相続登記にはさまざまな必要書類の提出が求められます。どのような書類が必要なのかまとめて解説するので、ぜひ参考にしてください。また、遺言書どおり、法定相続分ずつなどのパターンに分けて、どのような書類が必要かについても解説します。
今回の記事のポイントは以下のとおりです。
- 相続登記には被相続人の戸籍謄本や住民票除票、相続人全員の戸籍謄本など必要書類が多い
- 遺言どおりに相続するか、法定相続分で相続するか、遺産分割協議によるかなどによって必要書類も変わる
- 相続登記の必要書類は、書類によって取得できる役所が異なるため、取得方法を役所に確認の上、窓口、郵送による取得などの方法をつかって集めていく
- 被相続人の除籍謄本が滅失して取得できないときは、自治体の証明書が必要になることがある
- 相続登記の手続きが難しいときは司法書士などの専門家に依頼する
本記事では、相続登記の必要書類について詳しく解説します。また、書類が集められないときの対処策についても紹介しています。相続登記は2024年4月1日から義務化されます。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に手続きをすることが必要です。スムーズに手続きを行うためにも、相続登記の必要書類について押さえておきましょう。
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目次
1.【相続登記の必要書類】相続登記で必ず必要な書類
相続登記を行うにあたって、必要になる書類とそれぞれの入手する場所は以下のとおりです。
相続登記の必要書類 | 入手する場所 |
被相続人の戸籍謄本(出生~死亡) |
被相続人の本籍地の市区町村役場 |
被相続人の住民票除票(又は戸籍の附表) | 被相続人の住民票がある市区町村役場(※戸籍の附表は被相続人の本籍地の市区町村役場) |
相続人全員の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 |
相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住民票がある市区町村役場 |
不動産を相続する相続人の住民票 (又は印鑑証明書、戸籍の附表) |
相続人の住民票がある市区町村役場 (※戸籍の附表は相続人の本籍地の市区町村役場) |
登記事項証明書 | 不動産所在地の法務局 |
固定資産評価証明書 | 不動産の所在地の市区町村役場 |
相続関係説明図(又は法定相続情報一覧図) | 自分で作成(法定相続証明情報一覧図は不動産所在地の法務局) |
委任状 ※司法書士に依頼する場合 | 自分で作成または司法書士 |
登記申請書 | 法務局ホームページからダウンロード |
収入印紙 | 郵便局、法務局など |
返信用封筒と郵便切手 | 郵便局など |
それぞれの書類について、詳しく見ていきましょう。
1-1.被相続人の身分に関する書類【戸籍謄本、住民票除票、戸籍の附表】
被相続人の身分関係で取得が必要な書類としては、戸籍謄本、住民票除票、戸籍の附表があります。
被相続人の出生から死亡までつながる戸籍謄本
被相続人(亡くなった方)が生まれたときから死亡するまでの戸籍謄本が必要です。結婚したときや転籍したときなどは、同一人物であっても新たに戸籍が作られます。相続登記のときには被相続人が生まれたときから死亡するまでの連続した戸籍謄本が必要になるので、被相続人の本籍地のある市区町村役場で取り寄せましょう。
引用元:東京都北区「戸籍全部事項証明書」
被相続人の住民票除票
住民票除票とは、被相続人が居住していた市区町村の役場で取り寄せる書類です。
登記簿上の登記名義人と被相続人が同一人であることを証明するために提出が必要です。
登記簿上には、被相続人の”住所”と氏名が登記されていますが、戸籍謄本には”本籍”と氏名が記載されています。被相続人の住民票上の住所と本籍が異なる場合には、同一人物であることを証明するために、住所、本籍、氏名が記載された住民票の除票を用意します。
もし、住民票除票上の住所と相続登記の対象となる不動産の登記簿に記載されている被相続人の住所が異なるときは、一つ前の住民票があった市区町村の役場で取り寄せる必要があります。
引用元:東京都北区「戸籍全部事項証明書」
被相続人の戸籍の附表
戸籍の附表は、被相続人の本籍地の市区町村の役場で取り寄せる書類です。
住民票除票と同じく、戸籍の附表にも被相続人住所、本籍、氏名が記載されています。戸籍の附表には、過去転居した住所の履歴が記載されています。住民票除票で住所がつながらない場合には、戸籍の附表をとると過去の住所がつながるケースがあります。
このように相続登記では、住民票除票もしくは戸籍の附表いずれかの書類を提出して被相続人の登記簿上の住所と本籍地をつなげます。被相続人が市区町村をまたいで引っ越しを多く繰り返していたときは、各住所の履歴が解されている住民票除票又は戸籍の附表を各市区町村役場で取り寄せることになるため手間がかかる場合もあります。
住民票除票、戸籍の附表を取り寄せても住所がつながらない等の問題が発生した場合、どうしたらいいかの対処法については、下記の記事に記載がありますので、確認してみてください。
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1-2.相続人の身分を証明する書類【戸籍謄本、不動産を相続する人の住民票】
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本が必要です。
相続発生時に相続人となる方と被相続人の関係を確認するために提出するためのものです。戸籍謄本は、相続人と被相続人の関係と相続発生時に相続人が存在することを証明するのが目的であるため、現在の戸籍を示す謄本だけで十分です。戸籍謄本は本籍地の市区町村役場にて取得できます。
不動産を相続する人の住民票(又は印鑑鑑証明書、戸籍の附表)
不動産を相続する相続人の住民票が必要です。
相続人の住所が証明できればよいので、住民票の代わりに印鑑証明書、戸籍の附表を提出しても差し支えありません。戸籍謄本と違い、相続人全員の戸籍謄本は不要です。
住民票、印鑑証明書は住所所在地の市区町村役場、戸籍の附表は本籍地の市区町村役場で取り寄せます。
後で詳しく解説しますが、相続が発生したとき、誰がどの財産を相続するかを決める方法は3つあります。そのうち、遺産分割協議により相続をするときは、相続登記の際にすべての相続人による遺産分割協議書が必要です。また、遺産分割協議書がすべての相続人の意思を示すものであることを示すために、実印を押し、印鑑証明書を添付することも必要になります。
1-3.登記事項証明書
相続登記の手続きは法務局で行いますが、その際、対象となる不動産の地番などについて正確な情報が必要になります。登記事項証明書には所有者のほか、地番や家屋番号などの相続登記申請に必要である詳細な情報が記されているので、事前に発行して相続登記の書類作成で活用します。
なお、登記事項証明書は法務局で取得できます。登記事項証明書は相続登記の申請書類を正確に作成するために発行する書類なので、登記事項証明書自体を相続登記の際に提出する必要はありません。
引用元:法務局「登記事項証明書」
1-4.固定資産評価証明書
相続登記の際には、法務局で登録免許税の納付が求められます。登録免許税は対象となる不動産の固定資産税評価額を基に計算するため、正しく計算するためにも固定資産評価証明書が必要です。
固定資産税評価額は変動するので、相続登記の際に提出する固定資産評価証明書は最新年度のものである必要があります。3月末で年度がかわるため、3月や4月など年度がまたがる時期に相続登記を申請するときには該当年度の評価証明書であるか注意が必要です。
例えば、2023年3月31日迄に相続登記を申請するときは2022年度の固定資産評価証明書の提出が求められますが、2023年4月1日以降に相続登記を申請するときは、2023年度の固定資産評価証明書の提出が必要となります。固定資産評価証明書は対象となる不動産が所在する市区町村役場で取得できます。
なお、相続登記の際の登録免許税は固定資産評価証明書に記載されている固定資産税評価額を基準として、以下の計算式で求めます。
1-5.相続関係説明図
相続関係説明図とは、相続の関係がわかるようにまとめた図のことです。亡くなった被相続人と相続人がどのような関係にあるのかがわかるようにした図です。この相続関係説明図を申請時に提出すると、後で戸籍謄本の原本を返却してもらうことができます。
なお、相続関係説明図については、戸籍謄本とセットで定められた様式にしたがって作成し、以下のいずれかの法務局に提出し登記官に証明してもらうことで、金融機関の相続手続きで戸籍謄本の代わりに提出することができる法定相続証明情報一覧図の発行を求めることができます。
法定相続証明情報一覧図は、下記の法務局で発行できます。
- 被相続人の本籍地を管轄する法務局
- 被相続人の住民票があった地域を管轄する法務局
- 相続登記の手続きをする相続人の住民票がある地域を管轄する法務局
- 相続登記の対象となる不動産がある地域を管轄する法務局
法定相続証明情報一覧図は相続登記とセットで申請することもできるので、相続登記申請時に取得しておくとその後の手続きで使えるので、便利です。
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1-6.委任状
相続登記の手続きを相続人自身が行わない場合には、相続人から依頼を受けて手続きをしていることがわかる委任状が必要となります。相続人自身が手続きをしないときは司法書士に依頼することが一般的なため、委任者が相続人、委任を受ける人が司法書士である委任状が必要です。
なお、司法書士に依頼する場合は、司法書士が委任状を作成し、相続人が署名・押印するだけで使用できる状態にしてくれるため、自作する必要はありません。
1-7.登記申請書
相続登記をする際は、取得した必要書類と一緒に相続登記の申請書を作成して法務局に提出する必要があります。相続登記の登記申請書は法務局のホームページよりダウンロードできます。相続登記の登記申請書の書き方は、被相続人の所有していた不動産の持分の状況や相続人によって、記載方法が異なるので注意が必要です。
1-8.収入印紙
収入印紙は、公的な料金や税金の支払証明として使用される公式の証票です。これは、税金や手数料を納付する際に、その証明として貼付や添付するもので、国が発行しているものです。相続登記の登録免許税を納付する時にも利用できます。
収入印紙は、主に郵便局や法務局で購入することができます。加えて、最近では都市部の多くのコンビニエンスストアでも取り扱っていますが、全ての金額のものがそろっているわけではありません。特に、高額なものや200円以下の小額なものは、コンビニエンスストアでの取り扱いがないこともしばしばです。
登記や公的手続きに際して収入印紙が必要な場合、確実に所定の金額の印紙を手に入れる必要があるため、事前に在庫があるか確認せずに購入できる法務局や郵便局での購入がお勧めです。
収入印紙貼付台紙(単純なA4の白紙1枚でよいです)を用意して、台紙に収入印紙を貼り付けします。消印は法務局でするので、申請者側で消印をしないでください。
なお、相続登記の際の登録免許税は固定資産評価証明書に記載されている固定資産税評価額を基準として、以下の計算式で求めます。
- 固定資産税評価額×0.4%
不動産を贈与や売買によって取得するときの税率は2.0%なので、相続時の登録免許税は他のケースと比べて低く抑えられているといえるでしょう。
1-9.返信用封筒
相続登記申請後に登記識別情報、登記完了証、戸籍謄本などの書類を法務局から受け取ります。登記完了後のこれらの書類は法務局窓口で受領する方法のほか、郵送で受け取ることができます。
個人の方が郵送で登記識別情報を受け取るためには、その旨を登記申請書に記載したうえで、返信用封筒と切手を用意し、本人受取限定郵便の方法で行う必要があります。
返信先の情報と所定の料金分の切手を事前に貼ったもので、申請書類が収容可能な大きさの封筒を用意しましょう。
2.【ケース別相続登記必要書類一覧表】相続するケース別に必要な書類
相続登記の際には、紹介した書類以外の書類が必要になることがあります。相続の方法によって必要書類が異なるので、確認しておきましょう。なお、相続の方法は、次の3つに大別されます。
- 法定相続による相続
- 遺言による相続
- 遺産分割協議による相続
被相続人が生前作成した遺言書がある場合には、遺言書に沿った相続を行うことができます。しかし、遺言書がない場合や、遺言書はあるけれども内容に問題があり、すべての相続人が遺言書どおりの相続を望まないときには、法定相続分による相続、あるいは遺産分割協議による相続のいずれかを選択できるでしょう。
財産に不動産が含まれる場合は、法定相続分に従った相続や遺産分割協議による相続の手続きが複雑になることがあります。価値が類似する不動産が相続人の人数分あれば遺産分割しやすいのですが、現実にはそのようなケースはあまりないでしょう。不動産を売却して現金にし、法定相続分や遺産分割協議の結果に従って遺産を分けることもあります。
しかし、不動産の名義が被相続人のままでは、対象となる不動産を売却することはできません。売却のためには、一時的にでも不動産の名義を相続人のものに変更することが必要です。手続きが複雑でなかなか進まないとき、また、各相続人の意思が揃わず、遺産分割協議が思うように進まないときは、相続手続きの専門家に相談するという方法も検討しましょう。
当事務所では、相続に関する無料相談を随時実施しています。お気軽にお問い合わせください。
2-1.法定相続分による相続
法定相続分による相続を実施する場合には、上記1【相続登記基本書類一覧表】で紹介した必要書類だけで相続登記を行うことができます。過不足なく準備して、法務局に出向きましょう。
2-2.遺言による相続
遺言どおりの相続を実施する場合には、上記1【相続登記基本書類一覧表】に加えて下記の黄色部分の書類が変更追加点です。
法定相続人が相続する場合
被相続人が作成した遺言に基づいて法定相続人が不動産を相続する場合、通常必要とされる書類に加えて「遺言書」が必要になります。なお、戸籍謄本については、通常の相続と異なり、被相続人と遺言により相続する相続人の関係がわかればよいので、被相続人については死亡時の戸籍謄本(出生から死亡までは不要)、不動産を相続する方のみの戸籍謄本を取得すれば足ります。
遺言書には複数の形式が存在し、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」および「秘密証書遺言」の3つがあります。自筆証書遺言(法務局保管制度を利用していないもの)および秘密証書遺言は、その真正性を確認するために家庭裁判所による検認手続きを必要とします。それに対して、法務局による自筆証書遺言保管制度による自筆証書遺言と公正証書遺言は家庭裁判所での検認手続を要求されず、その遺言のみの提出で手続きが進められます。
相続登記の必要書類 | 入手する場所 |
被相続人の死亡時の戸籍謄本 | 被相続人の本籍地の市区町村役場 |
被相続人の住民票除票(又は戸籍の附表) | 被相続人の住民票がある市区町村役場(※戸籍の附表は被相続人の本籍地の市区町村役場) |
不動産を相続する相続人の戸籍謄本 | 不動産を相続する相続人の本籍地の市区町村役場 |
不動産を相続する相続人の住民票 (又は印鑑証明書、戸籍の附表) |
相続人の住民票がある市区町村役場 (※戸籍の附表は相続人の本籍地の市区町村役場) |
登記事項証明書 | 不動産所在地の法務局 |
固定資産評価証明書 | 不動産の所在地の市区町村役場 |
相続関係説明図(又は法定相続情報一覧図) | 自分で作成(法定相続証明情報一覧図は不動産所在地の法務局) |
委任状 ※司法書士に依頼する場合 | 自分で作成または司法書士 |
登記申請書 | 法務局ホームページからダウンロード |
収入印紙 | 郵便局、法務局など |
返信用封筒と郵便切手 | 郵便局など |
遺言書 |
自宅金庫、法務局、公証役場など |
法定相続人以外の第三者が遺贈を受ける場合
遺言書に基づき、法定相続人ではない第三者に相続財産を渡す場合を「遺贈」といいます。この遺贈登記を申請する場合、遺言の内容を実現する遺言執行者がいるか、いないかによって必要となる書類が異なります。
遺言執行者が選任されている場合
遺言による相続と同様に法定相続人を確定する必要がないため、被相続人の死亡時の戸籍謄本を取得すれば足ります。また、「遺言書」のほかに、遺言で指名された遺言執行者が存在する場合、その人の「印鑑証明書」が必要となります。家庭裁判所の審判によって遺言執行者が指名された場合は、その人の印鑑証明書に加え、「遺言執行者選任審判謄本」も必要とされます。
相続登記の必要書類 | 入手する場所 |
被相続人の死亡時の戸籍謄本 |
被相続人の本籍地の市区町村役場 |
被相続人の住民票除票(又は戸籍の附表) | 被相続人の住民票がある市区町村役場(※戸籍の附表は被相続人の本籍地の市区町村役場) |
不動産の遺贈を受ける受遺者の戸籍謄本 | 遺贈を受ける受遺者の本籍地の市区町村役場 |
不動産の遺贈を受ける受遺者の住民票 (又は印鑑証明書、戸籍の附表) |
遺贈を受ける受遺者の住民票がある市区町村役場 (※戸籍の附表は遺贈を受ける受遺者の本籍地の市区町村役場) |
登記事項証明書 | 不動産所在地の法務局 |
固定資産評価証明書 | 不動産の所在地の市区町村役場 |
委任状 ※司法書士に依頼する場合 | 自分で作成または司法書士 |
登記申請書 | 法務局ホームページからダウンロード |
収入印紙 | 郵便局、法務局など |
返信用封筒と郵便切手 | 郵便局など |
遺言書 |
自宅金庫、法務局、公証役場など |
遺言執行者の印鑑証明書(3か月以内のもの) | 住民票がある市区町村役場 |
遺言執行者選任審判謄本 (※家庭裁判所で遺言執行者が選任された場合) |
家庭裁判所 |
遺言執行者が選任されていない場合
遺言執行者が特定されていない場合は、法定相続人全員の印鑑証明書の提出が求められます。また、法定相続人全員を確定させるため、通常の相続と同様、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本が必要となります。
相続登記の必要書類 | 入手する場所 |
被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生~死亡) | 被相続人の本籍地の市区町村役場 |
被相続人の住民票除票(又は戸籍の附表) | 被相続人の住民票がある市区町村役場(※戸籍の附表は被相続人の本籍地の市区町村役場) |
不動産の遺贈を受ける受遺者の戸籍謄本 | 遺贈を受ける受遺者の本籍地の市区町村役場 |
不動産の遺贈を受ける受遺者の住民票 (又は印鑑証明書、戸籍の附表) |
遺贈を受ける受遺者の住民票がある市区町村役場 (※戸籍の附表は遺贈を受ける受遺者の本籍地の市区町村役場) |
登記事項証明書 | 不動産所在地の法務局 |
固定資産評価証明書 | 不動産の所在地の市区町村役場 |
相続関係説明図(又は法定相続情報一覧図) | 自分で作成(法定相続証明情報一覧図は不動産所在地の法務局) |
委任状 ※司法書士に依頼する場合 | 自分で作成または司法書士 |
登記申請書 | 法務局ホームページからダウンロード |
収入印紙 | 郵便局、法務局など |
返信用封筒と郵便切手 | 郵便局など |
遺言書 |
自宅金庫、法務局、公証役場など |
法定相続人全員の印鑑証明書(3か月以内のもの) | 住民票がある市区町村役場 |
2-3.遺産分割協議による相続
遺産分割協議によって相続を実施する場合には、上記1【相続登記基本書類一覧表】に加えて下記の黄色部分の書類が変更追加点です。
遺産分割協議とは、法定相続人全員で、どの遺産を誰が受け取るかを話し合い、合意することを指します。この遺産分割協議について法定相続人全員の協議が調わないと、法定相続となってしまいます。
遺産分割協議の結果、どのように遺産を分割するかの合意が得られた場合は、「遺産分割協議書」を作成します。この書類には、全ての相続人が自らの署名と実印を捺印します。そして、相続登記を進める際には、この「遺産分割協議書」に加え、参加した全ての相続人の「印鑑証明書」が必要となります。
なお、遺産分割協議を家庭裁判所での遺産分割調停又は遺産分割の審判を経て行った場合には、被相続人と相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書は不要です。家庭裁判所において相続関係の調査等を経て確定しているためです。
相続登記の必要書類 | 入手する場所 |
被相続人の戸籍謄本(出生~死亡) |
被相続人の本籍地の市区町村役場 |
被相続人の住民票除票(又は戸籍の附表) | 被相続人の住民票がある市区町村役場(※戸籍の附表は被相続人の本籍地の市区町村役場) |
相続人全員の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 |
不動産を相続する相続人の住民票 (又は印鑑証明書、戸籍の附表) |
相続人の住民票がある市区町村役場 (※戸籍の附表は相続人の本籍地の市区町村役場) |
登記事項証明書 | 不動産所在地の法務局 |
固定資産評価証明書 | 不動産の所在地の市区町村役場 |
相続関係説明図(又は法定相続情報一覧図) | 自分で作成(法定相続証明情報一覧図は不動産所在地の法務局) |
委任状 ※司法書士に依頼する場合 | 自分で作成または司法書士 |
登記申請書 | 法務局ホームページからダウンロード |
収入印紙 | 郵便局、法務局など |
返信用封筒と郵便切手 | 郵便局など |
遺産分割協議書 | 自分で作成 |
相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住民票がある市区町村役場 |
3.相続登記の必要書類の取得方法
相続登記を進めるには、市区町村役場にて多くの必要書類を取得する必要があります。書類を取得する方法としては、下記の4つの方法があります。
- 役所窓口で取得
- 郵送による取得
- コンビニで取得
- 郵便局で取得
以下、取得方法について説明します。
3-1.役所窓口での取得
直接、役所窓口へ赴き、必要な戸籍謄本や住民票などを取得する方法です。
役所の窓口ならば、質問や不明点があれば即座に職員からの説明を受けることが可能です。しかし、役所の所在地が遠方の場合や、開庁時間中に訪問が困難な場合もあります。訪問の際には、印鑑や本人確認書類、そして手数料を持参するようにしてください。
また、手元にある戸籍や登記事項証明書、固定資産税納税通知書などがあれば、持参することで、必要な書類を役所職員に相談しながら収取することができます。
なお、2024年(令和6年)3月1日から戸籍謄本の広域交付制度がはじまり、本籍地以外の市区町村役場の窓口でも戸籍謄本、除籍謄本を請求できるようになります。
戸籍謄本等の広域交付を請求する本人自らが、市区町村窓口に訪問して請求する必要があります。郵送や代理人による広域交付による戸籍謄本等の請求はできません。郵送や代理人による戸籍謄本等の請求は従前どおり、本籍地の市区町村役場に対して請求する必要があります。
3-2.郵送による取得
遠隔地に住んでいる場合や、役所に直接訪問する時間が確保できない場合には、郵送での請求が便利です。所定の手数料を納めるために郵便小為替、申請書、返信用封筒を同封し、管轄の役所へ郵送することで取り寄せ可能です。
事前に役所のホームページ又は電話にて必要書類、手数料を調べてから、郵送するようにしましょう。
3-3.コンビニで取得
近年、多くのコンビニエンスストアでマイナンバーカードを活用した戸籍謄本、住民票、印鑑証明書の取得サービスが開始されています。設置されているマルチメディア端末を使用して、自身の情報を入力し、必要な書類を印刷することができます。ただし、取得可能な戸籍謄本は限定されているため、取得を希望する書類がコンビニで取得可能か事前に確認が必要です。窓口や郵送など他の手段との併用が必要となります。
参考:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付|コンビニ交付
3-4.郵便局で取得
一部の郵便局では、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書等の取得サービスが利用できます。このサービスは特定の市区町村のみで提供されており、取得可能な戸籍謄本も限られています。そのため、取得方法として考慮する際には、対応している郵便局や自治体、提供範囲を確認する必要があります。
4.特殊なケースでの相続登記の必要書類
相続人の一部が海外居住の日本人や外国籍の外国人などの場合のように特殊なケースでは、必要書類は変わります。以下、特殊なケースにおける相続登記の必要書類を解説します。
4-1.海外居住の日本人の住民票・印鑑証明書
日本国内で住民票登録をしていなければ、戸籍謄本は取得できても、住民票・印鑑証明書を取得することはできません。この場合、下記の書類を代わりに添付します。
住民票の代わり:在留証明書や宣誓供述書
現在居住している国の日本領事館もしくは大使館で発行された在留証明書や、公証人の認証による宣誓供述書を住民票の代わりに提出します。
印鑑証明書の代わり:署名(サイン)証明書
居住地の日本領事館もしくは大使館で署名(サイン)証明書を取得します。なお、この手続きには二つの種類、「形式1」と「形式2」が存在します。
形式1の署名証明書
「形式1」では、申請者が領事の前で文書に署名をし、その署名が本人のものであることを在外公館が証明します。この手続きには、登記委任状や遺産分割協議書など、本人が署名を必要とする文書を事前に準備しておく必要があります。
形式2の署名証明書
「形式2」は、署名そのものが本人によるものであることを証明する文書です。このタイプの証明書は印鑑証明書の役割を果たしますが、具体的な文書に署名をしたことに関しては証明されません。
署名証明書を利用して遺産相続の手続きを行う際、どちらの形式が必要かは、それを受け取る機関や会社により異なります。したがって、署名証明書を取得する際には、相続登記を担当する司法書士や法務局に、必要な形式を確認しておきましょう。
もし申請者が在外公館から遠く、署名証明書の取得が困難な場合など、一定の状況では外国の公証人によって作成された署名証明書が受け入れられる場合もあります。
4-2.相続人が外国人(外国籍)の場合の宣誓供述書
相続人が外国籍であるケースでは、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書の制度が外国人の本国にない場合があります。
これらの書類の制度があれば、その書類と翻訳文をつかって相続登記の必要書類とすることができます。これらの書類がない場合には、在日領事館や本国の公証役場で作成した「宣誓供述書」を作成し、被相続人と相続人の関係、遺産分割協議の内容を記載します。
4-3.相続登記前に相続人が更に亡くなったケース(数次相続)
数次相続とは、相続人が相続登記の手続きを終える前に逝去し、新しい相続人が発生するケースを指します。この場合には、元の相続と新しい相続、双方の戸籍謄本が必要です。
まず、登記簿上の所有者の相続に加えて、更に発生した相続についても戸籍謄本(出生から死亡まで)を取得する必要があります。以前に、登記簿上の所有者である被相続人(登記名義人)に関して取得した書類と情報が重複する戸籍は、二重に取得する必要はありません。
そして、前の相続人に加えて新たな相続の相続人も加えた、相続人全員で協議を行い、遺産分割協議をする必要があります。そのため、印鑑証明書も新たな相続人の相続人も加えた全員の印鑑証明書が必要となります。
4-4.相続人の一部が相続放棄したケース
相続放棄が成立すると、放棄した相続人は法的にはそもそも相続人でなかったものとされ、相続放棄者は遺産に関する権利を主張することはできなくなります。
相続放棄の手続きは家庭裁判所で行われ、その結果として「相続放棄申述受理証明書」が発行されます。また、その受理証明書の代わりとして、「相続放棄申述受理通知書」も使用可能です。この証明書又は受理通知書を相続登記の申請の際に提出します。相続登記では相続放棄を行った相続人に関しては遺産分割協議に参加させる必要はなく印鑑証明書の提出は必要ありません。
5.相続登記の必要書類が取得できないときは?
相続登記のときには、被相続人に関する書類が必要になります。被相続人が何度も引っ越している場合や、本籍地を変更している場合、婚姻を繰り返している場合などは、戸籍謄本や住民票除票の取得が難しくなるかもしれません。過去の住民票や戸籍の附表は、転出や死亡によって除かれた日から5年を経過すると廃棄されてしまっていました(※令和元年6月20日から、住民票の除票と戸籍附票の除票が150年間保存されることに改正されました)。
その場合に必要な書類として必要とされる書類は下記の通りです。ケースによって、どの書類が必要か、下記の全ての書類か一部でもよいのかについて全国的に法務局で統一されていません。
そのため、判断に迷う場合には事前に法務局に確認が必要です。
5‐1.戸籍謄本の焼失証明書
災害や震災により戸籍謄本が消失してしまい、入手不可能なケースがあります。
焼失した戸籍謄本に代わる公的な証明書として、市区町村役場が発行する「戸籍謄本の焼失証明書」があります。これは、戸籍の記録が焼失または滅失してしまったことを確認し、公式に証明する文書です。
戸籍が消失しているケースで、「除籍等の謄本を交付することができない」旨の市区町村長の証明書を提供すれば、消失した戸籍謄本の代替として相続登記を申請することが認められています。
5-2.不動産登記済権利証(登記識別情報通知書)
登記簿上の住所と本籍をつなげる住民票除票、戸籍の附表が保存期間経過による廃棄なの事情により、つながらない場合に不動産登記済権利証(登記識別情報通知書)を添付します。
相続人が被相続人しか持っていない被相続人名義の不動産登記済権利証(登記識別情報通知書)を提出することで、今回亡くなった、被相続人と登記簿上の所有者が同一被相続人であることを証明します。
不動産登記済権利証(登記識別情報通知書)があれば、下記で紹介する不在籍証明書、不在住証明書や上申書の提出は不要です。
5-3.不在籍証明書、不在住証明書
登記簿上の住所と本籍をつなげる、住民票除票や戸籍の附表が取得できないときに取得します。取得場所は登記簿上の住所地の市区町村役場です。
登記簿上の住所に、被相続人の住民票、本籍登録がされていない(つまり、登記簿上の住所氏名の人は存在しない)ことを証明します。
5‐4.相続人全員の上申書・印鑑証明書
相続人全員が、登記簿上の所有者が自分の被相続人であることを法務局に対して申告します。上申書には相続人全員が署名し、実印を押印します。また、相続人全員の印鑑証明書が必要です。
このように、古い書類は取り寄せが難しいケースがあります。そのため、特殊なケースについては司法書士に相談しながら進めていくほうがおすすめです。
最近では、オンラインできる定額制のシンプルな相続登記サービスもあります。手続きが難しく感じるときは、オンラインのサービスを利用するという選択肢も検討してみましょう。
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6.相続登記申請書と必要書類の綴じ方は?
法務局に提出する相続登記申請書や添付書類には、提出する書類の並べ方や綴り方について一定のルールがあります。厳密にこのルールに従わなければならない、という訳ではありませんが、法務局から遺産分割協議書や戸籍・住民票等の返却を正確にしてもらうためにも、一般的な相続登記の書類の並べ方・綴り方を覚えておく方がよいでしょう。
6-1.書類の並べ方
まず、相続登記を申請する際に必要な書類の並べ方を押さえておきましょう。
ここでは遺産分割協議による相続登記申請の場合の書類の並べ方を見ていきます。
一般的には下記の順番で書類を並べることが多いです。
1)相続登記申請書(原本) 2) 収入印紙貼付台紙(原本) 3)相続登記の委任状(原本) 4)相続関係説明図(原本) |
①)遺産分割協議書(原本還付用:コピー) ②)印鑑証明書(原本還付用:コピー) ③)被相続人の住民票の除票or戸籍の附票(原本還付用:コピー) ④)遺産分割協議により不動産を取得した人の住民票or戸籍の附票(原本還付用:コピー) ⑤)固定資産評価証明書(原本還付用:コピー) |
4´)被相続人の死亡~出生までの戸籍謄本等、相続人の現在戸籍(原本) ①´)遺産分割協議書(原本) ②´) 印鑑証明書(原本) ③´) 被相続人の住民票の除票or戸籍の附票(原本) ④´) 遺産分割協議により不動産を取得した人の住民票or戸籍の附票(原本) ⑤´) 固定資産評価証明書(原本) |
先ほども少し触れましたが、相続登記申請書の添付書類の中には、原本と共にコピー(写)を添えることで、法務局から返却してもらえる書類があります。この提出した書類を返却してもらえることを「原本還付」と言います。
まず、1~4の書類は法務局より返却を受けることができない、出し切りの書類です。
これらの書類を最初に並べます。
次に、①~⑤の書類は原本還付を受けるためのコピーです。①´~⑤´が各々の書類の原本にあたります。
1~4の書類の次にコピーである①~⑤を並べます。
最後に原本である、4´、①´~⑤´の書類を並べます。
なお、「4´)被相続人の死亡~出生までの戸籍謄本等、相続人の現在戸籍」は
「4)相続関係説明図」が添付した戸籍類(=4´の書類)の代わりとみなされるため、
4´の書類についてはコピーの添付は必要ありません。
6-2.相続登記申請書と相続書類の綴じ方
上記の通り書類を並べた後の、書類の綴じ方を具体的に見ていきましょう。
まず、1)相続登記申請書 2) 収入印紙貼付台紙をホッチキスで綴じ、書類の見開き部分に契印をします。
契印とは、2枚以上となる文書が一連のものであるということを示すために押印する方法です。ページの連続性を確かめたり、文書の差し替えを防止することができます。契印に使用する印鑑は、申請書に押印した印鑑にしましょう。
また、2) 収入印紙貼付台紙には登録免許税相当額の収入印紙を貼付しましょう。
次に3)相続登記の委任状、4)相続関係説明図を上記の書類の下に重ねます。
その後は①~⑤の書類(=コピー)をホッチキスで綴じます。
これらのコピーの先頭に「この写しは原本に相違ありません」と記載し、この文言の横に申請人の氏名の記載をして、氏名の末尾に申請書に押印した同じ印鑑を押印します。
また、①~⑤の書類に契印をします。
【1~4、①~⑤】の書類をホッチキスで止める
【1~4、①~⑤】の書類は法務局に提出した後、法務局にてそのまま保管される書類のため、1~4の書類の下に①~⑤を重ねてこれらの書類をホッチキスで綴じます。
添付書類が多い場合は綴じこむ書類が分厚くなる可能性があるため、その際は大きい芯のホッチキスで綴じこみ、書類が抜け落ちないようにしましょう。
【4´、①´~⑤´】の書類をホッチキスで止める
そして、【4´、①´~⑤´】の書類(=原本還付を受けたい書類の原本)をホッチキスで綴じます。登記申請が完了するとこの原本の束が手元に返ってきます。
そのため、上記の【1~4、①~⑤】の書類と一緒に綴じこまないようにしましょう。
【1~4、①~⑤】の書類(法務局保管の書類)と【4´、①´~⑤´】の書類(原本還付を受けたい書類)をクリップでまとめる
最後に、ホチキスで綴じた【1~4、①~⑤】の書類と【4´、①´~⑤´】の書類を大き目のクリップ又は輪ゴムでまとめて、法務局に提出します。
相続書類の綴じ方は以上です。
7.相続登記の必要書類に関するよくある疑問
相続登記の際には、数多くの書類が必要です。相続人が多い場合には、さらに書類の数も増え、取り寄せの手間がかかることもあります。また、被相続人の戸籍謄本や住民票除票などを取り寄せることが困難になることもあるでしょう。スムーズに相続登記の手続きを済ませるためにも、早めに書類を準備しておくことが大切です。
相続登記の書類に関して、よくある疑問とその答えをまとめました。ぜひ参考にしてください。
7-1.提出するのは原本?コピー?
相続登記に提出する書類は、すべて原本です。登記手続き終了後に書類を返還して欲しい場合には、提出する書類のコピーを取り、コピーの末尾に「原本と相違ない」旨を記載し、記名押印することで原本の返却を受けることができます。
また、相続関係説明図を添付すると、戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍のコピーをとらずに、戸籍謄本等の原本の返却を受けることが可能です。法定相続証明情報一覧図を提出した場合には、事前に法務局で法定相続証明情報一覧図を作成時に戸籍謄本等の書類を確認しているため、原本の提出自体も省略できます。いずれも正しい手続きをしていないと返却を受けられないことがあるので、提出時に返還方法も尋ねておきましょう。
7-2.相続登記の書類の有効期限は?
相続登記では、書類の有効期限は決まっていません。時間が経過した書類であっても記載内容に変更がないときは利用できます。ただし、相続人の戸籍謄本に関しては、相続発生時に相続人が存在(生存)することを証明するため、被相続人が死亡した後で発行されたものでないと提出できません。
7-3.不動産権利証を紛失したときは?
相続登記では不動産権利証(登記済証・登記識別情報)の提出は不要です。そのため、不動産権利証を紛失しても相続登記はできます。
ただし、被相続人除住民票又は戸籍の附表の提出が出来ない場合に、その代用書類として不動産権利証の提出が求められることがあります。不動産権利証は再発行できない書類であるため、権利証なしで手続きをする場合には法務局で相談が必要です。手続きが難しいときは、司法書士に相談しましょう。
弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続登記においてどんな手続きが必要なのか、ご家庭の事情を把握した上でご説明いたします。無料相談も実施していますので、ぜひご活用ください。
8.相続登記の申請方法
相続登記申請書と必要書類が揃ったら、相続不動産を管轄する法務局に相続登記を申請します。
8-1.管轄する法務局を調べる
相続登記を進める前に、まずは管轄する法務局を確認しましょう。
不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。管轄する法務局はホームページで調べることができます。間違った法務局に申請してしまうと、却下や取下げ手続きが必要となり、再度の手間と時間がかかってしまいます。
8-2.相続登記を申請する
相続登記を含む不動産登記の申請方法としては3つの方法があります。
- 書面申請
- 郵送申請
- オンライン申請
以下、解説します。
書面申請
直接、管轄の法務局に訪れ、申請窓口にて相続登記の申請書類を提出する方法です。
法務局の相談窓口もあり、職員に質問しながら書類の修正が可能です。窓口で相談する場合には、事前に予約が必要な場合もあるので確認しておきましょう。申請に必要な印鑑やその他の必要書類を持参し、指定された窓口で手続きを進めます。
郵送申請
法務局に書類を郵送で提出する方法です。「相続登記申請書在中」と封筒に明記し、確実に法務局に届くように書留で送付します。ただし、郵送で行うため、間違いがないように申請書類の確認は細心の注意を払って行っておきましょう。もし不備があった場合、訂正のために直接法務局に足を運ぶ必要があります。
オンライン申請
最近増えてきたのが、オンラインを利用した相続登記の申請方法です。「登記・供託オンライン申請システム」を通じて手続きが行えますが、ICカードリーダーやマイナンバーカードの電子証明書を利用することで、電子署名の環境を整える必要があります。また、登録免許税の納付も電子方式で行えます。しかし、オンラインでの手続きは初めての方にとっては難易度が高いため、専門家、特に司法書士に相談することをおすすめします。
9.まとめ
本記事では、相続登記の必要書類について解説しました。内容をまとめると以下のようになります。
- 相続登記には被相続人の戸籍謄本や住民票除票、相続人全員の戸籍謄本など必要書類が多い
- 遺言どおりに相続するか、法定相続分で相続するか、遺産分割協議によるかなどによって必要書類も変わる
- 相続登記の必要書類は、書類によって取得できる役所が異なるため、取得方法を役所に確認の上、窓口、郵送による取得などの方法をつかって集めていく
- 被相続人の除籍謄本が滅失して取得できないときは、自治体の証明書が必要になることがある
- 相続登記の手続きが難しいときは司法書士などの専門家に依頼する
相続登記の手続きには提出する書類が多く、相続人が多いときや被相続人が転居を繰り返しているときなどは書類を揃えるのに手間と時間がかかることになるでしょう。また、古い書類は取得できず、自治体の証明書が必要になることもあります。手続きに困難を覚えるときは、司法書士に依頼することも検討してみましょう。
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