亡くなった被相続人から遺産を相続するとき、忙しい等の理由で相続登記を代理の方に任せたいと思われるかもしれません。この際に、相続登記申請書とともに法務局に提出しなければならないのが「委任状」です。
今回の記事のポイントは以下の通りです。
親族や専門家に相続登記の手続きを依頼する場合には委任状が必要になり、法務局に提出しなければなりません。 ご自身で作成する場合に不適切な委任状を作成してしまうと、登記の遅延や遺産相続などにトラブルが発生することがあります。 当サイトを運営する司法書士事務所リーガルエステートでは、初回無料相談を行なっており、委任状に関してのご相談も受けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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今回は、相続登記のどのようなケースで委任状が必要となるのかや、委任の方法や注意点について解説していきます。
目次
相続登記の委任状とは、被相続人から不動産の名義を引き継ぐ際の手続きを、司法書士や弁護士などの専門家や親族などに託したことを記した書類です。委任状を作成することで、相続登記を行う権限を本人以外の方に委任したことが証明されます。
後述するように、相続登記によって委任状を用意する必要がない場合もあります。
本人以外の方に相続登記の手続きを託すためには、委任したことを記入した委任状をその方に渡す必要があります。この際、委任状の作成は、本人でも相続登記を託した方でも構いません。しかし後述するように、本人が氏名の記入と押印を行わないと本人が委任状の内容を承認したかわからないので、無効になる恐れがあります。
委任状は、本人や相続登記を託した方が作成します。しかし、司法書士など専門家に相続登記を依頼すると、正しい記載方法による委任状を作成してもらうこともできます。
相続登記の委任状には、相続人から引き継ぐ不動産の情報を記入しなくてはいけません。そのため、相続した不動産の登記事項証明書を法務局で取得する必要があります。
相続登記申請書と違い、法務局は委任状の書式を用意していません。ただし、委任状の書式は決まっています。
そこでサンプルをもとに、各項目や記載する内容について説明していきましょう。
まず、相続登記を依頼する方の住所と氏名を記入しましょう。サンプルだと甲野太郎さんが乙野花子さんに相続登記の手続きを託していますが、この場合、乙野花子さんの住所と氏名を記入します。
相続登記を依頼する方に、登記申請を委任する旨を記入します。サンプルだと、次の文言に相当します。
不動産の所有者が、亡くなった被相続人だけなのか、それともほかの方と共有しているのかによって、登記の目的に記入する内容は変わってきます。
サンプルのように不動産の所有者が被相続人単独所有の場合には、登記の目的として次のように記入します。
一方、不動産を共有している場合において、亡くなっている方の共有持分を相続するには、登記の目的として次のように記入します。
不動産を単独で所有しているのか、共有しているのか不明な場合には、登記事項証明書を確認するとよいでしょう。
登記の原因には、不動産の所有者である被相続人の亡くなった日付に相続したことを記入します。サンプルだと次の文言に相当します。
被相続人が亡くなった日付は、亡くなった方の戸籍謄本で確認できます。
被相続人の名前のあとに記入する内容は、不動産を単独で所有しているか、それとも共有しているのか、あるいは不動産の相続人が1人か複数人かによって変わります。
亡くなった方が不動産を単独で所有し、その不動産の相続人が1人である場合には、まず、亡くなった方の氏名をカッコ書きで記載し、次に不動産を相続する相続人の住所と氏名を記入します。サンプルだと次の文言に相当します。
亡くなった方が不動産を単独で所有し、その不動産の相続人が複数人である場合には、相続人の住所・氏名のほかに、相続する不動産の持分を記入します。たとえば、AとBの2人が不動産を相続する場合には次のように記入します。
亡くなった方が不動産を共有した場合も同様に、持分を記入します。たとえば、亡くなった方の持分が3分の1であり、甲野太郎と甲野三郎で2対1で分ける場合には次のように記入します。
相続登記の対象となる不動産の情報を登記事項証明書にならって記入します。
(法務省ホームページより引用)
サンプルだと次の文言に相当します。
対象不動産が土地であるか建物であるかによって、次のように書き方が変わります。
不動産の表示と記入し、登記事項証明書にならって、「所在」、「地番」に続き「~○の土地」と記載します。
もし、亡くなった被相続人が土地を共有している場合には、その所有する共有持分割合を追記します。
不動産の表示と記入し、登記事項証明書にならって、「所在」、「家屋番号」に続き「~○番の建物」と記載します。
もし、亡くなった被相続人が建物を共有していた場合には、土地と同じくその所有する共有持分割合を追記します。
不動産の表示と記入し、登録事項証明書にならって、次のようにすべて記入していきます。通常の建物と異なる部分としては、土地の敷地権の表示(土地の符号、敷地権の所在、種類、敷地権の割合)を登記事項証明書を確認して追加して記載する必要があります。
相続登記の申請には、登記申請以外の手続きが必要になってくるケースがあります。たとえば、相続登記申請後に発行される「登記識別情報の受領」もそのひとつです。こうした事柄を補足的な内容として委任状に記入しないと、相続登記を託した方に手続きを委託することはできず、本人が行わなければならないので注意しましょう。
最後に、委任状を作成した日付、住所を記入し、署名・押印を行います。たとえば、甲野太郎さんが乙野花子さんに相続登記を委任する場合には、甲野太郎さんが署名と押印を行わなければなりません。
委任状を作成する際の注意点を挙げていきましょう。
もし字を間違えた場合には、間違えた箇所に二重線を引き、その上に印鑑を押します。委任状に署名する際に使用した印鑑を訂正印として使いましょう。また、別の訂正印と重なって押さないようにしましょう。
注意点として、あらかじめ文書の余白に押印し、誤りが見つかったときに訂正印として利用できる「捨印」を利用しないほうがよいでしょう。捨印を悪用し、委任を受けた内容が改ざんされる恐れがあるためです。
委任状を訂正するときには、訂正印をその都度押すとよいでしょう。
白紙委任状とは、委任状に記入すべき事柄の一部を空欄にしたまま作成した委任状を指します。たとえば、相続登記を委任する方が決まっていない場合に、その部分を空白にした委任状が考えられます。
しかし、本人の意思にもとづかない内容が空白部分に書かれてしまい、トラブルに発展する可能性があります。そのため、白紙委任状は作成しないようにしましょう。
本人の意思に基づかない委任状は無効になる可能性があります。ただし、別の方が委任状を代筆することは可能です。その場合には、病気や怪我などで字が書けないなど代筆しなければならない理由を記入し、委任者が委任事項を承知したうえで押印すると、無効とはなりません。
しかし、本人の知らないところで、別の方が勝手に委任状を作成した場合には、委任状は無効になります。この際、無効な委任状による相続登記も無効になります。
では、どのような場合に委任状が必要になるのでしょうか。
相続登記の委任状は、不動産の名義を引き継ぐ際に必要な手続きを、誰かに依頼することを証明する書類です。そのため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼する場合でも、必要書類とともに委任状を法務局に提出しなければいけません。
なお、弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続人や相続財産の特定、相続登記に必要な申請書の作成など、無料相談をさせていただいております。どのような対策が今ならできるのかアドバイスと手続きのサポートをさせていただきますので、お気軽にお問合せください。
相続人が複数人存在し、代表者が相続手続きを進めていく場合、委任状の有無はケースによって異なります。大前提として、本人以外の第三者が相続登記を行うのであれば、委任状は必須です。
相続登記する不動産の割合が法律で定められた分割割合である「法定相続分」通りであれば、委任状がなくても登記が可能です。この場合でも委任状を提出すると、登記完了時に「登記識別情報通知書」が登記を申請する相続人以外の相続人に対しても登記識別情報通知書が発行されます。
逆を言うと、委任状がない場合には相続登記を申請した相続人のみ登記識別情報通知書が発行されますが、委任状を提出しない相続人は登記申請に関与していないため受領することは出来ません。
登記識別情報通知書は、売却や贈与といった「所有権移転登記」や、住宅ローンなど抵当権の設定などで必要な書類です。登記識別情報通知がないと売却などの手続きで余分な費用がかかったり手続きが複雑になることがあります。不動産を相続する方全員に届けられるのが望ましいので、法定相続分通りであっても委任状を作成したほうがよいでしょう。
例外的に委任状が不要なケースがあります。法律上の代理権が認められる「法定代理人」が登記申請を行う場合には、わざわざ委任状を作成する必要はありません。
たとえば、親が未成年者の子の代わりに相続登記の申請をするときには、子の委任状は不要です。ただし子が成人すると親権はなくなるので、子が自分で登記申請するか、親に任せる場合には委任状が必要になってきます。
また、判断能力が衰えた方の財産管理や身上保護を支援する「成年後見人」にも代理権が認められるので、本人の委任状がなくても成年後見人が登記申請できます。ただし家庭裁判所から保佐や補助だと判定された場合には、原則として保佐人や補助人には代理権が付与されないので、登記申請を代理できません。
このほか、親権者など身寄りがない未成年者に対しては、未成年後見人が未成年者に代わって委任状がなくても相続登記が可能です。
相続登記を司法書士に依頼したときに、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
登記事項証明書の発行や、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の取得など、必要書類の取り寄せに費用がかかります。また法務局への申請費用として、登録免許税も必要です。相続人が相続登記をする場合、不動産の固定資産税評価額の0.4%が登録免許税となります。
司法書士に相続登記を依頼すると、報酬として10万円程度発生します。ただし、相続人や不動産の数によって大きく左右されます。
弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続登記義務化に伴い、現在所有している相続不動産についてどのような形で相続登記が必要か、相続登記に必要な書類と手続きの流れ、相続登記後に必要な不動産の管理処分方法などの無料相談をさせていただいております。どのような対策が今ならできるのかアドバイスと手続きのサポートをさせていただきますので、お気軽にお問合せください。
先述したように、誰かに相続登記を委任すると、委任状に本人の印鑑を押印しなければなりません。
委任状には、委任した方の実印ではなく、認印で押印することも可能です。これは、司法書士などに依頼する場合でも、相続人のひとりに、代理申請を委任する場合でも変わりません。
できるだけ、委任状を1枚に収まるようにしましょう。もっとも相続する不動産の数が多い場合には、複数枚になることがあります。この際、委任状をホチキスで留め、書類を契印でつなぎます。契印に使用する印鑑は、委任した相続人の署名の横に押印した印鑑と同じものにしましょう。
今回は、相続登記で委任状が必要になるケースについて解説しました。内容をまとめてみましょう。
相続登記の委任状に記入する事柄も、相続の状態や仕方によって変わってきます。相続登記を専門家に依頼すると委任状の準備まで行ってくれるので、お忙しい方は専門家に依頼するのも一案でしょう。
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