【2026年最新】成年後見人になるには?親族が選ばれる条件と手続き・費用・仕事内容を徹底解説

2026年現在、成年後見制度は大きな転換期を迎えています。かつては「親族が選ばれるのは難しい」という声もありましたが、現在は最高裁の指針により「適切な親族がいれば優先的に選ぶ」運用が定着してきました。

しかし、制度を正しく活用するためには、あらかじめ知っておくべき実務上の注意点があります。実際に準備を始めると、次のような状況に直面し、戸惑われる方も少なくありません。

記事のポイントは下記のとおりです。

  • 判断能力が低下した後に家裁が選ぶ「法定後見」と、元気なうちに自分で選ぶ「任意後見」がある。
  • 資格は不要で親族もなれますが、未成年者や破産者、本人と裁判中の人などは法律上除外される。
  • 後見が始まると、財産は「本人のため」だけに厳格に管理されます。家族への贈与や相続税対策、投資などは原則できなくなる。
  • 「一度始めると一生やめられない」という不便さを解消するため、利用期間の設定や後見人の交代をしやすくする法改正が進んでいます。
  • 判断能力があるうちなら、裁判所を通さず家族に柔軟な管理を任せる「家族信託」という選択肢も選べます。

この記事では最新の運用状況を踏まえ、後見人になるための手順と、司法書士だからこそ知る「実務上の注意点」を解説します。

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1.親族が成年後見人になれる可能性

親の認知症が進み、銀行手続きや施設入所のために「成年後見人」の検討を始めるとき、多くの方がまず希望されるのが「家族である自分が後見人になりたい」ということです。

しかし、ネット上の「親族優先」という言葉だけを信じて準備不足のまま申し立てると、意に反した結果を招く恐れがあります。

1-1.成年後見制度が必要となるケース

結論からお伝えすると、以前に比べて「適切な親族がいれば、優先的に選任する」という方針が裁判所でも明確になっています。

最高裁判所が発表している統計(令和5年1月〜12月)によると、親族が成年後見人に選任された割合は全体の約19.1%です。数字だけを見ると「5人に1人しか選ばれないのか」と感じるかもしれませんが、これには理由があります。

2019年、最高裁判所は身近な親族が後見人にふさわしい場合には、親族を優先的に選任することが望ましいという考え方を全国の家庭裁判所に示しました。これにより「親族間に争いがない」「本人の財産管理が複雑ではない」といった一定の条件を満たせば、以前よりもスムーズに家族が選ばれる土壌が整っています。

2026年でもこの傾向は続いており、特に「本人の意思を尊重し、地域で支える」という観点から、まずは家族が候補者として検討されるのが現在の実務のスタートラインです。

1-2.なぜ専門職が選ばれるケースが多いのか

一方で、約8割のケースでは弁護士、司法書士、社会福祉士などの「専門職」が選ばれています。家族が立候補しているにもかかわらず、なぜ専門職が選ばれることがあるのでしょうか。

それには、家庭裁判所が「本人の利益を守る」ために慎重に判断を下す、以下のような実務上の理由があります。

親族間で意見の対立がある

「長男が後見人になることに次男が反対している」といった状況がある場合、裁判所は公平性を保つために、中立な第三者である専門職を選びます。

管理すべき財産が高額、または複雑である

数千万円以上の預貯金がある場合や、収益不動産の管理、多岐にわたる株式の運用などがある場合、管理のミスを防ぐために専門職が指定されるケースが多くなります。

身上保護に特別な課題がある

親族が遠方に住んでいる、あるいは親族自身も高齢で実務的なサポートが難しいと判断された場合です。

後見監督人がつくケース

親族が後見人に選ばれたとしても、財産額が大きい場合には、その事務をチェックするために専門職が「後見監督人」として付く運用も一般的です。

「家族がなれない=否定された」ということではなく、あくまで「本人の財産を守るための安全装置」として専門職が介入するというのが、現在の制度のリアルな姿です。

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2.【2026年最新】成年後見が変わる?「途中でやめられない」原則が見直しへ

成年後見制度を利用する上で、最も大きな課題の一つとされてきたのが、「一度、後見が開始すると、ご本人が亡くなるまで原則としてやめられない」という点です。この「終身制」とも言える仕組みが、後見人となるご家族にとって大きな負担となり、制度の利用をためらわせる一因ともなっていました。しかし、社会の変化に合わせて、この大きな原則が見直されようとしています。

ここでは、2025年現在の最新動向を解説します。

2-1.【見直しのポイント】どう変わるのか?

現在議論されている中間試案では、利用者や家族の負担を軽減するための、いくつかの新しい選択肢が示されています。

  • 「終わりのある」後見制度の導入
    あらかじめ期間を決めて後見を利用したり、一定の条件を満たせば後見を終了させたりできる仕組みが検討されています。
  • 後見人の柔軟な交代
    これまでは難しかった後見人の交代を、より柔軟に行えるようになります。
  • 役割の分担
    複雑な「財産管理」は専門家、日常的な「身上監護」は家族、というように、複数の後見人が役割を分担できる仕組みも議論されています。

これらの見直しは、「必要な時に、必要な支援だけを、適切な人から受けられる」ように制度を転換させようという大きな流れの中にあります。

2-2.今後の見通しと私たちへの影響

この法改正は、現在まさに議論が進められている最中であり、2025年夏頃に中間試案への意見公募(パブリックコメント)が行われ、早ければ2026年以降の国会で改正案が成立する見通しです。

もしこの改正が実現すれば、私たちにとって以下のようなメリットが期待できます。

  • 後見人になるハードルが下がる:
    「ずっと自分が責任を負わなければ」という重圧が減り、家族も後見人という選択肢を前向きに検討しやすくなります。
  • 本人の意思を尊重した支援が可能に:
    本人の状態に合わせて、支援内容を柔軟に見直せるようになり、より本人の意思を尊重したサポートが期待できます。

成年後見制度は、私たちの未来の安心を守るための大切なセーフティネットです。より使いやすく、誰にとっても優しい制度になるよう、今後の動向に注目していきましょう。

⚠️ 法改正を「待つ」べきか、今すぐ動くべきか?

将来的に利便性は向上しますが、現時点で預金凍結など急ぎの課題がある場合、数年先の改正を待つのはリスクが伴います。手遅れになる前に、現行制度や家族信託を組み合わせた最善の策を専門家と検討することをお勧めします。

3.成年後見人になれる人の条件と欠格事由

「成年後見人」とは、単に親の代わりに預金を引き出す係ではありません。本人の代理人として、生活全般を支える「身上保護と、全財産を適切に管理する「財産管理という法的責任を負う重要な役割です。

そのため、家庭裁判所は「この人に本人の人生を預けても大丈夫か」という視点で、候補者を厳しく審査します。ここでは、法律上のルール(欠格事由)と、実務で重要視される判断基準を整理します。

3-1.法律で定められた欠格事由(絶対になれない人)

民法第847条では、後見人の職務を全うできない可能性が高い人として、以下の「欠格事由」と定めています。これらに一つでも当てはまると、どれほど本人のことを思っていても、成年後見人になることはできません。

未成年者 自身の財産管理も完全には認められていないため
解任経験がある人 過去に後見人を解任されるなど不適切な行為があった場合
破産者 現在破産手続き中で、免責(借金の免除)が確定していない人
本人と訴訟中の人
その家族
本人と争いがあり、利益が対立する可能性があるため
行方不明者 実際に本人の支援活動を行うことができないため

3-2.欠格事由以外で選ばれない実務上の理由

法律上の欠格事由に該当しなくても、家庭裁判所が「親族を後見人にするのは不適当」と判断するケースがあります。実務上、特によく見られるのは以下の3つのパターンです。

① 親族間で意見の対立がある

これが最も多い理由の一つです。例えば、長女が後見人に立候補しても、他の兄弟が「お姉ちゃんがお金を使い込むかもしれない」と一人でも反対している場合、裁判所は紛争を避けるために、中立な第三者である専門職(司法書士や弁護士)を選任する傾向が非常に強いです。

② 候補者が高齢、または遠方に住んでいる

「老老介護」の状態で候補者自身も80代といったケースでは、裁判所から「事務負担に耐えられない」と判断されることがあります。また、極端な遠方に住んでいる場合も、緊急時の身上保護(入院手続きや施設対応)が困難とみなされる可能性があります。

③ 本人と候補者の間に「利益相反」がある

例えば「親の不動産を売って、その代金で自分の住宅ローンを返したい」といった事情がある場合です。また、親の相続において自分も相続人である場合、親の代理人として遺産分割協議を行うことは「自分と親の利益がぶつかる」ため、別途「特別代理人」や監督人の選任が必要になるなど、手続きが複雑化します。

4.後見人になるための5ステップと必要期間

成年後見の手続きは、申立てをしてから選任されるまで一般的に「2ヶ月〜4ヶ月」ほどかかると言われています。しかし、これはあくまで「裁判所に書類を出した後」の期間です。

実際には、その前段階である「書類準備」に予想以上の時間がかかり、全体で半年近くを要するケースも珍しくありません。各ステップで直面しやすいハードルと、リアルな期間を見ていきましょう。

契約前・人間関係のトラブル
ステップ❶  診断書の取得(医師探しが最初の壁)
ステップ 申立書類の作成(戸籍収集と財産調査)
ステップ❸  家庭裁判所での面談と調査
ステップ❹  審判(後見人の決定)
ステップ 確定と登記(仕事の開始)

ステップ1:診断書の取得(医師探しが最初の壁)

【期間の目安:2週間〜1ヶ月】
手続きの第一歩は、本人の判断能力を証明する「成年後見専用の診断書」を医師に書いてもらうことです。ここで多くのご家族が直面するのが、「主治医に作成を断られる」という事態です。

医師によっては「後見診断書を書いた経験がない」「精神科医ではないから判断が難しい」と慎重になるケースがあります。その場合、協力してくれる医師を新たに探す必要があり、予約から受診、発行までに1ヶ月以上の時間を費やしてしまうことが少なくありません。

⚠️ 診断書は「コピー」を必ず取っておく

裁判所に提出する診断書は原本ですが、必ずコピーを取っておきましょう。後見手続きと並行して「介護保険の区分変更」「障害者手帳の申請」などを行う場合、医師の診断内容の整合性が求められることがあります。

ステップ2:申立書類の作成(戸籍収集と財産調査)

【期間の目安:2週間〜1ヶ月】
裁判所に提出する書類は、驚くほど膨大です。

  • 戸籍関係:本人や候補者の戸籍謄本だけでなく親族関係を証明するために、遠方の役所から郵送で取り寄せが必要になることもあります。
  • 財産調査:通帳のコピーだけでなく、生命保険の解約返戻金、株式の評価額、不動産の登記簿謄本、さらには過去の通帳の履歴まで、1円単位で現在の財産状況を明らかにしなければなりません。「何がどこにあるか分からない」状態からスタートすると、この調査だけで心が折れそうになるご家族も多いのが実情です。

ステップ3:家庭裁判所での面談と調査

【期間の目安:申立てから約1ヶ月後】
全ての書類が揃い、家庭裁判所へ申立てを行うと、いよいよ「面談」が行われます。裁判所の調査官が、申立人(候補者)に対して、「なぜ後見人が必要なのか」「これまでに本人の財産をどう管理してきたか」を直接聞き取ります。

ここで、「親のキャッシュカードを勝手に使って、自分の生活費に充てていた」といった不適切な支出が発覚すると、親族が後見人に選ばれる可能性は極めて低くなります。

ステップ4:審判(後見人の決定)

【期間の目安:面談から2週間〜1ヶ月】
面談の結果を受けて、裁判官が最終的な判断を下します。「後見を開始するか」「誰を後見人に選ぶか」という内容が記された「審判書」という書類が自宅に届きます。この時点ではまだ「仮の決定」の状態です。

ステップ5:確定と登記(仕事の開始)

【期間の目安:審判書を受け取ってから約2週間】
審判書を受け取ってから2週間以内に他の親族などから異議申し立てがなければ、ようやく後見人の選任が「確定」します。

その後、裁判所から法務局へ「後見登記」が依頼され、1週間ほどで「登記事項証明書」が発行できるようになります。この証明書があって初めて、銀行や役所での具体的な手続きが可能になるのです。

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5.申立てにかかる初期費用と選任後のコスト

成年後見制度を利用する際、多くの方が誤解されているのが「費用は最初の手続き時だけ」という点です。実際には、申立て時にかかる「初期費用」と、後見が続く限り発生する「ランニングコスト」の2種類があります。

特に、親族ではなく専門職(司法書士や弁護士など)が選任された場合、その報酬は本人が亡くなるまで続くことになります。

5-1.申立て時に必要な実費と専門家報酬

まずは、家庭裁判所へ申し立てる段階で必要となる費用です。

❶ 裁判所へ支払う実費(約1万円〜)

  • 収入印紙(手数料):800円〜
  • 登記嘱託手数料:2,600円
  • 予納郵券(郵便切手代):3,000円〜5,000円程度(裁判所により異なる)

❷ 医師への鑑定費用(約5万円〜10万円)

  • 裁判所が「さらに詳しく本人の判断能力を調べる必要がある」と判断した場合に発生します。全てのケースで発生するわけではありませんが、実務上は予備費として考えておく必要があります。

❸ 診断書の取得費用(約5,000円〜1万円)

  • 病院によって異なりますが、通常の診断書より高めに設定されていることが多いです。

❹ 司法書士などの専門家報酬(約10万円〜30万円)

  • 複雑な戸籍の収集や財産調査、申立書類の作成を依頼した場合の費用です。

5-2.選任後に発生し続けるランニングコスト

後見人が決まった後にかかる費用が、家計に大きな影響を与えることがあります。

❶ 専門職後見人の報酬(月額2万円〜6万円)

弁護士や司法書士が選任された場合、本人の財産から「基本報酬」を支払います。

  • 財産額が1,000万円〜5,000万円の場合:月額3万円〜4万円程度
  • 5,000万円を超える場合:月額5万円〜6万円程度
    ※特別な事務(不動産売却など)を行った場合は、別途「付加報酬」が発生することもあります。

❷ 親族が後見人の場合は「報酬ゼロ」も可能

親族が後見人の場合、報酬を請求しないことが一般的です。ただし、財産額が大きいなどの理由で「後見監督人(専門職)」がついた場合は、その監督人への報酬(月額1万円〜3万円程度)が発生します。

6.家族が後見人になった後の仕事と年間ルーティン

成年後見人に選ばれることは、ゴールではなく「長い実務のスタート」です。後見人は本人の「法定代理人」として、自分の財産以上に厳格な管理と、裁判所への定期的な報告義務を負うことになります。

6‐1.就任直後の財産目録作成と事務報告

成年後見人の最も基本的な職務は、被後見人の財産を適切に管理することです。

初回報告(財産目録の提出)

選任後1ヶ月以内に、本人の全財産を調査し「財産目録」と「収支予定表」を裁判所に提出しなければなりません。

  • すべての通帳を記帳し、就任当日の残高を確認 する
  • 不動産の 登記事項証明書 固定資産評価証明書 を取得する
  • これらを1円単位で正確に記入し、裏付けとなる資料(コピー)を添えて提出します。この「最初の報告」で裁判所からの信頼が決まるため、非常に神経を使う作業です。

6‐2.日常的な財産管理と身上保護の記録

初回の報告が終わった後も、日々のルーティン業務が続きます。

財産管理(金銭の出し入れ)

本人の預金から施設費や医療費を支払いますが、ここで最も重要なのは「領収書をすべて保管し、金銭出納帳をつけること」です。たとえ本人のための支出であっても、領収書がない支出は裁判所から「不適切な管理」とみなされる恐れがあります。

また、親族への贈与や孫へのお年玉などは、原則として認められない点に注意が必要です。

身上保護(生活のサポート)

本人が適切な医療や介護を受けられるよう、施設との契約、介護保険の手続き、入院時の手続きなどを行います。これらは「いつ、どこで、どのような契約をしたか」を常に記録しておく必要があります。

年一回の定期報告

通常、年に一度(裁判所が指定した時期)、1年間の収支記録と財産の推移、そして本人の生活状況をまとめた「後見事務報告書」を提出します。通帳のコピーと領収書を突き合わせ、収支が完全に一致していることを証明しなければなりません。

この事務作業の重圧から、「やはり専門家に任せればよかった」と吐露されるご家族も少なくありません。

⚠️ 私的流用と疑われないための自己管理

家族が後見人になる場合、自身の生活や仕事と並行してこれらの事務を行うことになります。 特に「自分の財布と本人の財布を完全に分けること」が徹底できないと、後に親族間でのトラブルや、裁判所からの指導が入る原因になります。

7.後見人になる前に知っておくべき3つの落とし穴と回避策

成年後見制度は、本人の権利を守るためにはいい制度ですが、一方で「家族の自由」が大幅に制限される側面も持っています。申し立ててから「知らなかった」と後悔しがちな3つの落とし穴と、その回避策をまとめました。

落とし穴①:一度選ばれると「一生」やめられない

成年後見制度は、本人の判断能力が回復しない限り、亡くなるまで続くのが原則です。「事務作業が想像以上に負担だ」「親族と仲が悪くなったので辞めたい」といった理由で後見人を辞めることはできません。

また、一度家庭裁判所に申立てを行うと、自分の都合で勝手に取り下げることも認められないのです。

回避策

申し立てる前に、最低でも「今後10年、20年続く事務作業を担えるか」をシミュレーションしてください。もし負担が重いと感じるなら、最初から専門職を候補者に含めるか、後述する「家族信託」などの別手段を検討すべきです。

落とし穴②:親族間の「たった一人の反対」で専門職が選ばれる

自分が後見人になるつもりで数ヶ月準備しても、他の兄弟から「長男がなると財産を使い込まれそうで不安だ」という意見書が一通届くだけで、裁判所は中立な第三者(弁護士・司法書士等)を選任します。

こうなると、家族が財産を管理する希望は断たれ、本人の財産から月額数万円の報酬が一生引き落とされることになります。

回避策

申立ての前に、必ず推定相続人(兄弟姉妹など)全員に説明し「同意書(後見人候補者への同意)」を全員分揃えてから裁判所へ向かってください。全員の判子があることは、親族選任率を高める最大の武器になります。

7-3.成年後見申立時に希望する候補者を伝える方法

成年後見人が守るのは「本人の利益」のみです。そのため、たとえ良かれと思っても以下のような支出は裁判所に認められない可能性が高いです。

  • 孫への入学祝いやお年玉
  • 相続税対策のための生前贈与
  • 親の資金を使った実家のリフォーム(同居する子の便宜のためとみなされる場合)
回避策

後見制度を利用すると、財産は「凍結」に近い状態(守る専門の管理)になります。もし「親の資産を有効活用して、家族の負担も減らしたい」という希望があるなら、判断能力が完全に失われる前に、より自由度の高い「家族信託」という選択肢を比較検討しておくことが不可欠です。

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8.成年後見人にならずに済む方法とは?

「一度始めたらやめられない」「財産管理が不自由になる」といった成年後見制度のデメリットを避けたい場合、検討すべき対策が2つあります。どちらも「本人に判断能力があるうち」にしかできない対策です。

8-1.認知症になる前なら間に合う「家族信託」という選択肢

家族信託は、信頼できる家族(子供など)に、特定の財産の管理・処分権限をあらかじめ託しておく契約です。成年後見人にならずに済む方法として、現在最も注目されています。

  • 後見人との最大の違い
    裁判所を通さず、家族間での合意に基づき「柔軟な管理」ができる点です。
  • できること
    親が認知症になった後でも、子供の判断で実家を売却して介護費に充てたり、孫への贈与を続けたりすることが可能です。
  • メリット
    裁判所への定期報告が不要で、専門職への継続的な報酬も発生しません

8-2.任意後見制度との違いと使い分け

もう一つの選択肢が「任意後見制度」です。これは、本人が元気なうちに「将来、判断能力が落ちたらこの人に後見人になってほしい」と契約(公正証書)で決めておくものです。

「家族信託」と「任意後見」は、以下のように使い分けるのが実務上の定石です。

「お金・不動産」の管理を優先したいなら:家族信託

銀行口座の凍結防止や不動産の売却など、財産を動かすことに特化しています。

「生活・介護の手続き」を任せたいなら:任意後見

施設への入所契約や入院手続きなど、本人の「身の回りの事務(身上保護)」を法的にサポートします。

8-3.結論:あなたのご家族が「今」選ぶべきは?

もし、ご本人の物忘れが少しずつ始まっている状況であれば、「家族信託」と「任意後見」をセットで準備しておくことが、成年後見人(法定後見)にならずに済むための唯一の回避策と言えます。

一度、医師から「重度の認知症」と診断されてしまうと、これらの契約は一切結べなくなり、自動的に「裁判所が関与する成年後見」しか道がなくなってしまいます

「まだ大丈夫」と思っている今こそが、将来の不自由を避けるための最後のチャンスなのです。

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9.解説|親族が後見人になれる選任のポイントは?

10.まとめ

  • 判断能力が低下した後に家裁が選ぶ「法定後見」と、元気なうちに自分で選ぶ「任意後見」がある。
  • 資格は不要で親族もなれますが、未成年者や破産者、本人と裁判中の人などは法律上除外される。
  • 後見が始まると、財産は「本人のため」だけに厳格に管理されます。家族への贈与や相続税対策、投資などは原則できなくなる。
  • 「一度始めると一生やめられない」という不便さを解消するため、利用期間の設定や後見人の交代をしやすくする法改正が進んでいます。
  • 判断能力があるうちなら、裁判所を通さず家族に柔軟な管理を任せる「家族信託」という選択肢も選べます。

かつては資産額(2,000万円等)で親族が選ばれにくい傾向もありましたが、現在は条件付きで運用が見直されつつあります。ただし、「本人のために財産を守る」という厳格な原則は変わりません。「家族のために財産を活用したい」「柔軟な相続対策をしたい」というニーズには、後見制度では応えられないのが現実です。

だからこそ、ご両親が元気なうちに「家族信託」を含めた柔軟な財産管理の道筋を検討しておくことが重要です。ぜひ一度、ご家族で将来のことについて本音で話し合ってみてくださいね。

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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