土地相続要注意!兄弟間で揉めない上手に分ける6つの対処方法

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに150件以上の家族信託や生前対策を取り組んでいる。年間50件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

日本の相続事案では多くの場合、土地などの不動産が相続財産に含まれます。不動産はその性質上、相続トラブルを起こしやすい性質があり厄介な問題の種となることも多いです。
また相続人が複数人の兄弟姉妹となる場合、身近な家族ゆえに話し合いで上手に問題解決の落としどころを探れないケースが出てきます。特に「土地」を「兄弟間で」相続する事案では土地の分け方で紛糾するケースが少なくありません。

今回の記事のポイントは下記のとおりです。

  • 土地は物理的な分割が難しく、トラブルになりやすい
  • 実際の分け方は複数あるので、ケースに応じて考える必要がある
  • 要らない土地は手放すことで管理や税金の負担をなくせる
  • 土地は共有状態にしないほうがトラブルを避けられる
  • 共有にしないためには、事前に関係者同士で話し合いを付けておくと良い

この回では兄弟間で争わないよう、相続した土地の分け方について確認していきます。

土地を相続すると、争いになりやすい理由とは?

土地が相続財産になった場合、相続人が一人だけであれば問題は起きませんが、相続人が複数いる場合はトラブルになる可能性がグッと高まります。

土地の扱いづらさをイメージするために、現預金と比較してみましょう。 まず、現預金は相続財産の分配においてそのままの価値評価を受けますから、1500万円であればその通りの評価になります。

一方土地の場合、まず、どのくらいの価値評価とするかは相続人の話し合いでまとめなければなりません。
相続税評価額や固定資産税評価額、あるいは実勢価格など指標にできる価格は複数あるものの、各自の相続分に影響することから土地を高く評価した方が有利な人と安めに評価した方が有利な人がいるため、評価の仕方で衝突しやすくなります。

また例えば3人の兄弟がいれば現預金は公平に3等分することができますが、土地は完全に公平に分けることが非常に難しいのです。

分筆して分けるということは可能ではありますが、分けた後の土地の使いやすさや、道路に面しているかどうかで相続税評価額が変わり負担の増減が生じることがあるなど、単純にはいかないのです。共有状態の不動産について、問題点を捉えつつ活用法や処分方法を解説する記事が別にありますので、気になる方はチェックしてください。

土地は財産としての評価がしづらいことと、複数人間で公平に分割することが難しい性質があるのでトラブルの種になりやすいのです。

土地相続の際の6つの対処法

では相続財産に土地が含まれている場合、実際にどのように対処すればよいでしょうか。以下で土地の相続の仕方について6つの方法を見ていきます。

家をだれか一人に相続させたい人は「現物分割」「代償分割」

①現物分割

現物分割相続財産をそのまま分割する方法です。

例えば土地を含めて自宅は長男、預金は二男、株式は三男というように、他の相続財産との兼ね合いを考えながら、現物をそのまま相続する方法です。各相続人を満足させることができる十分な相続財産がある場合はこれで問題なく済むこともあります。

②代償分割

現物分割は不動産以外にも預貯金、有価証券など多種類の相続財産が十分にあれば可能ですが、目立った相続財産が土地以外にない場合は各相続人の取り分を満足させることができません。

そこで、例えば、長男が単独で土地を承継する代わりに、二男と三男の相続分を満足させるため、長男が自分のポケットマネー(固有財産)から代償金として不動産に変わる金銭を支払うという方法があります。1500万円の土地であれば、長男は自分の固有資産から二男と三男に500万円ずつ支払って満足してもらいます。

長男はその土地に住み続けるけれども、二男と三男は遠方で暮らしているので土地を使わないという場合、代償分割が有効です。

家を売却して現金で分割する「換価分割」

③換価分割

土地を売却してお金に換え、その現金を分けるということもでき、土地を利用する相続人がいない場合に最優先で検討されます。

全員で不動産を相続する「分筆」「不動産共有」

④分筆

前項で触れましたが、土地を分筆し法的に分割することも可能です。厳密に言うと分筆は上記①の現物分割に含まれますが、ここでは分けて考えます。

一つの土地を三つに分けることで、長男、二男、三男それぞれが土地の所有権を取得することができます。ただし、分筆後の土地の価値に変動が出て不公平感が出る可能性や、土地の使いやすさに差が生じるリスクもあります。

⑤土地を共有にする

不動産は複数人で共有することができるので、土地も特定人の単独所有ではなく相続人同士で共有とすることもできます。ただし共有となった場合、土地の利活用について意見が衝突すると効率的な土地活用ができなくなる可能性があります。

また将来売却する際には、必ず共有者全員の合意がなければなりません。一部でも合意が得られないと有効な利用や活用ができないため、土地が塩漬けになってしまうリスクもあります。そのため、土地の共有はできるだけ避けるのがベターとされています。

「相続放棄」をして煩わしい手続きを手放すのもひとつの方法

⑥相続放棄をする

相続に興味がない相続人は、相続放棄をすることで面倒な遺産分割協議に参加せずに済みます。相続放棄をすれば最初から相続人ではなかったものとみなされるので、土地の相続権は他の相続人に移ります。

先の例では、二男と三男が相続放棄をすれば、自動的に長男が土地を相続することになります。相続放棄が気になる方は以下の記事をチェックしてみてください。

要らない土地を相続することになった場合の4つの方法

もし相続した土地について使い道がなかったり利用や活用が難しい場合でも、固定資産税などの税金の負担は避けられません。またロープを張ったり立て看板を立てるなどして管理されている土地であることを示しておかないと、ごみの不法投棄や不法占拠などの被害に合うリスクもあります。

不要なリスクを避けるため、要らない土地を相続した場合は以下の方法で土地を手放すことを考えましょう。

①売却する

可能であれば、売却して換金するのが最もお得です。ただし不動産は買い手が見つかるまで時間がかかり、一般的には都市部から離れるほど売れづらくなります。早ければ3ヶ月程度で売れることもありますが、売却成功までに1年以上かかることもあるので、期間的な余裕は見ておく必要があります。

また売却代金に係る不動産譲渡所得税の支払いは売却した年の翌年になるので、売上代金を納税資金に用いる場合は使いこんでしまわないようにしてください。

②贈与する

対価が発生する売却だと買い手がなかなか見つからない場合、タダで贈与するということもできます。この場合自分の身近な人にも声をかけることができるので、利用価値を感じてくれる人がいれば引き取ってもらえます。
自分で所有していても使い道がなく税金の負担だけかかるよりであれば、タダであげた方が得になることもあります。無償の贈与でも贈与税の対象にはなるので、土地を引き取った人に課税される可能性はあります。

③寄付する

特定の団体や組織などの活動に賛同できるものがあれば、その活動に用いることを条件に土地を寄付するということもできます。自治体やNPO法人などの組織や団体に寄付することができれば、社会貢献にもなるので納得感や満足感を得ることができます。
ただし、その団体や組織にとって使い勝手が悪い土地だと受け取っても管理の手間や税金の負担が増えるだけでメリットがありません。山奥の土地などで利用が難しい土地は寄付を受け付けてくれないこともあるので、寄付が難しいケースもあることは知っておきましょう。詳しく書いてある記事もあるので、気になる方はチェックしてください。

④相続放棄する

もしその土地が利用価値のないもので、売却も難しいと最初から分かっている場合には相続をせず、相続放棄をしてしまえば、最初から土地の所有権者とならずに済みます。売却や贈与、寄付にかかる相手探しや手続きに追われることはありませんし、所有しないわけですから税金の負担もありません。
ただし相続放棄をすると土地以外の他の相続財産も承継できなくなるので、本当に相続放棄をした方が得なのかよく吟味する必要があります。

土地相続の際、兄弟姉妹が知っておくべきポイント

複数人の兄弟姉妹で土地を相続する際、遺言書が無いケースでは土地は必ず共有状態になることを知っておきましょう。

遺言書がある場合は基本的に遺言が優先されるので、誰か特定の人物に土地を相続させる旨の記載があればこれに従うことになります。遺言書が用意されていない場合、承継先の指定がないわけですので全ての相続財産は一旦共有状態となり、土地も兄弟姉妹で共有されることになります。


遺言書を書いておくメリットについては別の記事で紹介しているので参考にしてみてください

この状態から遺産分割協議を行い、上述した現物分割や代償分割、換価分割などを考えて、どのように取り分を配するか話し合いで決めていくことになります。話し合いが上手くいかない、あるいは面倒だということで話し合いがまとまらないと、後のトラブルの種になります。

共有のままでもしばらくの間は特に問題にならないかもしれません。しかし、将来土地の利活用を巡って意見が衝突した際には、有効な手立てが打てず土地が塩漬けになるリスクが大いにあります。また共有者の誰かが認知症になると、売却する際の同意の意思表示もできないので、成年後見人の選任が必要になります。成年後見制度は制限が多く、使い勝手が悪い側面もあるので、必要かどうかを考えられるよう別記事を参考にしてみてください。

そして将来的に共有者が死亡した場合には、共有者の相続人が権利義務を引き継ぎますから、土地の扱いをめぐる意思決定が必要になった時に話をまとめるのがより難しくなります。
土地はトラブルが生じやすい性質があることを踏まえ、将来相続財産となることが分かっているのであれば、事前にトラブル回避のための準備をしておくと安心です。この点を次の章で見ていきます。

事前にやっておくとよい土地相続トラブル回避策

前項でお話ししたように、遺言書があればこちらが優先されるので、遺言者となる人があらかじめ土地が単独所有となるような内容で遺言を作成しておくのが望ましいでしょう。
その場合、他の相続人が不満足とならないよう、相続財産の配分を考えて不公平がでないように配慮も必要です。可能であれば遺言者となる人と相続人予定者の兄弟姉妹で話し合い、相続財産の配分についてそれぞれが納得できる内容を取り決めておくと安心です。

そのためには、土地だけでなく相続財産となる全ての財産を洗い出し、誰がどの財産をどれだけ相続するのか、財産の管理方法なども含めて話し合って決めておく必要があります。

もし、事前の対策をしておくなら、子(など家族)が、高齢の親(ご本人)に代わり、契約に定めた内容の中で生前から資産の管理・運用をすることができる「家族信託」という制度も考えておいて損はありません。

家族信託について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてください。

また、遺言内容は必ずしも秘密にせず、関係者の間であらかじめ合意を図っておいた方が相続開始後のトラブルの回避につながることが多いです。ケースによって難しいこともありますが、可能であれば事前協議を図っておくことをお勧めします。

まとめ

この回では複数人の兄弟姉妹で土地を相続する場合のリスクや分割の方法、トラブルを避けるための方法などを見てきました。
本章の内容をまとめてみましょう。

  • 土地は物理的な分割が難しく、トラブルになりやすい
  • 実際の分け方は複数あるので、ケースに応じて考える必要がある
  • 要らない土地は手放すことで管理や税金の負担をなくせる
  • 土地は共有状態にしないほうがトラブルを避けられる
  • 共有にしないためには、事前に関係者同士で話し合いを付けておくと良い

事前の話し合いでは他の相続財産の承継も含めて総合的な思案が求められます。問題点やリスクがどこにあるのか、回避するにはどうしたら良いのか、一度は相続に詳しい専門家に相談してみることをお勧めします。

素人の方では見抜けないリスクが潜んでいることもあり、そのまま遺言書を作ってしまうと将来の火種を自ら作ってしまうことになります。当事務所では生前対策も含めてトラブルが起きないような相続対策を推奨しておりますので、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

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