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高齢の親の貸アパートを管理維持するには?家族信託でラクラク資産承継

高齢の親の貸アパートを管理維持するには?家族信託でラクラク資産承継

認知症になるとアパート管理はどうなるか?

古いアパート

認知症になると、契約行為ができなくなります。
つまり、貸アパートを持っている方の場合、店子さんとの賃貸借契約をすることができなくなるということです。
また、認知症が進んでしまった場合、賃料を受け取った親の口座から親の生活費を引き出すこともできなくなります。
このように、認知症で判断力がなくなると、貸アパートを運営していく上で様々な不便が生じてしまいます。
今回は、アパート管理の事例で家族信託を活用したケースを見ていきます。

相談事例
高齢の親が所有するアパートの管理どうすればいい??

アパートなどを所有する父郎さんの家族関係と財産関係

自宅とアパートを複数所有している佐藤父郎さん(父・87歳)がいます。
子供は佐藤一郎さん(長男・64歳・父と同居)、山田花子さん(長女・60歳)の2名です。父郎さんは、自宅、アパート2棟(AアパートとBアパート)のほか、金融資産を所有しています。

父郎さんは自分でアパートの管理を行っていますが、先日も外出先で急に倒れ、数日間入院する等、体調や具合も悪くなってきました。
今は無事退院しましたが、物忘れが出始めており、認知症も心配です。
今後認知症の程度が進んだ場合、アパートに入居希望者が出た場合や退去者がでた場合の契約手続きのなどのアパート賃貸管理や修繕、相続の問題で悩んでいます。

同居する一郎さんに自宅とAアパートを、花子さんにはBアパートを相続させたいと考えています。

何もしないでいると、、、

認知症に伴い資産が凍結される

認知症等、父郎さんの判断能力が衰えてしまうと、アパート管理に伴う様々な契約ができなくなるのです。
そのため、アパートの賃貸管理や売却処分、大規模修繕、建替え等による維持・管理もできなくなってしまうことになります。そうなってしまうと、相続対策や不動産の管理もままならない状態に陥ってしまうのです。また、相続発生後の問題も生じます。
父の相続発生後、相続税申告期限内(相続開始後10か月以内)に法定相続人の間で、誰が何を相続するか遺産分割協議をまとめる必要があるので、納税資金の準備も含めて原則10ヵ月以内にすべての手続きをすませる必要がでてきます。

成年後見人とは?

聞きなれないことば「成年後見人」ってなんでしょうか?

法律上、判断能力(自分が行う意思決定について、それを選んだらどうなるか?を自分で決める力)が無い人がした法律行為は無効になります。極端な例ですが、3歳の子供が、10万円を支払うという契約を結んでも、無効になるということはわかると思います。これと同じに考えていくとわかりやすいと思います。未成年者がした法律行為は保護者が同意しないと無効。
そのような形で、高齢になって、自分が行う行為の結果を判断できない(判断能力がない)場合、法律行為は無効なるということです。そのような場合、その人の代わりに法律行為をする(判断してあげる)のが「成年後見人(せいねんこうけんにん)」です。

成年後見制度を活用するとどうなる!?後見人は誰でもなれるの??

家庭裁判所

この成年後見人ですが、「成年後見人になります!」と誰かが表明したところでなれるものではありません。

家庭裁判所に、「このような事情で成年後見人が必要です(今回は、父所有の貸アパートの管理のために必要です)」「本人の財産状況」「本人の家族状況」などを記載して、家庭裁判所が誰を成年後見人にするか、判断します。 自分が、成年後見人になれなかったからといって、この制度を申し立てしたら、「やっぱりやーめた」とはできません。

最近は、専門職(弁護士や司法書士、社会福祉士)が就任したり、監督人になったりするケースが増えています。 専門職がつくと、毎月数万円(財産額によって異なる)報酬も払わなければなりません。 親の通帳を見ず知らずの専門職に渡し、裁判所に収支を報告する義務まであります。

任意後見制度もあるって聞いたけど??

後見制度には、自分であらかじめ後見人になってもらう人を決めることができる「任意後見(にんいこうけん)」という制度があります。

これなら、解決できそう!と思った方、こんな落とし穴があることを知っていますか? 確かに、任意後見制度では、自分が、後見人になることは可能です。
しかし、任意後見人になった時には、裁判所に任意後見が始まったことを伝えなければなりません。 すると、裁判所は「任意後見監督人」というお目付け役を決めてきます。 これは、任意後見人が不正を働かないように、監督する立場の人のことです。
日々の収支などは、任意後見監督人に報告しなければなりませんし、任意後見監督人は、最後には裁判所に報告します。
となると、今まで行ってきた柔軟な対応(例えば、父と母で旅行に行くときには、父が全額旅費を出していたが、後見人をつけたら、父の旅費はOKだが、母の旅費は認めてもらえないなど、これは実際にあった事例です)ができなくなってしまいます。

家族信託を活用すれば何ができるの??

そこで、家族信託契約なら何ができるのでしょうか?
家族信託なら、親の財産を管理する人を契約で定め、親の財産の名義のままで、アパートの管理を続けていくことが可能です。
財産を預ける人(父)を委託者財産を預かる人を受託者(父の子)その財産から利益を受ける人のことを受益者(父、その後、母にすることも可能)といいます。この当事者同士で「家族信託契約」を結ぶことで可能になります。契約行為なので、当事者に合わせて柔軟に設計することができるのです。

今回のケースでいうと、一郎さんが相続予定のアパートについては一郎さんを受託者、花子さんが相続予定のアパートについては花子さんを受託者、そして利益(家賃)を受け取る権利は父郎さんとするため受益者は父郎さんとする信託契約を2契約締結します。

長男の家族信託契約スキーム
信託スキーム設計1
委託者    父郎さん
受託者    一郎さん
受益者    父郎さん
信託財産   Aアパート、現金
信託終了事由 父郎さんの死亡
帰属権利者  一郎さん
長女の信託契約スキーム
信託スキーム設計2
委託者    父郎さん
受託者    花子さん
受益者    父郎さん
信託財産   Bアパート、現金
信託終了事由 父郎さんの死亡
帰属権利者  花子さん

委託者と受益者が父郎さんであり、名義だけを受託者である一郎さん、花子さんとする信託契約としているので、不動産取得税、贈与税や譲渡所得税などは発生しません。信託契約に伴い、不動産の名義変更手続きは発生するので、その費用のみ発生します。
父郎さんが元気なうちは、父郎さんと一郎さん、花子さんが共同でアパート管理をし、将来、父郎さんが判断能力を失う状態になった場合には、受託者である一郎、花子さんがそれぞれさんが財産管理処分権限を持っていることから、入退去時の賃貸借契約の他、大規模修繕、建替え、売却を行うことも可能です。

信託契約書の中に、将来相続が起こった場合に、どの物件を誰が相続するのか残余財産の帰属先を定めておくことができます。そのため、それぞれ引き継ぐ収益物件ごとの信託契約書を作成することで、別途遺言の作成や相続発生後に遺産分割協議をしなくても、物件を受託者として管理している一郎さん、花子さんがそれぞれ信託契約書で定めたとおりに財産を相続させることができ、生前で円満に、財産管理と遺産分割をまとめることができました。

父が元気なうちは、父と長男が一緒にアパートの管理を勉強し、将来、父が判断能力が喪失した場合には、受託者である長男が財産管理処分権限をもっているため、入退去時の賃貸借契約のほか、大規模修繕、建替え、売却を行うなど、相続税対策を見据えた節税対策の実行を継続することができるのです。

また、父に万が一のことがあっても、その後のアパートの名義を誰にしたいか?あらかじめ決めておくこともできまます(遺言機能)。
管理するのも、簡単になり、将来の資産承継の道筋をつけることも可能なのです。

まとめ

今回は、高齢者が所有するアパート管理の認知症対策での家族信託・民事信託の活用事例をお伝えしました。

  • 高齢の親のアパート管理について、何もしないでいると親の判断能力低下に伴い何もできなくなる
  • 判断能力がなくなってしまった場合の財産管理対策として成年後見制度を活用さぜるを得なくなる
  • 成年後見人は司法書士、弁護士などの専門家が選任又は監督人に就任し、家族が選任される傾向が低くなっている
  • 任意後見制度を活用すれば、予め定めた候補者が任意後見人となれるが、柔軟な管理はできない
  • 家族信託を活用することで家族のみの財産管理と資産承継の仕組みを作ることができる

家族信託契約をすることで、貸アパートの契約、修繕、管理の問題を解決することは可能です。
家族信託契約を結ぶことで、両親の法律的、財産的な側面を家族で共有することで、安心感が得られます。

この仕組みをつくるには親子での腹を割った家族会議が必要です。
なかなか話しづらいテーマですが、将来を見据え、
今後どうしていきたいのか、是非家族と一度話し合う機会を作ってみてください。

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