【家族信託契約書ひな形付】信託契約書のサンプルをもとに自分で作成できる方法を専門家がやさしく解説

この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに200件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間50件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

家族信託を始める為の手続きは、「信託契約書」を作成することから始まります。
さて、この「信託契約書」。特別な資格がないと作成することはできないのでしょうか?

結論を言うと、誰でも作成することができます。業務としてではなく、自分の家族のために作成する場合には資格は一切必要ありません。ただ、そうは言っても、イチから契約書の条項を考えるのは難しいですよね。(私たち専門家でも苦しいです)
ご安心ください。信託契約書にも、基本的な雛形はあります。

今回の記事のポイントは下記のとおりです。

  • 信託契約書作成の前に、下記の6つの項目を家族で話し合いましょう。
    ①目的、②信託財産の追加、③受託者の権限、④当事者、⑤終了時期、⑥帰属先
  • 雛形を使って契約書を作成するのも1つの方法。雛形は個別事例での契約書であるため、実際の作成では家族ごとの状況によって契約書のアレンジが必要。
  • 下記の様な方は、信託契約書の組成を専門家に任せることをお勧めします。
    ①相続税のかかる方、②収益物件のある方、③不動産売却を予定している方、④銀行からの融資を検討している方、⑤家族間の調整がまとまらない方

この記事では、私たちの事務所で実際に利用している契約書の雛形を基に、信託契約書の作り方をご案内します。ご自分で信託契約書の作成にチャレンジしようとしている方は、ぜひ参考にしてください。

1.家族信託の設計をする

1‐1.事例解説:認知症対策として金銭と自宅を管理したい

今回は、下記のようなご家族を例にして解説していきます。

自宅を所有している父朗さん(父・87歳)は、妻を亡くしており、子供が二人います。長男の一朗さん(長男・64歳)と長女の花子さん(長女・60歳)です。長男は、父朗さんと同居しています。

父朗さんは、最近物忘れが多くなってきたので、この先きちんと財産を管理していけるか不安に感じています。自分の財産管理は、長男の一朗さんに任せたいと考えています。

また、父朗さんは、5年前くらいに、長女の花子さんに対して、花子さんの自宅を建てるための資金を提供しました。そのため、自分が亡き後は、自分の自宅と預貯金は一朗さんへ残したいと考えています。一朗さんと花子さんも、この点については納得済みです。

1‐2.家族信託設計で定める6つの要素

家族信託を設計するためには、下記の6つの項目をまず家族で決めていきます。

① 家族信託の目的
家族信託を使って、最終的に何かしたいのかを定義します。
② 信託財産
信託契約に組み込む財産を決めます。
③ 家族信託を使って何をするのか(受託者の権限)
家族信託を使って何をしたいのかを決めます。
④ 家族信託の当事者を決める
家族信託の当事者を決めます。委託者(財産を任せる人)、受託者(財産を管理する人)、受益者(財産の利益を受ける人)は、必ず決める必要があります。その他、受益者代理人、信託監督人(受託者を監視する人)、後継受託者(受託者が任務を遂行できなくなった時に、代わりに財産を管理することになる人)を定めることもできます。
⑤ いつまで家族信託を続けるのかを決める
信託契約を終了させる時期を決めます。
⑥ 信託が終了した時の財産の帰属先を決める
父朗さん他界後に、信託財産を承継する人を決めます。

1‐3.事例:家族信託設計の具体例

佐藤父朗家では、下記のように定めました。

① 家族信託の目的
「父朗さんの認知症対策」「生前の財産対策」「遺産分割対策」
② 信託財産
自宅と金銭500万円
③ 家族信託を使って何をするのか(受託者の権限)
自宅の管理及び日々の金銭管理を任せる
④ 家族信託の当事者を決める
委託者兼受益者 :佐藤父朗
受託者 :佐藤一朗
後継受託者 :佐藤花子
受益者代理人 :設定しない
⑤ いつまで家族信託を続けるのかを決める
「父朗さん他界時」及び「父朗さんと一朗さんが話し合って終わると決めた時」
⑥ 信託が終了した時の財産の帰属先を決める
全ての信託財産を一朗さんに承継させる

1‐4.事例:家族信託設計図はこうなる

佐藤父朗家では、検討事項の結果を踏まえると、下記のような信託組成図となります。

【信託の組成】
委託者:父朗
受託者:一朗、後継受託者:花子
信託財産:自宅、現金500万
信託の終了事由:父の死亡
信託財産の承継先:一朗さん

家族信託の設計方法については下記の記事で詳しく解説していますので、確認してみてください。

2.信託契約書を作成する。~信託契約書の雛形を元に解説します~

それでは、信託契約書案を作成してみましょう。今回のケースを信託契約書案にした場合は下記のとおりです。末尾に契約書のダウンロードURLを記載しておきますので、じっくり確認したい方はURLよりダウンロードしてみてください。

ここまで、信託契約書案の作成方法についてお伝えしてきました。この後、公証役場で契約書を公正証書化する、不動産の名義変更を行うなど各種手続きを行っていく必要があります。詳細は下記の記事で詳しく解説していますので、確認をしてみてください。

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なお、弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートの家族信託・民事信託サポートサービスをご利用いただくど、ご家族の状況に応じた家族信託・生前対策の仕組みの提案、信託契約書の作成、金銭を管理するための信託口口座開設をトータルでサポートさせていただきますので、お気軽にお問合せください。

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3.信託契約書を専門家に依頼したほうがよい6つのケース

ここまで、佐藤父朗家を例にして、基本的な信託契約書の作成方法について解説してきました。
「何となく分かった気はするけれど、実際のところ、本当に自分作成して大丈夫なの?」「自分で作成して、将来揉めたりすることはないの?」そんなふうに不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。

実際の契約書の内容を見ていただくとわかるとおり、信託契約書を作成するにあたっては、法律面の他、税務面も注意しながら作成をする必要があり、高度な法的知識と税務知識が求められます。契約書作成自体は誰にでも作成できるのですが、法的・税務的な考慮が足りないと、契約書作成後に思わぬトラブルが発生する危険性があります。

専門家の立場から申し上げると、下記のような方は、信託契約書の作成に高度な法的テクニックが必要となるため、専門家へご相談することをお勧めします。

① 相続税がかかるくらいの財産をお持ちの方
理由)財産の分配方法や債務控除の問題等も検討する必要があるため
② 収益物件、担保付不動産を信託財産としようとしている方
理由)第三者(賃貸会社や金融機関)に影響があるため
③ 将来不動産の売却を予定している方
理由)将来、受託者の権限で確実に売却できるような契約構成とする必要があるため
④ 将来の融資を検討している方
理由)金融機関と事前に慎重な調整をする必要があるため
⑤ 家族間で家族信託の内容を話し合った結果、ご家族間の意見調整がまとまらない方
理由)信託契約無効の申立てや遺留分侵害額請求権を行使される可能性があるため

4.どのような信託契約書がよいのか、無料診断受付中

当サイトでは、ご家族にとってどのような信託契約書がよいのか、自分や第三者がつくった信託契約書が自分の家族にとって問題ないのか、無料診断が可能です。

累計3500件を超える相続・家族信託相談実績をもとに、専門の司法書士・行政書士がご連絡いたします。

家族信託をはじめ、遺言、生前贈与など、ご家族にとってどんな対策が必要か、何ができるのかをご説明いたします。自分の家族の場合は何が必要なのか気になるという方は、ぜひこちらから無料診断をお試しください。

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5.まとめ

今回の記事では、下記をご案内しました。

  • 信託契約書作成の前に、下記の6つの項目を家族で話し合いましょう。
    ①目的、②信託財産の追加、③受託者の権限、④当事者、⑤終了時期、⑥帰属先
  • 雛形を使って契約書を作成するのも1つの方法。雛形は個別事例での契約書であるため、実際の作成では家族ごとの状況によって契約書のアレンジが必要。
  • 下記の様な方は、信託契約書の組成を専門家に任せることをお勧めします。
    ①相続税のかかる方、②収益物件のある方、③不動産売却を予定している方、④銀行からの融資を検討している方、⑤家族間の調整がまとまらない方

家族信託と似た制度である成年後見や遺言と比べると、家族信託の歴史は浅く、実務が確立していない部分が多いです。正直なところ、私たち専門家も、新しい判例や通達、実務動向を追いながら、日々の業務に取り組んでいる状況です。

今回の記事でご紹介した雛形は、私たちの事務所でも活用しているものですが、依頼者の置かれた家族関係、資産構成によっても内容をカスタマイズしており、法務や税務実務の動向に基づき日々変更を加えています。大げさにいえば、2~3年後には、今回ご紹介した雛形も全く様変わりしていることも十分にありえます。

専門家に依頼をすれば、報酬を支払う必要がありますが、代わりに「安心」を買うことができます。みなさまのご家族の状況を鑑みつつ慎重にご検討ください。

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