについては、下記の記事で詳しく解説していますので、興味ある方は確認をしておいてください。

将来、遺産分割が必要になったとしても、その時点になってからでは遺産分割協議をしようとしても、改めて相続人全員の同意を得る、意見調整をするなど相当な手間と時間を要しますから、期限や時効がないとしても、遺産分割協議が必要な事案ではできるだけ早く関係者と連絡を取り話し合いを持つことが大切です。
関係者が遠方にいる場合、必ずしも全員が一堂に会せずとも、核となる人が電話や手紙等で連絡を取り合い、合意した内容を遺産分割協議書にまとめることは可能です。

遺産分割協議を放置すると

2‐2.【3か月以内】相続放棄の期限

借金などマイナスの遺産の方が大きく、相続放棄をしなければならない事案の場合、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを取る必要があります。
この期限を逸すると原則として相続放棄は認められず、相続を承認したとみなされます。そうすると相続人は故人の借金を弁済しなければならないため、大きな不利益を被ることになるでしょう。

相続放棄の期限について、3ヶ月という期間は余裕がありそうに見えますが実際はそうではありません。
相続放棄をする必要があるかどうかは、故人の相続財産の構成をはっきりさせないと判断することができませんよね。プラスの財産とマイナスの財産がどれだけあるのか、相続財産調査を入念に行う必要があり、これにかなりの時間がかかります。

相続放棄の期限は3か月以内

とくに借金は家族に隠れてしていることも多いので、マイナス財産の調査は実務的に経験とコツ、そして時間が要ります。素人の方には難しいため、必要に応じて専門家を利用するようにしましょう。

2‐3.【10か月以内】相続税申告の期限

相続税の申告期限は相続開始から10か月です。
申告期限は同時に納税の期限でもある点に注意が必要です。相続税は申告手続きだけで済むケースと、申告と共に納税まで必要なケースがありますが、納税も必要なケースでは相続税の納税資金を手元に用意しなければいけません。

相続財産は必ずしも現預金が多いとは限らないので、事案によっては不動産を換金しなければならないこともあります。不動産の売却は時間がかかるので、売却するのであれば迅速に動く必要があります。
売却対象となる不動産の所在地や性質、使い勝手によって買い手の付きやすさが全く変わってくるので、不動産の売却に必要な期間は事案によって大きく変動します。最低でも3ヶ月~半年ほどの余裕は見ておきたいので、これを考えると余裕がないことが分かりますね。売却期間に余裕がないと売り急ぎが生じ、相手の値下げ圧力に対して強気で臨むことができません。

そして、相続税の申告・納税が必要か否かを判断するには相続財産の調査をしなければならないこと、そして必要に応じて相続人同士で遺産分割協議を行い遺産の承継先を確定させる必要があります。

これらの処理に時間がかかるので、10か月という期間はあっという間に過ぎます。必要な相続税の申告・納税の期限を逸すると税務上のペナルティを課される危険があるので、期限に間に合うように早め早めの行動が求められます。

相続放棄の期限は10か月以内

2‐4.【1年以内】遺留分侵害額請求権の時効と除斥期間

遺産の最低限の取り分である遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求を行って遺留分を取り戻すことができます。遺留分侵害額請求には「時効」と「除斥期間」の2種類の期限があります。

時効は相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈を知った時から1年、こちらはかなり短い期間になっています。本人が相続の開始があったことおよび自らの遺留分が侵害される遺贈や贈与があったことを知らなければ時効にかかることはなく、この点が除斥期間との違いになります。

もう一つの除斥期間は相続開始から10年で、本人が相続開始を知っていたかどうかに関わらず、この期間を逸すると遺留分侵害額請求を行うことができなくなります。あまりに長期間にわたって遺留分侵害額請求が認められると、いつまでも権利の確定がなされないことで法律関係が不安定になるため、10年というくぎりで権利行使の道を閉ざすことにしているのです。

 

遺留分侵害額請求権の期限

ただし、相続の開始や遺留分を侵害する遺贈、贈与があったことを知った日については、漠然と知った程度でも起算日となるので、ざっくりと理解するにあたっては、被相続人が死亡した日から1年ということで考えておいてください。

2‐5.【2024年4月1日以降】相続登記の期限:不動産取得を知った日から3年以内

相続不動産の名義変更(相続を原因とする所有権移転登記)ですが、2021年時点では特に期限は定められていません。ただし、2024年1月1日以降は相続登記の義務化が予定されており、相続での不動産取得を知った日から3年以内に相続登記(不動産の名義変更)をしないと、10万円以下の過料の対象となります。また、名義変更をしないと名義は被相続人のままなので、自分に所有権があることを第三者に証明することができません。
売却や利活用に支障が出てくるので、名義変更は早めに済ませておくようにしましょう。

なお、弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続による預貯金の解約や不動産の名義変更手続きなど相続後の手続きをサポートしています。どんな手続きが必要か、必要な書類はどのように集めればいいのかなど、無料相談をさせていただいております。必要な手続きのサポートをさせていただきますので、お気軽にお問合せください。

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3.その他にチェックしておいたほうがいい時効や期限

これまで述べてきた相続手続きに密接に関連する期限や時効のほかに、下記の事項にも期限や時効があります。

3‐1.【5年以内】相続回復請求権の時効

例えば相続欠格や排除などで相続する権利を失っているにもかかわらず、相続人であるかのように振舞って遺産を横取りした者がいたとします。真に相続する権利のある相続人は、上記偽の相続人に対し、「自分が本当の相続人なのだから、相続財産を返しなさい」と要求することができ、これを「相続回復請求権」といいます。

相続回復請求権は、相続が発生したことおよび自分に相続する権利があるのに相続から除外されていることを知った時から5年で時効となります。または相続権の侵害があったことを知ったかどうかに関わらず、相続開始から20年を経過した場合は相続回復請求権を行使することができなくなります。

3‐2.取得時効と消滅時効

相続と直接は関係がない論点ですが、時効取得と消滅時効という問題もあります。

取得時効

時効取得とは、他人のものを長期間占有していた場合に、一定の条件を満たすことで所有権を取得することができる民法上のルールです。
例えば、死亡した父親が所有する土地を隣地所有者が長期にわたって自分の土地に含まれると信じて占有して使用していた場合、条件を満たせば隣地所有者に父親の土地の所有権を取得されてしまいます。

ただし取得時効が実際に成立するには細かい条件を満たす必要があり、占有していた経緯によっては取得時効に要する期間が10年になったり20年になったりと、ルールの中身は難しいものになっています。

取得時効 期限

消滅時効

消滅時効とは、銀行預金など他社に対する権利や借金など他人に対して負う義務が、一定期間経過することによりその権利義務を消滅させる制度です。 法律で定められた時効期間(10年又は20年)が経過した後、一定の条件を満たすことによりその権利が消滅します。

例えば、死亡した父親が持っていた預貯金や他人に対する貸付金を有していた場合にその存在を気づかずに期間が経過したり、借金を負っていた場合に期間が経過することにより権利義務が消滅する可能性があるのです。
このように、親の相続財産をきちんと調べないといつの間にか権利を失ったりする可能性もあるのです。

消滅時効の期限

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5.期限は案外早く過ぎるので要注意!

色々な期限や時効について見てきましたが、数か月あるいは年単位の期限となると何となく余裕を感じる人が多いように思います。しかし上でもお話ししたように、相続開始後は葬儀などの手配に追われるので、想像するよりも余裕がないことが多いです。
また、相続放棄をするかどうかを判断する前提として相続財産調査が必要となるように、ある手続きをするにはその前提として時間がかかる別の作業をしなければならないことがあります。

素人には難しい作業や、日程が迫ってしまい余裕がないケースでは、相続手続きに詳しい専門家に任せた方が良いこともありますから、必要に応じて検討しましょう。

6.まとめ

今回の記事では遺産相続に関係する各種の期限や時効について見てきました。本章の内容をまとめてみましょう。

  • 遺産分割については期限はないが、その後の諸手続きの前提になるので早めに済ませる
  • 相続放棄の判断をするには財産調査で時間を取られる
  • 相続税の申告期限を逸するとペナルティを課される危険がある
  • 遺留分減殺請求権のように期限が二種類存在するものもある
  • 相続開始後は精神的にも時間的にも余裕がないので、必要に応じて専門家の利用を考える

手続きの中には期限がないものもありますが、放置しておくと後々問題が生じてきます。
期限の有無に関わらず、相続に関する手続きはできるだけ早く終えられるように前倒しで進めるスタンスが求められます。

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