【2019年8月最新情報】民法改正!改正相続法は実際にいつから適用される!?

民法改正!改正相続法は実際にいつから適用される!?

法律改正

平成30年7月6日に,民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)が成立しました(同年7月13日公布)。

法律改正の内容については、新聞や雑誌などで特集されていることが多いですが、改正法が実際にいつから適用があるのか??ということについて、世間の方に意外と知られていません。

今回の改正後の民法(相続法)は,2019年(平成31年)7月1日(一部の規定を除く)から施行されました。
そこで自分のご家庭の相続や生前対策に関する問題が、旧法で対応するのか、新法で対応するのかこの判断が求められます。法律の適用を間違えると、対応方法も異なってしまうのです。

そこで、今回の記事では、改正後の相続法の概要といつから改正された法律が適用されるのか??
ということについてお伝えしていきたいと思います。

新法適用の判断基準の大原則は相続開始時点でみる

相続法施行時期

相続法改正については、原則的な法律の施行日を2019(令和元)年7月1日と指定しています。

そのため、まず大原則としての考え方は、相続法改正(2019年7月1日)以前に開始した相続は、旧法が適用され、改正前(6月30日まで)は旧法で対応します。

“附則第2条
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。”

そのため、発生した相続が2019(令和元)年7月1日以前か、それとも以後に相続なのかというように、まずは、判断することが必要です。しかし、その例外として、施行日以前の相続や遺言についても新法が適用すべき規定があります。

ここからは、2019年7月1日改正により、法改正日以降の取り扱いとして、相続や家族信託・民事信託、遺言など一般の方の相続、生前対策に影響がでてくるものについて、主な改正点と適用時期を紹介していきます。

相続後の不動産の名義変更は速やかに行う必要がある(新法第899条の2)

相続手続き

親が亡くなると、民法で定める法定相続割合にもとづき、子が財産を相続します。遺言があれば遺言の内容に従い、相続されます。

法改正の内容は、相続後の名義変更手続きについてです。
従来は、不動産など相続による名義変更を急がなくても、法定相続分と異なる内容の遺言があれば、登記(不動産の名義変更)などをしなくても、自分の権利を第三者に主張することができました(最判平5.7.19、最判平4.6.10)。

そのため、我々、専門家にきた相続の相談も、相続による名義変更は、後回しでされることが多くありました。
不動産の売買や贈与などの取引については、売買後、速やかに不動産の名義変更(登記)をしないと自分の権利を主張できません。売主名義のまま放置していて、そのことをいいことに売主が他の第三者に名義を変更した場合には、名義を信頼して不動産を購入した、後の第三者の権利が保護されるのです。

そのため、改正後は、遺言を作成したとしても、法定相続分を超える部分については、登記(不動産の名義変更)などを行わなければ、自分が相続した不動産の権利を第三者に主張できなくなります。
つまり、不動産取引と同様に2019年7月1日以降発生した相続については、相続法改正後は、相続後の名義変更を、速やかに行わなければなりません。

上記の規定は、原則通り2019年7月1日以降の相続が新法の対象です。

改正相続法の施行時期を見極めるポイント

相続法改正の見極めポイント

ここから先の改正法の適用については、法律にその例外規定があり、その例外規定がどの部分に適用されるのかを理解する必要があり、その理解のポイントがあります。

①取引の円滑化が求められる規定
取引に関する手続については、取引の円滑化を重視し、2019年7月1日以降に行われる場合には、 改正前の相続においても、改正後の法律が適用されます。

②本人(被相続人)の意思を重視する規定
2019年7月1日法改正後の相続であったとしても、遺言、贈与など本人の意思を重視するものについては、法改正後に当該遺言等を作成しなければ、新法の適用されません。

上記を頭の片隅に入れながら、確認していくとわかりやすいです。

配偶者に対する自宅など居住不動産の贈与をした場合の特例(改正法903条)

居住用不動産贈与

改正により、婚姻期間20年以上の夫婦が、配偶者に居住の用に供する建物又は敷地を遺贈又は贈与(死因贈与を含む)したときは、特別受益の持戻し免除の意思が推定されます

特別受益とは、相続があった際に、生前に贈与した財産を相続財産に持ち戻して総財産と法定相続分を計算する制度です。

例えば、下記のような財産構成のご家庭があったとします。

財産関係・家族関係

家族構成
亡夫A、妻B、父の前妻の子C(妻Bとは血縁関係なし)

亡夫Aの遺産
自宅持分2000万円(持分2分の1)
預貯金 3000万円

妻Bの財産
自宅持分2000万円(持分2分の1) ※夫Aから生前贈与済

改正前は、妻Bが夫から生前贈与を受けた自宅持分が相続財産に持ち戻されます。
そのため、夫の相続財産は下記のように計算します。

夫Aの相続財産(改正前)
自宅持分 2000万円(持分2分の1)
預貯金  3000万円
自宅持分 2000万円(持分2分の1) ※妻Bの特別受益財産(生前贈与)
合計    7000万円

そして、法定相続分は妻Bが2分の1、子Cが2分の1のため、下記の通りとなります。

夫Aの法定相続分に応じた財産(改正後)
妻Bの法定相続分(1/2) 3500万円
子Cの法定相続分(1/2) 3500万円

上記の結果、妻Bの法定相続分は3500万円となりますが、すでに自宅持分2000万円は生前贈与により財産を取得済のため、残額1500万円相当分を相続できますが、今回の事例でいうと、夫Aの自宅持分の評価が2000万円であり、500万円もらいすぎになるため、もし、厳密に法定相続分を子Cから主張された場合に自宅を相続するためには、その代償として500万円を子Cに支払う必要があります

この遺された配偶者を保護するために、配偶者に対する居住用不動産について特例が設けられました。
婚姻期間20年以上の夫婦が、配偶者に居住の用に供する建物又は敷地を遺贈又は贈与(死因贈与を含む)したときは、特別受益の持戻し免除の意思が推定されます。
つまり、要件を満たした生前贈与は相続財産に持ち戻す必要がなくなるのです。

上記の事例でいうと、下記のように取り扱いが変わることになります。

夫Aの相続財産(改正後)
自宅持分 2000万円(持分2分の1)
預貯金  3000万円
合計   5000万円 ※妻Bへ生前贈与した財産は持ち戻されません

そして、法定相続分は妻Bが2分の1、子Cが2分の1のため、下記の通りとなります。

夫Aの法定相続分に応じた財産(改正後)
妻Bの法定相続分(1/2) 2500万円
子Cの法定相続分(1/2) 2500万円

妻Bの法定相続分は2500万円となります。すでに自宅持分2000万円は生前贈与により財産を取得済ですが、持ち戻さないため、自宅持分(2000万円)と残額500万円相当分の預貯金を相続できるという結論に変わります。

配偶者に対する居住不動産の贈与等についての持ち戻し免除推定規定の施行時期

今回の相続法の改正は、改正前に行われた生前贈与等については適用されないため、2019年7月1日改正後に相続が開始された場合でも、改正前にされた生前贈与については適用がありません。生前贈与は本人の意思を尊重する制度です。そのため、贈与は2019年7月1日以降に行われたもののみが対象となるのです。

そのため、法改正があったとしても、改正以前に行われた生前贈与については、適用がないので、注意が必要です。

これは先ほど挙げたルールでいうと、本人の意思の尊重ということを重視するルールです。

(夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与に関する経過措置)
附則第4条
新民法第903条第4項の規定は、施行日前にされた遺贈又は贈与については、適用しない。

本人死亡により凍結した預貯金から仮払いを受けることが可能(改正法909条の2)

預金仮払い制度

預貯金債権のうち、その相続開始の時の債権額の3分の1に当該相続人の法定相続分を乗じた金額について、各共同相続人はほかの共同相続人の同意がなくても単独でその払い戻しを受けることができます(各金融機関ごとに150万円が限度)。

相続法改正以前は、相続発生した事実を金融機関が知った場合には、原則、権利行使をした預貯金債権は、当該相続人が遺産の一部の分割により取得したものとみなされ、精算されることになります。

改正以前は、金融機関が本人が亡くなったことを知った場合には、その金融機関の口座を凍結します。なぜなら、預貯金は相続財産になり、法定相続人全員の協議による遺産分割の対象となるからです。
しかし、口座が凍結されてしまうと、相続後に必要な葬式費用、生活費などを賄うことができなくなるおそれがあります。
そこで、一定限度までの預貯金については、相続人の内の一人からの払い戻しができるように改正がさました。

預貯金債権の仮払い制度の施行時期

この規定は、相続開始日の改正前後を問わず、2019年7月1日改正日以降の預貯金債権行使の手続きに適用されます。

これは、取引の円滑化のためですね。

附則第5条
新民法第909条の2の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも、適用する。

遺留分請求の取り扱いが変わる(改正第1042~1049条)

遺留分請求

改正前は、遺留分減殺請求権は、行使すると当然に効力が生じました。つまり、遺留分減殺請求権を行使された受遺者又は受贈者(以下、「受遺者等」といいます)は、遺留分権利者に対して、遺留分侵害価額弁償ができない場合には、 対象財産について、現物の返還をもとめ、その結果、遺留分割合にもとづく共有関係の発生の問題が生じました。

共有となると、財産の管理が複雑になります。
なぜなら、遺言等によって財産を相続した子と遺留分を請求した子の共有となるため、売却、賃貸、リフォームなど、共有者全員の同意等が必要な場面が多々出てくるためです。
そのため、相続法改正により、改正後は、遺留分権利者は、遺留分侵害額に相当する「金銭」の支払いのみを請求することができる制度に法律が変わりました。

つまり、遺言等の対象財産は、返還の対象ではなく、金銭で解決することになります。
そのため、遺留分侵害額請求を受けても、遺言等により対象財産は、受遺者等の単独所有となり、共有関係も発生しないため、受遺者等は自己の判断で請求を受けた金銭の支払、支払いに充てるための財産の処分などを単独で行えるようになります。

遺留分算定の基礎となる財産の範囲

生前贈与には期限がある

改正前は、相続人に対する生前贈与の期間は無制限に参入されましたが、改正後は相続開始前10年以内に限定されます。

改正前は10年以上前に贈与した財産も対象財産となってしまいましたが、改正により10年以内と制限され、10年超の生前贈与は対象になりません。そのため、親御さんが元気な時から行っておくことで、早期の生前贈与を行うことで遺留分対策をとることができます。
生前贈与については、下記の記事にわかりやすく、まとめていますので早期からの相続対策を検討する際は、確認してみてください。
>>【2019年7月】民法・相続法改正対応|5分でわかる生前贈与・贈与税の4つのポイントとは!?

新法について遺留分の取り扱い制度の施行時期

上記の規定は、原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます。

遺留分の取り扱いについての改正については、下記の記事にまとめていますので、遺留分対策を検討する方は、確認してみてください。
>>【2019年民法・相続法改正】遺留分の取り扱いが変わった!?あなたの家庭で対策できる4つのポイント

配偶者の妻など、相続人以外が介護を行っていた場合でも、その貢献に応じた寄与分を請求することができる(特別の寄与・改正法第1050条)

特別寄与料の請求

被相続人の親族(特別寄与者:相続人以外)が、無償で療養看護(介護)等を行っていた場合には、特別寄与料を相続人に対して支払請求がすることができるようになる規定が新設されました。

改正前は、相続人でない、相続人の配偶者はいくら貢献していても財産を相続できなかったのですが、改正後は特別寄与料として相続人に対して寄与料を請求することができます。

特別の寄与の施行時期

この特別寄与の規定は原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます。
つまり、療養看護等は2019年7月1日法改正以前に行われた場合でも、法改正後に相続が開始された場合には、特別寄与料の請求を行うことができます。

まとめ

  • 新法適用の判断基準の大原則は相続開始時点でみる
  • 本人(被相続人)の意思を重視する規定は、遺言、贈与などの作成時期は法改正後であることが求められている
  • 取引の円滑を重視する規定は、法改正以前の相続についても新法を適用する

新法か、旧法、どちらの適用があるのかということをちゃんとみておかないと、思いもよらず、法律の適用がないという事態が発生しかねません。

既に、自筆証書遺言の方式緩和は先行して、2019年1月13日より施行されています
パソコンで作成した財産目録、不動産の登記事項証明書や預貯金通帳のコピーなどを代用して作成した財産目録を活用するなど方式緩和された遺言の作成は、2019年1月13日以降に作成された遺言のみが対象となり、1月13日以前に作成された遺言は対象となりません。

これも本人の意思尊重規定だからですね。

既に行った対策が、法改正後も問題なく適用されるのかどうか、そういったことも含めて一度確認をしてみてくださいね。

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