【親が認知症】家族が成年後見人になるには?基準・手続きと注意点

親が認知症になり、「自分が後見人になって口座凍結を解決したい」と考える方は少なくありません。実際に家族が選ばれる確率は全体の16.5%ですが、正しい手順で申し立てを行えば、選任される可能性は十分にあります。

記事のポイントは下記のとおりです。

  • 家族が後見人になるには、家庭裁判所の手続きが必須
  • 全体の親族選任率は16.5%だが、最初から家族が立候補すれば選ばれる可能性は十分ある
  • 主な仕事は財産管理身上監護、そして年1回の裁判所への報告義務
  • 一度なると原則やめられないが、必要な期間だけ使える「柔軟な新制度」がスタート予定(2026年に改正法案が国会提出済)
  • 裁判所に介入されず、家族だけで柔軟にお金を管理したいなら「家族信託」がおすすめ

成年後見制度は、認知症の家族の財産と生活を守るための仕組みです。制度の内容と家族後見人の役割について解説します。

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1.【親が認知症】成年後見が必要な理由

親が認知症になると、日々の介護だけでなく、お金や契約に関する「3つのタイミング」で深刻なトラブルに直面します。

なぜなら、認知症によって「判断能力がない」とみなされると、あらゆる法律行為ができなくなってしまうからです。

① 銀行口座から預金を引き出せなくなる

銀行が本人の判断能力の低下を察知すると、トラブル防止のために口座が凍結されます

  • ATMの操作ができなくなる
  • 窓口での本人確認・意思確認が通らない
  • 親の医療費や介護費用が、親の口座から出せなくなる

② 実家の売却や、施設入所の契約を結べない

本人の「意思能力」がないと認められないため、以下の重要な契約行為がすべてストップします。

  • 介護施設への入所契約
  • 介護資金を作るための「実家の売却」

※注意:手術や延命治療などの「医療行為の同意」は、成年後見人であっても法律上の権限はありません 。実務上は、後見人が親権者や「親族としての立場」で事実上の同意署名を行っているのが実態です 。

③ 相続発生時、遺産分割協議ができなくなる

親が「相続人」のひとりになった場合、意思確認ができないため親族間での遺産分割協議が一切成立しなくなります。その結果、手続きがストップし、他の親族とのトラブルに発展するリスクが高まります。

【解決策】手遅れになる前に制度の活用を

こうした「口座凍結」や「契約ができない」という事態を守るための仕組みが「成年後見制度」です。すでに判断能力が低下している場合は「法定後見制度」、まだ元気で判断能力がある場合は「任意後見制度」や、今注目されている「家族信託」を検討するのが有効です。

2.家族が成年後見人になれる?

家族だから、自分が手続きすれば当然後見人になれるだろう」と思っていませんか?

実は、成年後見人に誰を選ぶかを最終的に決めるのは家庭裁判所です。ここでは、知っておくべき「選ばれる確率」と、裁判所がチェックする「7つの判断基準」をわかりやすく解説します。

(1)データで見る家族が選ばれる確率

最高裁判所の最新統計(令和6年)によると、身内が成年後見人に選ばれるケースは全体の16.5%と決して高くありません。しかし、最初から「親族を候補者として」申し立てた場合に限ると、89.2%(約9割)という極めて高い確率で、希望通り家族が後見人に選ばれています。

状 況 家族が選ばれる確率 選任傾向
全体的な統計 16.5% 弁護士や司法書士などの「専門職」が選ばれるケースが約8割
家族が立候補して申し出た場合 89.2% 親族間に反対がなく、財産がシンプルであれば高確率で選ばれる

引用元:最高裁判所「成年後見関係事件の概況-令和7年1月~12月-」10ページより

「家族が選ばれる確率は低い」と言われがちですが、それは最初から専門職を頼るケースが多いからです。自分たちで「家族の誰かがなります」ときちんと立候補して手続きを進めれば、選ばれる可能性は十分にあります。

(2)後見人の資格と欠格事由

成人であり、法律で定められた以下の「欠格事由(不適格な条件)」に該当しなければ、誰でも後見人になる資格自体はあります。

■ 未成年者
■ 破産者(過去に破産し、まだ復権していない人)
■本人と訴訟で争ったことがある人、およびその配偶者や直系血族
■ 行方不明者 など

(3)家庭裁判所が見る7つの判断基準

家庭裁判所は、立候補した家族が「本人の財産や生活をしっかり守れる人物か」を以下の7つのポイントから総合的に審査します。

1. 本人との関係性
日頃から介護や身の回りの世話をしており、良好な信頼関係があるか。
2. 財産管理能力
本人の財産をノートや通帳できちんと管理できるか(※財産が多額・複雑な場合は専門職が選ばれやすくなります)。
3. 身上保護の適性
本人の生活や介護、入院手続きなどを適切に手配できる環境か。
4. 公平性と中立性
親族間で反対意見や対立がないか(※親族間でもめている場合、高確率で第三者の専門職が選ばれます)。
5. 年齢と健康状態
長期間にわたって、後見人の重い責任を果たせる健康状態か。
6. 職業や生活状況
自分の仕事や生活が忙しすぎて、後見人の業務がおろそかにならないか。
7. 本人の意思
本人に少しでも意思表示能力がある場合、その希望が尊重される。

📌家族が選ばれるためのアドバイス

家族が後見人に選ばれるために最も重要なのは、「他の親族全員から事前に同意(サイン)を得ておくこと」、そして「本人の財産を私物化せず、公私を分けて管理できる姿勢を裁判所に示すこと」です(絶対要件ではありません)。

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3.家族が成年後見人になるための手続き

家族が成年後見人になるための手続きは、親の現在の体調(判断能力がすでにあるかないか)によって「法定後見」と「任意後見」の2つのルートに分かれます。

それぞれの具体的な流れと、かかる費用をわかりやすく解説します。

【すでに認知症の場合】法定後見

親の判断能力がすでに低下している場合は、家庭裁判所に申し立てを行う「法定後見制度」を利用します。手続き完了まで通常2〜3ヶ月程度かかります。

STEP 1:必要書類の準備
医師の診断書、本人の戸籍謄本、住民票、財産目録(通帳のコピーなど)、申立書などを揃えます。
STEP 2:家庭裁判所へ申し立て
親の住所地を管轄する家庭裁判所へ書類を提出します(申し立てができるのは、本人・配偶者・4親等内の親族など)。
STEP 3:裁判所による審査・面談
裁判所の職員が、本人や候補者(家族)と面談し、後見人として適任かを慎重に審査します。
STEP 4:後見開始の審判(決定)
裁判所が最も適任と認めた人(親族間で同意があれば家族が選ばれる確率は約80%以上)を後見人に選任します。
STEP 5:後見登記・正式スタート
法務局に「後見人であること」が登記され、正式に業務がスタートします。

【まだ元気な場合】任意後見

親にまだ十分な判断能力がある場合は、将来に備えてあらかじめ後見人を指定しておく「任意後見制度」を選びます。

元気なうちにやっておく手続きと、認知症発症した後にする手続きがあります。2回の手続きがあることを覚えておきましょう。

❶ 契約の締結(元気なうち)
親と「後見人になってほしい家族」が一緒に公証役場へ行き、公正証書で任意後見契約を結んで登記します。
❷ 制度の開始(認知症発症後)
実際に親の判断能力が低下したタイミングで、家庭裁判所に「任意後見監督人(後見人をチェックする人)」の選任を申し立てることで、正式に後見がスタートします。

(1)手続きにかかる費用一覧

後見制度の利用にかかる主な実費は以下の通りです。これらは原則として「親(本人)の財産」から支払うことができます

費用の項目 法定後見 任意後見 備 考
申立手数料 800円 800円
裁判所に納める印紙代
登記手数料 2,600円
4,000円
内訳:印紙代2,600円+公証人手数料1,400円
法務局への登録費用
郵便切手代 約3,000〜5,000円 約3,000〜5,000円
裁判所との連絡用
医師の診断書料 約5,000〜10,000円
病院によって異なります
公正証書作成費 約1万〜3万円
任意後見契約時のみ発生
鑑定費用 5万〜10万円
裁判所が必要と判断した場合のみ

後見人への報酬はいくら?

家族や親族が後見人になった場合は、「無報酬(0円)」に設定することが可能です(専門職の弁護士や司法書士が選ばれた場合は、月額2万〜6万円の報酬が親の財産から永続的に差し引かれます)。

4.家族が成年後見人になると大変?

「家族が後見人になれば、費用もかからないし一番安心」と思う反面、「実際どれくらい大変なのだろう?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

家族が成年後見人になった場合の具体的な仕事内容と、後悔しないために必ず知っておくべき3つの注意点を解説します。

(1)成年後見人の「3大業務」とは?

①財産管理(お金の管理)
  • 預貯金の出し入れ、年金の受給確認、医療費や税金の支払い
  • 不動産(実家など)の維持・管理や、各種保険金の請求
  • 相続が発生した際の、本人の代わりとしての遺産分割協議への参加
②身上監護(生活・福祉のサポート)
  • 介護保険の手続き、ケアプランの確認、施設への入所契約
  • 医療機関との連絡調整、入退院の手続き
③家庭裁判所への報告業務(一番の負担)
  • 就任時
    1ヶ月以内に親の財産をすべて調査し、「財産目録」「年間収支予定表」を作って裁判所へ提出。
  • 定期報告
    年に1回、すべての通帳のコピーや領収書を添えて、財産の状況を細かく家庭裁判所へ報告する義務。

成年後見人の主な業務は財産管理身上監護です。これらには法律・財務知識、医療・福祉制度の理解が必要となります。また、家庭裁判所への定期報告義務があり、継続的な事務作業も発生します。

特に注意すべき点として、一度選任されると特別な理由がない限り辞任が困難です。そのため、自身の生活や仕事との両立を慎重に検討する必要があります。

(2)家族後見人と専門家後見人のどっちが良い?

家族がなる場合と、弁護士・司法書士などの専門家に頼む場合では、以下のようなメリット・デメリットの違いがあります。

項 目 家族が後見人 専門家に依頼
費用(報酬) 基本的に0円(無報酬も可能) 月額2万〜6万円の報酬が親の財産から引かれる
事務負担 帳簿付けや裁判所への報告が大きな負担 すべて任せられるので家族の負担はなし
柔軟性 既存の信頼関係があり、柔軟に対応できる 手続きが厳格で、融通が利きにくい面も
トラブル 他の親族と揉め事に発展するリスクがある 第三者なので公平で、親族間トラブルを防げる

(3)家族後見人をする際の3つの注意点

後から「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、以下の3つのリスクを必ず押さえておきましょう。

🚨注意1:一度なると、途中で辞めることは原則できない

裁判所の許可がない限り、途中で辞任することはできません。

「思ったより面倒だから」「仕事が忙しくなったから」という理由では辞められず、親が亡くなるまで何年、何十年と責任が続きます

🚨注意2:他の親族全員からの「同意」が必要

親族間に一人でも反対している人がいると、家庭裁判所はトラブルを避けるために家族ではなく「専門職(弁護士など)」を選任する傾向があります。

事前に家族間で話し合い、同意を得ておいたほうがいいでしょう。

🚨注意3:「後見監督人」がつくと毎月の費用が発生する

家族が後見人に選ばれた場合でも、親の財産額が多い場合(目安:預貯金3,000万円超)などは、家族を監視する「成年後見監督人(弁護士など)」が裁判所によって付けられます。

この場合、家族が後見人であっても、監督人への報酬として毎月数万円が親の財産から引かれることになります。

(4)「途中でやめられない」ルールが改正

これまで成年後見制度は「一度始めたら親が亡くなるまでやめられない」のが大原則でした。

しかし、これが利用をためらう大きな原因になっていたことから、2026年4月3日、政府(法務省)は成年後見制度を劇的に柔軟化する「民法改正案」を閣議決定し、通常国会へ提出しました 。

主な改正予定ポイントは以下の通りです。

  • 必要な期間だけ利用可能に
    実家の売却や遺産分割など「その手続きが終わったら後見人を終了する」といった有期利用ができるようになる。
  • 後見人の交代・辞任が柔軟に
    家族の負担が大きくなったり、本人の状態が変わったりした場合に、今よりもスムーズに後見人を交代・辞任できる仕組みが検討されています。

法案が順調に成立すれば、2028年度中(一部を除き公布から2年6か月以内)に新制度が正式スタートする見込みです 。

「一生重い責任を負い続けるのは不安…」という方にとって、今後はかなり使いやすく、心理的ハードルの低い制度に生まれ変わる予定です。

(5)どちらがおすすめ?

家族後見人が向いている場合

  • 預貯金が比較的少額で管理が単純
  • 本人との意思疎通が円滑
  • 日常的な支援が必要
  • 専門家への報酬負担が困難

専門家依頼が向いている場合

  • 財産規模が大きい
  • 不動産取引など複雑な管理が必要
  • 親族間で意見対立がある
  • 相続問題が関係している

このように、成年後見制度は非常に強力で安心な制度である反面、「一度始めると途中で辞められない」「裁判所への報告義務がずっと続く」という重い責任が伴います。

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5.成年後見制度の基礎知識

ここまでは「家族が後見人になるための基準や実務」について解説してきましたが、改めて「成年後見制度の全体像」について、基本を押さえておきましょう。

成年後見制度とは、認知症や障害などによって判断能力が不十分になった方を、法律的・実務的に保護し、支援するための国の制度です。

5-1.【比較表】法定後見と任意後見の違い

成年後見制度には、大きく分けて「法定後見」「任意後見」の2種類があります。スマホでも一目でわかるように、その違いを一覧表にまとめました。 

比較項目 法定後見 任意後見
開始する時期 すでに判断能力が低下した後 まだ判断能力がある(元気な)うちに契約
後見人は誰が決める? 家庭裁判所が最適な人物を選任 本人が信頼できる人をあらかじめ指名
後見人の権限範囲 法律で定められた広範な権限 事前の契約で定めた範囲内の権限
不当契約の取消権 あり(悪質な契約を後から取り消せる) なし(原則、取り消しはできない)
本人の状態に応じた類型
症状に合わせて「後見」「保佐」「補助」の3段階 類型はなく、任意後見人のみ

5-2.成年後見人には「どんな人」が選ばれる?

法律で定められた「欠格事由(未成年者、破産者、本人と裁判でもめている人など)」に該当しない成人であれば、誰でも後見人になる資格はあります。

実際に家庭裁判所によって選ばれるのは、主に以下の3つのパターンです。

■ 親族:本人の配偶者や子、兄弟姉妹など
■ 専門職:弁護士、司法書士、社会福祉士など
■ 法人:社会福祉法人や弁護士法人など

前述の通り、現在は全体の約8割以上で弁護士や司法書士といった「専門職」が選ばれていますが、親族間での合意があり、財産管理がシンプルであれば家族が選ばれる可能性も十分にあります。

5-3.成年後見人が持つ4つの大きな特徴

どの制度を利用するにしても、後見人には以下のルールと義務が共通して発生します。

❶ 本人の「財産管理」と「身上保護(医療・介護の手続き)」の両方を行う
❷ 年に1回、家庭裁判所へ収支や生活状況を細かく定期報告する義務がある
❸ 本人の財産を守るための制度なので、投資や親族への贈与などは原則できなくなる
❹ 一度開始すると、原則として親が亡くなるまで永続的に続く
※ただし現在、必要な期間だけ利用できるようにする法改正の議論が進んでいます。

6.成年後見制度以外の選択肢

ここまで解説してきた通り、成年後見制度は強力な制度である反面、「裁判所への定期報告が必要」「一度始めると原則として親が亡くなるまでやめられない」といった厳格なルールが存在します。

「そこまでガチガチに縛られたくない」「もっと柔軟に家族だけで親のお金を管理したい」という方のために、今大注目されている選択肢が「家族信託(かぞくしんたく)」です。

6-1.成年後見と家族信託の違い(比較表)

親が認知症になる前の対策として、後見制度(任意後見)と家族信託にはどのような違いがあるのでしょうか。スマホでも一目でわかるように一覧表にまとめました。 

比較項目 成年後見 家族信託
主な目的 本人の「権利を守る」ための国の制度 家族による「柔軟な財産管理」のための契約
財産の運用・処分 投資や親族への贈与などは原則不可 実家の売却や組換え、運用など柔軟に可能
裁判所への報告 年に1回、必須(通帳コピーなど提出) 不要(身内だけで管理・完結できる)
介護や医療の契約 可能(「身上監護」の権限があるため) 不可(財産管理の権利のみ)
途中でやめられる? 原則、親が亡くなるまでやめられない 家族間の合意があればいつでも終了可能

6-2.注目度No.1の選択肢、家族信託とは?

家族信託とは、親(委託者)が元気なうちに、信頼できる子供(受託者)と契約を結び、自分の代わりに財産の管理や処分を任せる仕組みです。

 家族信託の大きなメリット

  • 自由で柔軟な財産管理が可能
    後見制度のように裁判所の指示を仰ぐ必要がないため、親の生活費のために実家を売却したり、相続対策を継続したりすることが柔軟に行えます。
  • 親が認知症になってもストップしない
    あらかじめ管理権限を子供に移しているため、親の認知症が進行した後でも、子供の判断で口座からお金を動かすことができます。
  • 相続対策も同時にできる
    遺言書と同じように、将来親が亡くなったときに「誰に財産を引き継ぐか」をあらかじめ指定しておくことができます。

家族信託の注意点(デメリット)

  • 生活や医療の契約(身上監護)はできない
    家族信託で管理できるのは「お金や不動産などの財産」だけです。介護施設の入所契約や病院の手続きをする法律上の権限は得られません。
  • 親が元気なうち(判断能力があるうち)しか契約できない
    認知症が高度に進行している場合は契約を結ぶことができません。

6-3.最強の安心感!任意後見と家族信託の併用

「柔軟にお金も動かしたいけれど、将来の介護や入院の手続き(身上監護)も心配…」という場合は、任意後見制度と家族信託をダブルで利用する(併用する)という方法が非常に有効です。

  • 財産管理:家族信託を使い、裁判所に介入されず身内だけで柔軟に行う
  • 身上監護:任意後見制度を使い、将来の施設入所や医療契約に備える

この2つを組み合わせることで、それぞれの弱点を補い合い、お金の管理から日々の生活サポートまで完璧な認知症対策を行うことが可能になります。

⚠️ 家族信託・併用を検討するなら「今すぐ」が鉄則

家族信託も任意後見制度も、親に「十分な判断能力があること」が契約の絶対条件です。認知症の症状が進み、完全に判断能力を失ってしまうと、これらの便利な選択肢はすべて使えなくなり、厳格な法定後見制度一択になってしまいます。
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7.動画解説|成年後見を利用前にチェック

8.まとめ

本記事は、将来の認知症に備えたい場合や実際に認知症になった場合に利用できる成年後見制度について解説しました。内容をまとめると以下のようになります。

  • 認知症の家族の成年後見人になるには、家庭裁判所の審判が必要
  • 家族が成年後見人に選ばれる割合は全体の約18%程度だが、家族が候補者として申し立てを行った場合の選任率は高い
  • 成年後見人の主な仕事は財産管理と身上監護、家庭裁判所への報告
  • 家族が成年後見人になるメリットには、本人の希望が叶った財産管理などができ、コスト削減されること
  • 成年後見人になると辞任が難しく、長期的な責任を負う
  • 成年後見制度以外の選択肢として、家族信託の活用がある

成年後見制度は、認知症を発症するなど判断能力が低下した人を支えるための制度であり、認知症になった本人だけでなくその家族にとっても支えとなる制度です。親が認知症を発症した場合や、万が一認知症を発症した場合に備えたい場合には、成年後見制度の利用を検討してみましょう。

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに400件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

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