成年被後見人が死亡した場合の事務手続き!死亡届から遺産分割まで解説

成年被後見人が死亡した場合の事務手続き!死亡届から遺産分割まで解説
この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)


司法書士法人勤務後、2013年独立開業。
司法書士としての法律知識だけではなく、「親子の腹を割った話し合い、家族会議」を通じて家族の未来をつくるお手伝いをすることをモットーに、これまでに200件以上の家族信託をはじめ、相続・生前対策を取り組んでいる。年間50件以上のセミナーを全国各地で行い、家族信託の普及にも努めている。

成年被後見人が死亡したときは、後見人は代理する権利を失います。どこでどのような手続きを行うのか順に詳しく見ていきましょう。また、被後見人の財産の権利が相続人に移りますが、後見人としてどのような手続きが必要になるかについても解説します。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

  • 成年被後見人が死亡すると、後見人は代理する権利を失う
  • 通常、後見人は2ヶ月以内に財産目録と収支計算書を相続人に渡さなくてはいけない
  • 成年被後見人の死後は、後見人には財産保護などの事務をいくつか行う
  • 後見人が死亡した場合は、後続の後見人を選任する手続きを行う

本記事では、成年後見制度を利用している場合に、被後見人や後見人が死亡したときの手続きや知っておきたいことをまとめています。万が一のときにスムーズに対応するためにも必要なことばかりです。ぜひ参考にしてください。

1.成年被後見人が死亡したときに後見人がすべきこと

成年被後見人が死亡すると、後見人・被後見人の関係は終了します。そのため、以後、後見人は被後見人の代理をすることはできません。

しかし、死亡後にいくつか事務作業を行うことが求められます。成年被後見人が死亡した後に後見人に求められる手続きなどについて、時系列に見ていきましょう。

1-1.財産目録と収支計算書を相続人に渡す

成年後見人は、財産目録と収支計算書を被後見人の相続人に渡します。この収支計算書には、後見期間中の決算の状況がすべて記載されていることが必要です。

被後見人の死亡により後見が終了したときは、スムーズに相続人に財産目録と収支計算書を渡すことで、相続人から財産の使い込みなどを疑われることを回避できます。ただし、計算に間違いがあってはトラブルの原因になるので、迅速かつ正確に計算を済ませるようにしましょう。

1-1-1.2ヶ月内にできない場合は伸長を申し立てる

成年後見人は成年被後見人が死亡して成年後見任の任務が終了した場合には、2ヶ月以内に「管理の計算」をしなければなりません(民法870条)。

もし、この2か月の期限内に管理の計算を終えられない場合は、家庭裁判所で伸長(延長)してもらえる場合があります(民法870条ただし書)。

通常は死亡する直前まで収支が発生するため、すぐに計算書を作成できないこともあるでしょう。財産管理に関わる計算が被後見人の死後2ヶ月以内に完了しないときは、家庭裁判所に申し立て、期間を伸長してもらいます。2ヶ月以内の計算完了が難しいと判断したときは、早めに申し立てるようにしましょう。

1-2.後見終了登記を行う

財産目録と収支計算書の引き渡し、財産の引き継ぎを終えると、成年後見人の仕事は完了です。法務局で後見終了の登記申請を行いましょう。

なお、後見終了の登記申請においては、被後見人本人が死亡したことが記載された戸籍謄本や死亡診断書などが必要です。書類に不備がないことを確認してから、手続きを行います。

1-3.相続人に財産を引き継ぐ

被後見人の死亡後は、被後見人の財産の権利は相続人に移動します。後見人は今まで管理していた財産すべてを相続人に引き継がなくてはいけません。

不動産の相続登記の申請などの相続手続きを代行すると、相続人からあらぬ疑いをかけられる恐れがあります。手続きなどに不安があっても、そのまま相続人に引き継ぐようにしましょう。ただし、被後見人の遺言書がある場合には、相続人ではなく遺言執行人に引き継ぎます。

1-4.家庭裁判所に後見終了を報告する

財産の引き継ぎ事務を済ませると、後見人がするべき仕事はすべて終わったと考えられます。家庭裁判所に被後見人が死亡したことを報告し、後見を終了しましょう。

2.後見人が行うことができる死後事務

被後見人が死亡すると、後見人・被後見人の関係は終了します。しかし、以下の死後事務に関しては後見人・被後見人の関係が終了した後も実施することが可能です。

  • それぞれの財産の保護に必要な行為
  • 債務の返済
  • 財産全体の保護に関わる行為
  • 火葬や埋葬に関わる契約

ただし、死後事務はいずれも後見人に課せられた義務ではなく任意の行為です。必要かどうかを検討してから、実施するようにしましょう。

2-1.それぞれの財産の保護に必要な行為

被後見人の相続人が複数いる場合、それぞれの相続人における財産保護のための行為は、後見人が担当できます。ただし、相続人が相続財産を管理できる状態になく、相続人が持つ意思に反していない場合に限られるので注意が必要です。後見人以外にも財産保護に必要な行為を行うことが可能なときには、後見人の行為が制限される可能性があります。

2-2.債務の返済

被後見人に債務がある場合、弁済期が到来した債務に関しては後見人の一存で返済できます。ただしこの場合も、相続人が相続財産を管理できる状態になく、なおかつ相続人が有する意思に反していないことが条件です。また、後見人以外にも債務返済を行うことができる人がいる場合には、後見人が返済を実施するとは限りません。

2-3.財産全体の保護に関わる行為

後見人は相続人個々の財産保護に関わる行為を相続人の意思の下で行うことはできますが、被後見人の財産全体の保護に関わる行為は行うことができません。

ただし、家庭裁判所の許可を得た場合は別です。相続人が財産管理をできる状態になく、なおかつ相続人が有する意思に反していない場合は、被後見人の財産すべての保護に関わる行為を後見人が担当できます。

2-4.火葬や埋葬に関わる契約

後見人は、被後見人の火葬や埋葬に関わる契約を締結することはできません。

ただし、家庭裁判所の許可を得たときは、火葬などに関わる契約の締結が可能になります。この場合も他の死後事務と同様、相続人が相続財産を管理できる状態になく、なおかつ相続人が有する意思に反していないことが条件となるので注意しましょう。

3.後見人が相続人でもあるときに注意すべきポイント

後見人が相続人でもある場合には、相続人ではない場合と比べて注意する点が増えます。特に他に相続人がいる場合には、透明性の高い引き継ぎを行わないとトラブルを招くことにもなるでしょう。

3-1.専門家が後見人を務めるとトラブルを回避しやすくなる

後見人が相続人でもある場合、透明性の高い引き継ぎを実施したとしても他の相続人から「財産を私的に使用したのでは?」と疑われる可能性があります。また、親族間トラブルに発展し、スムーズに相続手続きが進まない可能性もあるでしょう。

相続におけるトラブルを回避するためにも、後見人は相続人以外の専門家が務めることが望ましいといえます。利害関係のない人が後見人を務めることで、財産を私的に使用するなどのあらぬ疑いが生じる可能性を回避できるでしょう。

弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、成年後見制度についての無料相談を実施しております。成年後見制度をどう利用するのか、後見人として専門家を指名するほうが良いのか迷ったときはご相談ください。また、成年後見制度を利用するにあたって必要な書類作成などについてもトータルでサポートしておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。

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4.後見人が死亡した場合の注意点

成年後見対象者である本人(被後見人)ではなく、財産管理を行う後見人が死亡したときは後任の後見人を選任する必要がでてきます。次の3点に注意をして必要な手続きを進めていきましょう。

  • 後見人制度利用の申し立ては不要
  • 後見人選任手続きを行う
  • 後見監督人がいるときは選任請求

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

4-1.成年後見制度の再申立ては不要

後見人が死亡した場合、再度、成年後見制度の利用を申し立てる必要はありません。後見人が死亡しても被後見人に対して成年後見制度が適用されるという事実は変わらないためです。

4-2.後見人選任手続きを行う

後見人制度は引き続き適用されるため、後続の後見人を選任する必要があります。後見人の選任を請求できるのは、被後見人本人あるいはその親族、また、利害関係にある人です。そのほか、家庭裁判所の職権で選任する場合もあります(民法第843条2項)。

なお、後見人の選任請求は、家庭裁判所に行います。

4-3.後見監督人がいるときは監督人が選任請求

後見監督人が指名されているときは、後見監督人が後見人の選任請求を行います。被後見人本人や親族が選任請求をするときと同様、家庭裁判所に請求を行いましょう。

成年後見監督人については、下記記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

5.成年後見制度の利用で迷ったときは?

相続トラブルを回避するためにも、成年後見人制度を利用する時点で、後見人として弁護士や司法書士などの専門家を指名しておくことができます。成年後見人制度を利用する場合、あるいは成年後見人制度を利用するか迷ったときは、まずは後見人制度に強い専門事務所に相談してみましょう。

なお、弊社司法書士・行政書士事務所リーガルエステートでは、成年後見制度を利用するにあたってどんな対策が必要なのか、ご家庭の事情を把握した上でご説明いたします。無料診断も実施していますので、ぜひご活用ください。

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6.まとめ

本記事では、成年後見人制度利用中に被後見人あるいは後見人が死亡した場合について解説しました。内容をまとめると以下のようになります。

  • 成年被後見人が死亡すると、後見人は代理する権利を失う
  • 通常、後見人は2ヶ月以内に財産目録と収支計算書を相続人に渡さなくてはいけない
  • 成年被後見人の死後は、後見人には財産保護などの事務をいくつか行う
  • 後見人が死亡した場合は、後続の後見人を選任する手続きを行う

被後見人が死亡した場合には、後見人は速やかに財産目録と収支計算書を相続人に渡します。また、財産も相続人に引き継ぎますが、遺言書がある場合には遺言執行者に引き継ぐことが必要です。

一方、後見人が死亡した場合には、成年後見人制度自体の適用はなくならないので、後続する後見人を選任しなくてはいけません。後見監督人がいる場合は後見監督人がいない場合は被後見人本人や親族が後見人選任の申請を家庭裁判所に行いましょう。

成年後見制度などの多くの事案を扱ってきた当事務所では、手続きをスムーズに行うためのご提案やサポートを実施しています。大切なご家族の資産を守るためにも、お気軽にご相談ください。

 

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