遺産分割協議書とは?相続登記の遺産分割協議書ひな型と書き方を詳しく解説

遺産分割協議書とは?相続登記の遺産分割協議書ひな型と書き方を詳しく解説
この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに200件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間50件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

相続登記のときに、遺産分割協議書が必要になることがあります。そもそも遺産分割協議書とは何なのか、どのような状況で必要になるのかわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。また、作成時の注意点についても紹介します。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

  • 遺産分割協議書は相続人全員で相談して作成する。全員が合意しないと遺産分割協議は成立しない
  • 遺産分割協議書に特定のフォームは決まっていないが、被相続人の情報と財産情報、相続人の実印と署名が必要
  • 遺言書がないときや法定相続分以外の相続をするときは相続登記の際に遺産分割協議書の提出が必要
  • 遺産分割協議書を作成する通数の定めはないが、一般的には相続人が1人につき1通保管する

本記事では、遺産分割協議書を作成する流れについて詳しく解説します。また、どのようなときに遺産分割協議書を提出するのかについても解説します。

そもそも、相続登記は相続した不動産の登記を行うことですが、2024年4月1日から義務化が予定されており、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に手続きをすることが必要です。スムーズに手続きを行うためにも、相続登記に遺産分割協議書が必要なケースと遺産分割協議書の作成方法について押さえておきましょう。

なお、相続登記には提出する書類が多く、手続きに手間がかかる傾向にあります。複雑な手続きをシンプルに進める方法については、次の記事で詳しく解説しています。相続関連のトラブルを回避するためにも、ぜひ参考にしてください。

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1.遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、故人の遺産をどのように分けるのかについて遺産分割協議において合意された内容を記録する書類です。なお、遺産分割協議とは、相続人全員が集まり、どの遺産をどの程度の割合で誰が相続するのかについて話し合うことです。原則として協議に全員が参加しますが、話し合いをスムーズに行うため、また遺産分割協議書を作成するために、司法書士などの専門家が立ち合うこともあります。

1-1.相続人全員の実印・印鑑証明書が必要

遺産分割協議書の書き方やフォームは、特に決まっていません。相続人全員が参加していない遺産分割協議は法律上無効です。そのため、相続人のうち1名でも反対意見があり合意してくれない場合や、行方不明で協議に参加できない、認知症などにより判断能力がないといった事由がある場合には、遺産分割協議はできません。

遺産分割協議に相続人全員が参加し、話し合った内容に同意をしたことを示すためにも、相続人全員が実印を押し、署名することが必要です。また、実印が正式なものであることを示すために、相続人全員の印鑑証明書も添付します。

1-2.相続人全員が原則一通ずつ保管する

法律上、遺産分割協議書を何通作成しなければならないなどの決まりはありませんが、相続人全員が一通ずつ保管することが多いです。相続手続きで使用するため、最低限、代表者が原本1通を保管しておく必要はありますが、他の相続人については、遺産分割協議書のコピーを保管したり、PDFや画像データで保管しても差し支えありません。相続人全員で遺産分割協議書を保管する場合には、すべて同じ内容のものを人数分作成するため、相続人の数だけ署名と実印押印しなくてはいけません。

相続人全員が一通ずつ同じ書類を保管することで、勝手に書き換えることができなくなるという効果があります。万が一、相続人が独断で書き換えた場合でも、他の相続人が保管する書類と異なることが分かれば、書き換えた書類が偽物だということを示せるでしょう。

1-3.遺産関連の手続きで法務局などに提出することがある

遺産分割協議書は、遺産関連の手続きで提出することがあります。相続後に何度か提出を求められることがあるので、相続人各自は紛失しないように保管しておきましょう。

例えば、相続財産に不動産が含まれていた場合は、相続登記の際に遺産分割協議書を法務局に提出することがあります。また、相続税の申告の際には税務署、預金の解約・名義変更の際には金融機関、株式の譲渡・名義変更の際には証券会社などで提出を求められることがあります。

1-3-1.提出後は原本還付してもらおう

遺産分割協議書は、相続人一人につき一通しか作成しません。また、法務局や税務署、金融機関などのさまざまな場所で提出を求められることがあるため、提出の際には遺産分割協議書の原本を返却してもらう原本還付を受けることが必要です。

原本還付を受けるためには、提出の際に窓口で原本と写しの両方を提出する必要があります。金融機関などでは窓口でコピーを取ってくれることもありますが、忘れずに返還してもらうためにも最初からコピーを取って持っていくほうがよいでしょう。

2.遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書は、書き方やフォームが特に決まっているわけではないので、パソコン、紙やペンさえあれば誰でも作成できます。しかし、含めるべき内容は決められていますので、有効な遺産分割協議書に仕上げるためにも、次の3点は忘れずに記載しましょう。

  • 被相続人の情報
  • 相続する財産の情報
  • 相続人の署名・押印

具体的にどのように作成するのか、詳しく解説します。

2-1.遺産分割協議書のひな型(ダウンロード可)

遺産分割協議書の書き方で迷ったときは、ぜひひな形を活用してください。以下のひな形では、不動産と預貯金を相続人2人で分割した場合の遺産分割協議書です。必要に応じて財産や相続人を増やし、協議内容を正確に記録してください。

遺産分割協議書をWordでダウンロードしたい人はこちらから

2-2.被相続人の情報

まずは遺産分割協議書であることが分かるように上部に「遺産分割協議書」と記載します。その下に、遺産分割協議により決定したことを記録するという意味の文章を付け加えておきましょう。

遺産分割協議書の内容として最初に記載するのは、被相続人の情報です。被相続人の最後の本籍地と住所、氏名、相続開始日の4つの項目を記載します。なお、相続開始日とは被相続人の死亡日(戸籍謄本に記載された日付)です。

2-3.相続する財産の情報

次は相続する財産の情報を記載します。相続財産ごとに項目を立て、誰が相続することになった財産についての情報を分かりやすく箇条書きしましょう。

2-3-1.不動産

不動産については、登記事項証明書を取得し、一言一句正確に情報を記載することが必要です。土地については登記事項証明書の表題部の箇所に記載されている「所在」と「地番」、「地目」、「地積」を記載します。

所在 特別区南都町一丁目
地番 101番
地目 宅地
地積 300.00㎡

(法務省ホームページより引用)

建物については、登記事項証明書の表題部に記載されている「所在」に加え、「家屋番号」や「種類」、「構造」、「床面積」を記載しましょう。物置などの附属建物がある場合はその床面積なども記載します。

所在 特別区南都町一丁目101番地
家屋番号 101番
種類 居宅
構造 木造かわらぶき2階建
床面積 1階 80.00㎡
2階 70.00㎡
附属建物の表示
符号 1
種類 物置
構造 木造かわらぶき平家建
床面積 30.00㎡

(法務省ホームページより引用)

2-3-2.預貯金

預貯金については、金融機関名と預金種目、口座番号を記載します。利息がついて変動することもあるため、金額は記載する必要がありません。

また、後日、相続手続きの中で漏れてしまった預貯金や地方の不動産などの遺産が見つかる可能性があります。漏れてしまった遺産について誰がどのように相続するのかを定めておくことにより、金融機関や法務局などで漏れてしまった遺産についての相続手続きができるため、遺産分割協議書に記載がない財産(漏れてしまった財産)をどのように扱うのかについても一文加えておきましょう。

2‐4.相続人の署名・押印

最後に遺産分割協議書を作成した日付を記載し、その下に相続人全員が署名・押印します。表題と被相続人の情報、相続する財産の情報の部分はパソコンで必要な通数分を作成し、それぞれの書類に全員が署名・押印して完成させましょう。

2‐5.遺産分割協議書が複数ページになる場合には契印する

契印とは、遺産分割協議書が1枚以上の複数のページにまたがる場合に、ページとページの間(見開き部分)にまたがるように押す印のことです。

具体的には下の図のようなイメージです。

契印の押し方(図解)

本記事の遺産分割協議書のひな形は、2枚となっているので、
このひな形を使用する場合には契印をする必要があります。

契印がないままの遺産分割協議書を使用すると、遺産分割協議書のページが第三者に増やされ、取り決めていない内容が追記されたり、また取り決めた条項の部分が勝手に抜き取られたりするといったリスクがあり、各種手続きをする際に関係機関から契印がないため手続きを受け付けないと拒まれる可能性があります。

このようなリスクを回避するためにも、契印は必ず押すようにしてください。

契印の押し方は、上記の図のように、ページとページ間(見開き部分)に左右均等にまたがるように押印します。
押印する印鑑は相続人全員の印でかつ遺産分割協議書に押印した印鑑です。全ての見開き部分に、相続人全員が契印をしましょう。

3.相続登記において遺産分割協議書が必要なケース

遺産分割協議書は、相続登記の必須書類ではありません。しかし、以下のケースでは遺産分割協議書の提出が求められます。

  • 遺言書がないとき
  • 法定相続分以外の相続を実施するとき

それぞれのケースについて、必要な理由を詳しく見ていきましょう。

3-1.遺言書がないとき

相続は原則として遺言書に沿って実施されますが、遺言書がないときは相続人が話し合って相続の方法や分割割合などを決める必要があります。決定した内容が相続人全員の総意であることを示す目的で、遺産分割協議書を提出します。

3-2.法定相続分以外の相続を実施するとき

民法では、被相続人との関係によって相続する「法定相続分」が定められています。しかし、必ずしも法定相続分に従った相続を行わなければいけないという決まりではありません。法定相続分以外の相続を実施するときは、誰がどの財産を相続するのか、また、相続内容に相続人全員が同意していることを示すために、遺産分割協議書を提出します。

後ほど説明する通り、遺言書がある場合や法定相続分通りに遺産を相続する場合には、遺産分割協議書を作成する必要はありません。

どのように遺産分割するか迷ったときは、相続の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。当事務所では、相続に関する無料相談を実施しています。お気軽にお問い合わせください。

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4.遺産分割協議書不要で相続登記が可能なケース

以下のケースでは、相続登記の際に遺産分割協議書を提出する必要はありません。

  • 遺言書があるとき
  • 法定相続分どおりに相続を実施するとき
  • 相続人が1人のみのとき
  • 家庭裁判所の調停・審判を受けるとき

それぞれのケースについて解説します。

4-1.遺言書があるとき

遺言書があり、遺言書どおりに相続を実施するときは、遺産分割協議書は不要です。相続の根拠書類として遺言書を提出しますが、遺言書が公正証書遺言ではないときは家庭裁判所で検認済証明書を発行してもらい、遺言書に添付して提出します。

ただし、遺言書に押印がないなどの問題があるときは無効になる可能性があるでしょう。無効な遺言書のときにも、遺産分割協議書を作成して相続登記を実施します。

4-2.法定相続分どおりに相続を実施するとき

法定相続分どおりに相続を実施するときは、遺産分割協議は不要です。相続登記の際にも、遺産分割協議書の提出は求められません。

4-3.相続人が1人のみのとき

相続人が1人のみのときは、遺産を分割する必要がありません。そのため、相続登記の際にも、遺産分割協議書は不要です。

4-4.家庭裁判所の調停・審判を受けるとき

遺産分割協議で相続が決まらなかったときは、家庭裁判所の調停・審判を受けることになります。この場合は決定した内容を記載した書類(調停の場合は調停調書、審判の場合は審判書)が作成されるので、相続登記の際に提出します。

5.遺産分割協議書を作成する際の注意点

遺産分割協議書を作成するときには次のポイントに留意しましょう。

  • 相続人全員が協議して作成する
  • 書き方は特に決まってはいない
  • 再協議して作成し直すことができる

それぞれのポイントを解説します。

5-1.相続人全員が協議して作成する

遺産分割協議書は、相続人全員によって作成される書類です。署名・押印が一人でも抜けている場合には、相続登記の際に有効な書類として扱われません。

5-2.書き方は特に決まってはいない

遺産分割協議書は、特に書き方は決まっていません。しかし被相続人と相続財産、相続人の3つの情報については漏らさず含める必要があります。

5-3.再協議して作成し直すことができる

後で分割方法などに問題が生じたときなどは、再協議して作成し直すことができます。ただし、相続人全員の同意が必要なため、一人でも再協議に同意しないときは作成し直すことができません。

6.遺産分割協議書の作成は司法書士に依頼できる

遺産分割協議書は、司法書士や行政書士に作成を依頼することができます。遺産分割協議の際に話し合いがスムーズにいかないと考えられるときや、書類作成に不安を感じるときは、相続を専門的に扱う司法書士に相談してみましょう。当事務所では無料診断も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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7.まとめ

本記事では、遺産分割協議書の作成方法と相続登記において必要になるケースについて解説しました。内容をまとめると以下のようになります。

  • 遺産分割協議書は相続人全員で相談して作成する。全員が合意しないと遺産分割協議は成立しない
  • 遺産分割協議書に特定のフォームは決まっていないが、被相続人の情報と財産情報、相続人の実印と署名が必要
  • 遺言書がないときや法定相続分以外の相続をするときは相続登記の際に遺産分割協議書の提出が必要
  • 遺産分割協議書を作成する通数の定めはないが、一般的には相続人が1人につき1通保管する

遺産分割協議書に必要事項が含まれていないときは、有効な書類として受理されないこともあります。被相続人の情報と財産情報、相続人の実印と署名を忘れずに含め、正式な書類として作成しましょう。また、相続人全員の同意を得ることと、全員分の印鑑証明書も必要です。

そもそも遺産分割協議書を作成するときには、相続人全員の参加の下、遺産分割協議を行わなければいけません。相続人同士の関係や遺産の多寡によっては、遺産分割協議がうまくまとまらないこともあるでしょう。そのようなときは、相続を専門とする司法書士に依頼することも検討してください。遺産分割協議の立ち合いから遺産分割協議書の作成までをトータルで請け負うことができるため、よりスムーズな相続を実現できます。

相続登記の多くの事案を扱ってきた当事務所では、手続きをスムーズに行うためのご提案やサポートを実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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