【見本付】相続登記申請書の書き方|8つのポイントとパターン別必要書類を簡単解説!

2024年から相続登記の義務化が騒がれ、今からでも自分でできないかと考える方も多いと思います。相続登記は書類をしっかりと準備できれば、ご自身でも申請することができる手続きです。

相続登記をする際は、法務局に申請書と必要書類を提出する必要があります。本体である相続登記申請書の書き方は、相続財産の持分の状況や相続人にどのように不動産を相続させたか等によって若干異なるので注意が必要です。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

  • 登記事項証明書や固定資産税評価証明書、住所証明情報などの書類とともに、相続登記申請書を管轄の法務局に提出する
  • 相続登記申請書の項目の中で、「登記の目的」や「相続人」に記入する内容は、相続の方法によって変わってくる
  • 不動産の表示は、登記事項証明書の記載内容をそのまま記載し、敷地権付区分建物(分譲マンションなど)の場合には、「一棟の建物の表示」「専有部分の表示」「敷地権の表示」の3箇所を記載する
  • 遺言によるか遺産分割によるか、それとも法定相続分どおりに共有するかなど、相続の状況によって、提出する書類は異なる
  • 相続登記申請書は、書面郵送オンライン3つの申請方法がある
  • 書面申請に不備があると法務局で訂正印、捨印を利用して訂正が可能である一方、郵送申請で不備があると取り下げの手続きに手間や時間がかかるので注意

相続登記申請書を書く上でのポイントや提出書類、ケース別での申請方法について解説していきます。

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1.相続登記申請書とは

「相続登記申請書」とは、不動産の名義人が亡くなったとき、不動産の相続に必要な書類のことです。これにより、相続した不動産や共有持分の名義が不動産を相続した相続人名義に変更されます。

相続登記を申請しないままだと、亡くなった被相続人がいつまでも不動産の所有者として記録に残ってしまいます。そのため、不動産を売却するなど処分ができなかったり、権利関係が複雑になったりといったトラブルが起きる可能性があります。

相続人は、相続が発生したことを証明するために相続人全員の印鑑証明書や戸籍謄本、遺産分割協議書や相続財産を示す書類などと共に管轄の法務局に提出することで相続登記の手続きをすることができます。

2.相続登記申請書の書き方

「相続登記登記申請書」には、特段決まったフォーマットはありません。したがって、必要事項を記載した書面であればどのようなものでも構いません。しかし、どのようなものでもよいと言われても、見当がつかず困ってしまう方が多いのではないかと思います。

そこで、相続登記申請書のひな形を見本に相続登記申請書の書き方をお伝えします。

2-1.相続登記申請書ひな形(ダウンロード可)

以下のひな形は、不動産を「法務一朗」が相続した場合の登記申請書です。相続の内容に応じて、登記の原因や相続人、相続不動産など登記申請書の各項目を適宜情報を打ち換えて活用ください。

 

相続登記申請書のひな形をWordでダウンロードしたい人はこちらから

以下、このひな形を見本に、登記申請書の各項目の記載方法を説明します。相続登記申請書で記入する項目や何を記入するかについて確認していきましょう。

申請書に不備があった場合には修正する必要があり、申請方法によっては修正期限が設けられています。 期限を過ぎてしまうと申請が却下される可能性がありますので、申請する前に書類のチェックを必ず行いましょう。 司法書士・行政書士リーガルエステートでは、専門家が書類の内容等が間違っていないかチェックをするサービスがございます。 初回無料相談を行なっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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2-2.登記の目的

まず、登記の目的を記入します。登記の目的は、相続人が1人なのか、複数人なのか、相続した不動産が共有持分なのかなど、相続の方法によって変わってきます。ここでは、それぞれの場合の登記の目的の記載方法を例を挙げて見ていきましょう。

相続人が1人の場合

一戸建ての自宅に一人で暮らしていた父親(法務太郎)が亡くなり、長男が1人で自宅を相続したと仮定しましょう。この場合は、自宅不動産の全部が長男に移転します。

登記の目的 所有権移転

相続人が複数の場合

一戸建ての自宅に一人で暮らしていた父親(法務太郎)が亡くなり、長男と(法務一郎)長女(法務温子)の2人が半分ずつの割合で自宅を相続したと仮定しましょう。相続人が1人の場合と同じく、自宅不動産の全部が長男と長女に移転するケースです。

登記の目的 所有権移転

相続した不動産が共有持分である

一戸建ての自宅に居住し2分の1を持分を所有していた夫(法務太郎)が亡くなり、配偶者である妻が共有持分を相続したと仮定しましょう。

登記の目的 法務太郎持分全部移転
各々のケースによって書き方が異なってくるので注意しましょう。

2-3.原因

原因の欄には、被相続人が亡くなった日付と、登記する理由として「相続」と記入します。被相続人が亡くなった日付としては、被相続人の除籍謄本に記載された死亡日を記載します。

原因 令和1年6月20日相続

2-4.相続人

相続人の欄には、被相続人の氏名と不動産を相続する相続人に関する情報を記載します。被相続人の名前をまず記入し、続いて相続人の名前と住所を記入します。法務局から連絡がくる可能性もあるので、相続人の電話番号も記入しましょう。

相続人の欄も、登記の目的と同様に相続人が1人なのか、複数人なのか、相続した不動産が共有持分なのかなど、相続の方法によって、記入する内容も変わってきます。

ここでは、それぞれの場合の相続人の記載方法を見ていきましょう。

相続人が1人の場合

一戸建ての自宅に一人で暮らしていた父親(法務太郎)が亡くなり、長男(法務一郎)が1人で自宅を相続したと仮定しましょう。

この場合は、相続人の欄に「被相続人の氏名および、相続人の氏名、住所、電話番号」を記入する必要があります。

相続人 (被相続人 法務太郎)
○○郡○○町○○34番地
法務一郎
連絡先の電話番号 00-0000-0000

相続人が複数の場合

一戸建ての自宅に一人で暮らしていた父親(法務太郎)が亡くなり、長男と長女(法務温子)の2人が半分ずつの割合で自宅を相続したと仮定しましょう。

この場合、相続人の欄には「被相続人の氏名および、2人の相続人の氏名、住所、電話番号」とともに、「持分2分の1」と記入する必要があります。

相続人 (被相続人 法務太郎)
〇〇郡〇〇町〇〇34番地
持分2分の1 法務一郎
〇〇市〇〇町三丁目45番6号
持分2分の1 法務温子

相続した不動産が共有持分の場合

一戸建ての自宅に居住し2分の1を持分としていた配偶者が亡くなり、妻が共有持分を相続したと仮定しましょう。

この場合、相続人の欄には「被相続人の氏名および、相続人の氏名、住所、電話番号」とともに、「持分2分の1」と記入します。

相続人 (被相続人 法務太郎)
〇〇市〇〇町一丁目23番地
持分2分の1 法務花子

2-5.添付情報

添付書類の欄には、「登記原因証明情報」と「住所証明情報」と記入します。これは、相続登記申請書のほかに添付する書類を意味しています。

登記原因証明情報とは、登記の原因となる事実とそれに基づき権利変動が生じたことを証明する書類です。被相続人の出生から死亡までつながる戸籍謄本または除籍謄本、相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書、遺言書などが該当します。一方、住所証明情報とは、住民票の抄本あるいは戸籍の付票の写しを指します。

 

添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報

以上4項目が申請の内容で、以下申請に付随する情報を記入していきます。

2-6.登記識別情報の通知希望の有無

相続登記完了後に発行される、登記識別情報を希望しない場合にはチェックを入れます。

登記識別情報とは、昔は登記済権利証ともいいましたが、次回、不動産を売却したり、不動産を担保に融資を受ける際に使う非常に重要な書類です。

この書類がない場合には、次回の登記の際に司法書士等による本人確認情報や、公証人の認証、法務局による事前通知など費用や時間がかかってしまいます。紛失してしまう可能性があるため受領したくないという特別の事情がない限り、必ず登記識別情報の通知を希望するようにしましょう。

2-7.申請日と提出する法務局名

相続登記の申請日と提出先の法務局名を記入します。不動産がどの法務局の管轄なのかは、法務局のホームページから確認できます。

令和1年7月1日申請 〇〇法務局(又は地方法務局)〇〇支局(又は出張所)

2-8.課税価格、登録免許税

固定資産評価証明書に記載された情報に基づいて、課税価格の欄に「固定資産の価格」を記入します。課税明細書は固定資産税・都市計画税納税通知書と一緒に送付されます。固定資産税評価証明書は不動産所在地の市町村役場で取得できます。

続いて、課税価格と登録免許税額を記入します。課税価格には固定資産評価額を記入し、登録免許税額は原則、課税価格に相続による登記名義変更に要する税率0.4%を掛けあわせた価格を記入します。たとえば、課税価格が2,000万円だとすると、登録免許税は

2,000万円×0.4%=8万円

となります。

課税価格 金2、000万円
登録免許税 金8万円

ただし、主に以下の条件を満たせば、相続された土地の登録免許税が免除されます。

相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置

  • 平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までに相続登記すること
  • 土地の相続であること
  • ある相続人が土地の相続登記をする前に亡くなり、その相続人からさらにその土地を相続すること

引用元:法務局HP|相続登記の登録免許税の免税措置について

免税を受けるには、申請書への法令の条項の記載が必要

登録免許税の免税を受けるには、登記申請書に法令の条項の記載が必要です。
登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と申請書に記載します。記載がない場合は、免税措置は受けられないので注意が必要です。

不動産の価額が100万円以下の土地の登録免許税の免税措置

  • 平成30年11月15日から令和7年(2025年)3月31日までに相続登記すること
  • 土地の相続であること
  • 不動産の価額が100万円以下であること

引用元:法務局HP|相続登記の登録免許税の免税措置について

免税を受けるには、申請書への法令の条項の記載が必要

登録免許税の免税を受けるには、登記申請書に法令の条項の記載が必要です。
登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」と申請書に記載します。記載がない場合は、免税措置は受けられないので注意が必要です。

2-9.不動産の表示

最後に、登記事項証明書の記載通りに、相続登記の対象となる不動産を記入します。土地を相続する場合には、不動産番号、所在、地番、地目、地積を、建物を相続する場合には、不動産番号、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記入しましょう。

不動産の表示
不動産番号 1234567890123
所   在 〇〇市〇〇町一丁目
地   番  23番
地   目 宅地
地   積 123・45平方メートル
不動産番号 0987654321012
所   在 〇〇市〇〇町一丁目23番地
家 屋 番 号  23番
種   類 居宅
構   造   木造かわらぶき2階建
床 面 積  1階 43・00平方メートル   2階 21・34平方メートル

相続した不動産が敷地権付区分建物(分譲マンションなど)の場合

「敷地権付区分建物」とは、分譲マンションなどのように、建物とその敷地土地が一体化しており、土地と建物の所有権を事実上、別々の第三者に売却や相続させることができない建物を指します。

登記申請書に敷地権靴区分建物を記載する際は、登記事項証明書を参照し、「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」、そして「敷地権の表示」を順番に記載していく必要があります。複数の敷地権が存在するケースでは、登記事項証明書に記載されているすべての敷地権を漏れなく明記しましょう。区分建物の一棟の表示については、「建物の名称」がある場合、その名称を登記事項証明書に記すことで、一棟の建物全体の「構造」や「床面積」の記載を省略可能です。もし建物の名称が登記事項証明書に記載されていなければ、一棟の建物の表示に記載されている、「構造」「床面積」のすべての情報を詳細に書く必要が生じます。

以下は、見本として掲載した登記事項証明書を登記申請書に記載した場合の不動産の表示の記載例です。参考にしてみてください。

不動産の表示
不動産番号 0000000000000
一棟の建物の表示
所   在  特別区南都街一丁目3番地1
建物の名称  ひばりが丘一号館

専有部分の建物の表示
家屋番号  特別区南都街一丁目3番1の101
建物の名称 R10
種  類  居宅
構  造  鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 1階部分 150.42㎡

敷地権の表示
土地の符号 1
所在及び地番 特別区南都街一丁目3番1
地   目  宅地
地   積  350.76㎡
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 4分の1

引用|法務省HP

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3.【パターン別】相続登記で必要な書類と登記申請書の記載例

相続登記で必要な書類は、遺産分割や遺言による相続など、相続の状況によって異なります。基本的には、以下の書類を提出する必要があります。

  • 登記原因証明情報
    被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、住民票の除票および不動産を取得する相続人の戸籍謄本
  • 住所証明情報
    不動産を取得する相続人の住民票
  • 評価証明書
    固定資産評価証明書、あるいは固定資産税・都市計画税課税明細書
  • その他
    登記申請書、不動産の登記事項証明書、相続関係説明図

以下、相続の各状況で必要な申請書類を確認していきます。

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3-1.公正証書遺言がある場合

遺言には大きく分けて3種類ありますが、よく使われる遺言は被相続人が自らの手で書いた「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。

公正証書遺言とは、公正役場に出向き、2人以上の証人による立ち合いのもと、口頭で伝えた遺言の内容を公証人が筆記した遺言を指します。公正証書遺言の場合、家庭裁判所による遺言の検認手続きは不要で、そのまま相続登記の添付書類として使用できます。

3-2.自筆証書遺言がある場合

自筆証書遺言は、そのままの状態で相続登記の添付書類として使用することができません。自筆証書遺言は、放っておくと、発見者が勝手に内容を書き換えたり、破棄したりする可能性があります。そのようなトラブルを防ぐために、家庭裁判所に相続人が集まって内容を確認し、遺言書を開封したときの状態を保持します。これが「検認」と呼ばれる作業です。

自筆証書遺言を相続登記に使用するためには、家庭裁判所へ遺言書の検認の申立を行い、自筆証書遺言に検認済証明書を発行してもらう必要があります。なお、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した場合には、家庭裁判所での認証手続は不要となります。

3-3.遺産分割協議をした場合

被相続人が亡くなったのち、相続財産の分割方法について相続人全員で話し合い決めるのが、「遺産分割協議」です。協議の結果、相続不動産の取得者が決定すると、遺産分割協議書を作成し、相続人全員で署名捺印します。

この場合、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、相続人全員分の戸籍謄本に加え、実印で捺印された遺産分割協議書、相続人全員分の印鑑証明書が必要になります。
詳しくは相続登記で遺産分割協議をした場合について別のブログで解説しておりますので、チェックして参考にしていただければと思います。

3-4.法定相続分どおりに共有する場合

法定相続分の割合で相続登記を申請する場合、相続人間で協議・調整する必要はないので、共同相続人のうち1人が単独で登記することも可能です。これは、法定相続人の登記が、共有者それぞれが単独で行える「保存行為」だと決められているためです。

もちろん、原則通り、相続人全員で相続登記を申請することも可能です。ただ、不動産を売却する際に、共有者全員の同意が必要であるため、売却のタイミングや価格に応じてもらえず、紛争に発展する可能性があります。

また、単独で相続登記を申請する場合でも、のちのち「なぜ勝手に登記したのか」と言われるケースもあります。そのため、司法書士等の専門家の意見も参考にしながら、相続登記をするようにしましょう。

相続登記にパターン別に様々な書類を準備する必要がありますが、それらを一覧にしてまとめているブログもあるのでよければご参照ください。

3‐5.パターン別の相続登記申請書の記載例

申請書を作成する際には、上記で下記の法務局のページに書式や記載例がありますので参考にするとよいでしょう。

■参考ページ:法務局/不動産登記の申請書様式について
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

上記の法務局のページには相続登記以外にも登記申請に関する申請書のサンプルが約20種類ほど掲載されています。このうち、主な相続登記で使用する書式は「登記申請書の様式及び記載例」という見出しの

17)所有権移転登記申請書(相続・公正証書遺言)
18)所有権移転登記申請書(相続・自筆証書遺言)
19)所有権移転登記申請書(相続・法定相続)
20)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)

です。

公正証書遺言または自筆証書遺言による相続なのか、遺産分割協議による相続なのか、あるいは法定相続なのか、ご家庭の状況にあわせてそれぞれのケースに合った様式と記載例が紹介されています。参考にしてみてください。

なお、弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続人や相続財産の特定、相続登記に必要な申請書の作成など、無料相談をさせていただいております。どのような対策が今ならできるのかアドバイスと手続きのサポートをさせていただきますので、お気軽にお問合せください。

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4.相続登記申請の3つの申請方法と手続きの流れ

申請書類一式が用意できたら、その不動産の住所を管轄する法務局に申請を行います。申請する法務局を間違えると、却下や取り下げの対象になるので注意しましょう。

申請方法には、直接法務局に出向く「書面申請」、法務局に書類を送付する「郵送申請」、インターネットから手続きを行う「オンライン申請」の3種類があります。

4-1.管轄の法務局に直接行く場合(書面申請)

書面申請の場合、申請窓口のうち「不動産登記」と記載された窓口で申請書類を提出します。事前のチェックや窓口での相談時に不備があった場合、その場で訂正することが可能です。そのため、申請書に押印した印鑑を持参しましょう。

4-2.郵送で申請する場合(郵送申請)

郵送申請の場合、申請書一式を入れた封筒の表面に、「不動産登記申請書在中」と赤字で記載し、書留郵便等で送付します。ただし、法務局で事前にチェックしてもらえないため、書類にミスがないか念入りにチェックしましょう。不備があった場合、取り下げの手続きは容易ではなく、補正をするにしても法務局に出向かなければなりません。

4-3.インターネットで申請する場合(オンライン申請)

オンライン申請の場合、「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと・供託ねっと)から申請用のソフトのダウンロードとともに、ICカードリーダライタ、電子証明書入りのマイナンバーカードなど電子署名ができる環境が必要となります。この際、登録免許税の納付は電子納付で行うこともできます。

オンライン申請は、パソコン操作が苦手な方にとって、ハードルが高い申請方法かもしれません。オンライン申請は司法書士のような専門家が行うのが一般的ですので、登記の専門家である司法書士に依頼するといいでしょう。

4-4.相続登記完了後の書類を受領する

相続登記が無事完了した後、相続登記完了後の書類の受け取ります。

法務局からは通常、登記完了の通知は自宅に送られてきませんので、登記が終わったかどうかの確認は個別に行う必要があります。登記完了予定日は法務局のホームページで確認することができます。登記完了予定日以降に申請書に押印した印鑑を持参し、法務局窓口を訪れて書類を受け取ります。

下記のサイトでも、登記完了予定日が公開されています。

司法書士TIMES|登記完了予定日

4-5.相続登記の申請内容が正しく登記されているか登記事項証明書で確認する

一度相続登記が完了し、関連する書類を受け取った後にも、その登記内容が正確であるかの確認作業が必要となります。これは、登記事項証明書を取得し、その内容を詳細に確認することで行います。万が一、登記内容に誤りや不整合がある場合、早期に対応を行いましょう。

具体的には、登記事項証明書をもとに、登記されている内容と申請時に提出した登記申請書鵜の記載内容が一致しているかを確認します。何らかの誤りや問題を発見した場合、登記申請書の記載にミスがないか再確認し、問題が法務局側にある場合は、迅速にその旨を連絡し、修正を依頼します。誤りがある場合、法務局は登記官の職権に基づいて訂正登記を行ってくれます。

その他、自分で行う際の相続登記の手続きの仕方やどのくらいの期間が必要なのかについては、以下のブログをご覧ください。

5.相続登記申請書のよくある質問

以下、相続登記申請書についてよくいただく質問を紹介します。

5-1.登記申請書の文字の修正方法は?

登記申請書に誤字や脱字、誤りを見つけた場合、その修正には訂正印又は捨印で修正できます。

間違ってしまった部分は、適切に二重線で訂正し、その正確な情報を間違いのすぐ隣か、その上または下に記載しましょう。そして、訂正箇所には訂正印を押すことを忘れないようにしましょう。

また、登記申請書の上部余白部部分に捨印を押印して、修正することも可能です。この場合には、訂正箇所に二重線を引き、追加文字を明記します。捨印の近くに「〇文字削除、〇文字加筆」などと記載します。

5-2.相続登記申請書はどのように綴じればよいの?

登記申請書と収入印紙を貼り付けた台紙を上下正しく重ね、これらの書類の下に、法務局に提出する原本のコピーを左上の端からホチキスで綴じます。その後、法務局から返却される戸籍謄本などの原本をクリップで止めます。

書類の綴じ方は下記のブログに詳しく解説していますので、確認してみてください。

5-3.登記申請書は本人以外の人が作成してもいい?

登記申請書の作成と提出は、本人だけでなく、代理人でも行うことができます。特に、専門的な知識を要する場合、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

代理人が申請書を作成・提出する際、委任状が必要となりますが、専門家である司法書士はその作成から申請までの一連の流れをサポートしてくれます。そのため、安心して任せることができるでしょう。

弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、相続登記義務化に伴い、現在所有している相続不動産についてどのような形で相続登記が必要か、相続登記に必要な書類と手続きの流れ、相続登記後に必要な不動産の管理処分方法など、お客様に合った対策方法をお伝えする無料相談をさせていただいております。どのような対策が今ならできるのかアドバイスと手続きのサポートをさせていただきますので、お気軽にお問合せください。

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6.まとめ

今回は、相続登記申請書の書き方をケース別で解説しました。内容をまとめてみましょう。

  • 登記事項証明書や固定資産税評価証明書、住所証明情報などの書類とともに、相続登記申請書を管轄の法務局に提出する
  • 相続登記申請書の項目の中で、「登記の目的」や「相続人」に記入する内容は、相続の方法によって変わってくる
  • 不動産の表示は、登記事項証明書の記載内容をそのまま記載し、敷地権付区分建物(分譲マンションなど)の場合には、「一棟の建物の表示」「専有部分の表示」「敷地権の表示」の3箇所を記載する
  • 遺言によるか遺産分割によるか、それとも法定相続分どおりに共有するかなど、相続の状況によって、提出する書類は異なる
  • 相続登記申請書は、書面郵送オンライン3つの申請方法がある
  • 書面申請に不備があると法務局で訂正印、捨印を利用して訂正が可能である一方、郵送申請で不備があると取り下げの手続きに手間や時間がかかるので注意

相続登記は、相続の状態や仕方によって記入する内容や添付書類も変わってきます。また、相続登記申請書に不備があると、再手続きまで時間や手間がかかります。そのため、専門家に依頼することも念頭に置いて、柔軟に対応していきましょう。

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに350件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間60件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。


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